じじぃの「歴史・思想_535_日本の論点2022・アンモニア発電でCO2削減」

アンモニア発電でCO2削減 2030年実用化 課題は?【Bizスクエア】

動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=JEYwnNmwfjI

アンモニアが“燃料”になる?

アンモニアが“燃料”になる?!(前編)~身近だけど実は知らないアンモニアの利用先

2021-01-15 資源エネルギー庁
エネルギー分野でアンモニアが注目される理由のひとつは、次世代エネルギーである水素の「キャリア」、つまり輸送媒体として役立つ可能性があるためです。前述した通り、アンモニアは水素分子を含む物質です。そこで、大量輸送が難しい水素を、輸送技術の確立しているアンモニアのかたちに変換して輸送し、利用する場所で水素に戻すという手法が研究されています。
加えて、近年では、燃料としての利用も研究されはじめました。アンモニアは燃焼してもCO2を排出しない「カーボンフリー」の物質です。将来的には、アンモニアだけをエネルギー源とした発電を視野に入れた技術開発が進められていますが、石炭火力発電に混ぜて燃やす(混焼)ことでも、CO2の排出量を抑えることが可能です。
https://www.enecho.meti.go.jp/about/special/johoteikyo/ammonia_01.html

『これからの日本の論点2022』

日本経済新聞社/編 日経BP 2021年発行

日本経済はこれからどうなる

論点6 加速する脱炭素、対応迫られるエネルギー戦略 より

【執筆者】松尾博文(論説委員編集委員

水素社会実現に向けて、国際ルールづくりの主導権を握れ

水素社会の実現には、太陽光発電風力発電による再生可能エネルギーや、潤沢な化石燃料資源に恵まれた海外で水素やアンモニアをつくり、これを日本に運ぶサプライチェーンの構築が必要となる。
川崎重工業やJパワーなどがオーストラリアの褐炭から水素を取り出すプロジェクトや、丸紅とIHIが豪州タスマニアで水力を使ってグリーンアンモニアをつくる計画、INPEXとJERAがアラブ首長連邦(UAE)で天然ガスからアンモニアをつくり、日本に運ぶなど、数多くのプロジェクトが動き出している。
日本は2017年、世界に先駆けて「水素基本戦略」を策定した。燃料電池など水素関連技術の特許出願数も世界一だ。しかし、ここにきて水素は、脱炭素技術の競争の最前線となりつつある。水素を使わずにカーボンゼロは実現できないと各国が気づいたからだ。
欧州連合EU)は2020年7月に水素戦略を発表した。英国は2050年に最終エネルギー消費に占める水素の比率を19%、ドイツは13%と位置づけ、参考値で1割程度とする日本を上回る導入を目指している。
日本が水素分野で優位を保つことができるかどうかは、水素供給の担い手となる資源国と、使い手となる消費国との連携がカギを握る。なかでもアジアは日本と同様に、化石燃料への依存度が高い。経済成長を支えるエネルギー供給の拡大と脱炭素の両立が課題だ。石炭火力の建設も続いており、既存の設備を生かしながらCO2を段階的に減らし、将来は100%専焼へ移行する水素やアンモニア燃料は、そのための有効な手段になりうる。資源国とアジアの消費国を結ぶ水素ネットワークを構築することが、ひいては日本国内で使う水素のコスト低減と安定供給につながる。
このときに欠かせないのは、脱炭素時代のルールづくりに積極的に関与することだ。カーボンゼロは、これまでのエネルギーをめぐる国際関係や地政学を一変させる可能性を秘める。脱炭素技術を手にした国家や企業が、新しいエネルギー秩序の主導権を握る。それぞれが置かれた自然や経済などの条件のもとで、新しいルールを自国に有利に導くためのパワーゲームを繰り広げる。
EUは温暖化ガス削減の包括対策案のなかで、2035年までにガソリン車やディーゼル車など内燃機関車の新車販売を禁止し、環境対策が十分でない国からの輸入品に事実上の関税をかける国境炭素調整措置を導入する方針を示した。
自動車販売では、日本が得意とするハイブリッド車の新車販売も認められない。日本の自動車メーカーは戦略の見直しを迫られる。国境炭素調整措置も一方的なルールの押しつけでは事実上の保護主義となりかねない。EUには、化石燃料からつくるブルー水素やブルーアンモニアについて批判的な見方もある。この利用がルールで封じられるようなことになれば、日本の脱炭素戦略は大きく後退する。
脱炭素時代を勝ち抜くイノベーションを促し、それを最大限に生かす国際ルールづくりへしたたかな環境外交が求められる。