じじぃの「科学・地球_360_気象の世界ハンドブック・人間による要因・化石燃料(CO2)」

CO2 Emissions by Country - 1850/2020

動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=YUi31_ZrHTE

国別でみる住民1人あたりの二酸化炭素排出量


Where in the world do people emit the most CO2?

October 04, 2019 Our World in Data
The world’s largest per capita CO2 emitters are the major oil producing countries; this is particularly true for those with relatively low population size. Most are in the Middle East: In 2017 Qatar had the highest emissions at 49 tonnes (t) per person, followed by Trinidad and Tobago (30t); Kuwait (25t); United Arab Emirates (25t); Brunei (24t); Bahrain (23t) and Saudi Arabia (19t).
However, many of the major oil producers have a relatively small population meaning their total annual emissions are low. More populous countries with some of the highest per capita emissions - and therefore high total emissions - are the United States, Australia, and Canada. Australia has an average per capita footprint of 17 tonnes, followed by the US at 16.2 tonnes, and Canada at 15.6 tonnes.
https://ourworldindata.org/per-capita-co2

『地図とデータで見る気象の世界ハンドブック』

フランソワ=マリー・ブレオン, ジル・リュノー/著、鳥取絹子/訳 原書房 2019年発行

人間が気候を妨害するとき より

1979年、気候にかんする初の国際会議で開かれて以降、世界中の気候学者が地球の気候の安定のために動員されている。1990年と1995年、2001年、2007年、2014年までの5回、気候変動に関する政府間パネルIPCC)によって発表された気候の評価報告書作成には、国際的な科学者3000人近くが参加、つねにより正確に事実を確認している。気候システムへの人間の影響は明確だ。2021年に予定されている第6次評価報告者でも、それが再評価されるだけだろう。

いっぽう、1000年単位の気候のゆれや変動を口実に反論している気候温暖化の懐疑派は、その言説を引っこめるしかなさそうだ。IPCCの第5次評価報告者では、大洋や大気が受けとって保存したエネルギーの増加において、自然の要因がほとんどかかわっていないことが明らかになっている。現在の地球のエネルギー均衡の変化は、人的活動の結果であり、おもに、二酸化炭素を排出する化石エネルギーが原因なのである。

わたしたちの知的レベルはいま、その原因を特定し、解決法を策定するまでに達している。あとは知性と意志を結集し、状況からいって避けて通れない、環境を配慮したエネルギーの移行を働きかけるだけなのである。

化石燃料に由来する二酸化炭素の放出

産業革命以降、人間はいわゆる化石燃料(石炭と、つづいて石油、天然ガス)を使用する活動によって、大気中の二酸化炭素放出を継続して高めてきた。これら人的活動による放出は自然の温室効果を高め、その影響が追加されて気候を変えるまでになっている。

二酸化炭素が記録的に上昇

化石燃料は、光合成によってつくられた有機物が何億年ものあいだに蓄積してきた炭素を主要構成物としている。炭素は生物や土壌有機物[動植物の残留物や微生物細胞、その分解物など]に貯蔵されているのだが、しかし海洋にも溶解しており、もちろん化石燃料の鉱脈にも貯蔵されている。そして化石資源を燃焼すると、この炭素は二酸化炭素に変わる。
極地の氷に閉じ込められた気泡のおかげで、科学者たちは大気中の二酸化炭素濃度を、1750年から現在まで比較することができた。それによると濃度は1750年(産業革命のはじまり)の280ppmから、2015年には400ppmとなり、40パーセント以上も増大していた。この変化の時間的な範囲を見定めるために、IPCCの専門家が強調するのは、最後の氷期の終わりに二酸化炭素濃度が80ppm上昇するのに、5000年以上の期間が必要だったことだ。産業革命以前の100万年間は、二酸化炭素濃度は270ppmかそれ以下だった。

最大の放出国――数字の問題

人的活動による二酸化炭素の排出量を国別にならべると、トップが中国(年に約100億トン)で、ついでアメリカ(52億トン)、欧州連合(46億トン)、インド(24億トン)、ロシア(18億トン)、そして日本(12億トン)と続く。

しかし、排出量を住民数、つまり1人あたりのトンで見てみると、もっとも排出しているのはカタールの40.4トンで、アメリカ(16.5トン)とともに意識が非常に低く、ヨーロッパ(9.1トン)や、中国(6.2トン)、フランス(5.7トン)、チリ(4.2トン)、アフガニスタン(0.2トン)、そしてレソト(0.01トン)を大きく引き離している[なお、日本は約9.2トンである]。

最初の国別アプローチは、温室効果ガス排出削減の国際的議論の基盤となっている。2番目の1人あたりの排出量で明らかなのは、人が生活様式を変える覚悟をすれば、気候温暖化を抑制できるということだ。
ところで19世紀の終わり、大気中の二酸化炭素は約8600億トンだった。1950年、化石エネルギーの燃焼によって追加で排出された二酸化炭素は年に55億トン、1970年は165億トン、1990年は234億トン、そして現在は290億トン以上になっている。排出される炭素の約半分は海洋(4分の1)と、植物や大地(4分の1)といった自然の井戸に吸収され、残りの半分は大気中に蓄積される。
現在、この追加の排出量をすくなくとも半分に削減することが必要不可欠とされている。それが今世紀末までにゼロに向かわせるための最初の段階だろう。