How supercharged plants could slow climate change | Joanne Chory
スーパー植物:スベリン(Suberin)
気候変動に立ち向かえるスーパー植物とは(TED: Joanne Chory)
03/08/2021 TED
植物は驚くべき「機械」である ― 何百万年もの間、植物は空気中の二酸化炭素を吸収して地下に収蔵し、世界の気候を保っていたのですから。
植物遺伝学者のジョアン・コリー(Joanne Chory)氏は、この特別な能力を拡張すべく研究を進めています。ソーク植物/分子・細胞生物学研究所の同僚たちとともに、コリー博士はより多くの炭素を地中深くに何百年も保持できる植物を作り出そうとしています。こうした過給植物が気候変動を緩やかにするのに、どう貢献できるのか、見ていきましょう。
https://kokai.jp/%E6%B0%97%E5%80%99%E5%A4%89%E5%8B%95%E3%81%AB%E7%AB%8B%E3%81%A1%E5%90%91%E3%81%8B%E3%81%88%E3%82%8B%E3%82%B9%E3%83%BC%E3%83%91%E3%83%BC%E6%A4%8D%E7%89%A9%E3%81%A8%E3%81%AF%EF%BC%88ted-joanne-chory/
新しい世界の資源地図――エネルギー・気候変動・国家の衝突
ヤーギン,ダニエル【著】〈Yergin Daniel〉/黒輪 篤嗣【訳】
地政学とエネルギー分野の劇的な変化によって、どのような新しい世界地図が形作られようとしているのか?
エネルギー問題の世界的権威で、ピューリッツァー賞受賞者の著者が、エネルギー革命と気候変動との闘い、ダイナミックに変化し続ける地図を読み解く衝撃の書。
目次
第1部 米国の新しい地図
第2部 ロシアの地図
第3部 中国の地図
第4部 中東の地図
第5部 自動車の地図
第6部 気候の地図
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第6部 気候の地図 より
第44章 現状を打開する技術
「実質炭素ゼロへのエネルギー転換を進められる技術はまだない」と。アーネスト・モニツは言う。エネルギー転換を加速し、刷新する技術とはどういうものだろうか。ゲイツ財団と再生可能エネルギー推進団体「ブレークスルー・エナジー・コアリション」の依託を受け、筆者がモニツとともに主導する新しい研究「クリーンエネルギーの技術革新を推進するには」では、「現状を打開する可能性が最も高い」23の技術を特定した。それらの技術はいくつかに分類できる。1つには、風力や太陽光の大規模利用を妨げている出力変動の問題を解決する解決する貯蔵とバッテリーの技術がある。それから、炭素ゼロの原子力の再活用に道を開く改良型原子炉や小型原子炉。現在米国では、60以上の原子力の先端研究プロジェクトが民間部門で進められている。
水素技術はおよそ20年間、スタートでつまずいた。「水素フリーダムカー」も、カリフォルニア州の「水素ハイウェイ」も、空振りに終わった。しかし天然ガスに代わる暖房の燃料として、また電気自動車の向こうを張る燃料電池車の燃料として、近年、あらためて水素への関心が高まっている。これはさほど唐突なことではない。水素はすでに石油の精製や化学肥料の生産でも広く使われている。
ごくありふれた元素だが、自然界では、きわめてまれな場合を除いて、単独では存在しない。得るためには、分子を分解することが必要だ。現在、大半は天然ガスや石炭から生産されている(天然ガスの分子は普通、炭素原子1個と水素原子4個からなる)。また、電気分解によっても、つまり、水の中に電流を流す方法でも作り出せる。その電流には、風力や太陽光発電で生じた余剰電力など、再生可能エネルギーの電気を使うことができる。規模の拡大のためには、技術の進歩と、コストの低下、それにインフラへの支出が求められる。
水素は将来の電源構成の中で10%以上を占めるプレーヤーになりうる。実際、現在の水素は、開発の面で、ほかの再生可能エネルギーの20年ないし30年前の状況と同じだとも言われる。また、水素には地政学的な問題が絡みそうもないことも、特筆される。水素は野心的な脱炭素の目標を掲げる国がその実現の手段として使うか、あるいは世界的に取り引きされる商品になり、各国の輸出品目に加えられるかの、どちらかだろう。
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炭素回収は自然界の仕組みの欠かせない一部(「世界の肺」)をなしている。植物が行っているのは、大気中から二酸化炭素を取り込んで、幹や根に炭素を蓄え、生物の呼吸に使われる酸素を大気中に戻すということだ。作物を栽培する農家は、1万2000年前に農耕が始まって以来、炭素回収という仕事に携わっていると言える。
10年ほど前、炭素(特に石炭火力発電所から出る炭素)を回収して、液体化し、パイプラインで輸送して地中に蓄えるというアイデアが注目を浴びた。いくつかのプロジェクトが立ち上げられたが、費用がかさむことや、大がかりな設備が必要になることから、その後、なかなか軌道に乗らなかった。
2015年のパリ協定が、この「炭素の回収・貯蓄」(carbon capture and storage:CCS)の開発に新たな弾みを与えた。同じ頃、そこに「利用」も付け加って、CCSはさらに「炭素の回収・利用・貯蓄」(carbon capture, use and storage:CCUS)に発展した。これは炭酸飲料の炭酸に使う以外にも、もっと商業的な二酸化炭素の活用方法を探ろうという意味だった。パリ後、石油・ガス気候イニシアチブ(石油・天然ガス会社13社からなる組織)が、CCUSに重点をおいたエネルギー転換の技術を支援する目的で、13億ドルの研究基金を設立した。もう1つ、大きな弾みになったのは、米政府が施行した新たな税制「45Q」だ。45Qは、CCUS技術を優遇する技術で、米国で風力と太陽光の商業化に大きく貢献した税額控除に似ている。
現在、CCUSにはさまざまな形態が見られる。たとえば、回収された炭素がセメントや鉄鋼の製造に使われ始めている。空気から直接二酸化炭素を取り出す「直接空気回収」(direct air capture:DAC)は、以前は非現実的な技術と思われていたが、進歩しており、規模も拡大しつつある。
さらには、そもそもの原点に立ち返ろうとする「自然を基盤とした解決策」という概念も唱えられている。これは、要するに森林とか、作物とか、緑の自然のことだ。母なる自然の力がこれまで過小評価されてきたという可能性は十分にある。そこでは植林や農法の改良が1つの手段になる。また、いくつかの研究プロジェクトでは、二酸化炭素の吸収量が多い「スーパー植物」の開発も目指されている。
その目標は、ソーク研究所の「植物活用計画」によれば、植物を「訓練」して、「炭素を蓄える能力を高める」ことにあるという。これは言い換えると、炭素の排出ギャップを埋める取り組みにおいて、植物は今思われているより大きな役割を果たすことができ、CCUSの重要なレパートリーの1つになりうるということだ。