じじぃの「科学・地球_113_46億年の物語・赤い地球・光合成と大酸化イベント」

Older fossils that have been found show that life on Earth began before 3,500 million years ago

動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=PY8fTEIDAxA

Older fossils found on Earth began before 3,500 million years ago

エネルギー生物学⑫ 光合成の誕生・上

2016年06月13日 没落屋
●35億年前からシアノバクテリアはいたのか?
この話と合致する証拠がある。変成しておらず、かつ、古い岩石は世界に二ヵ所しかない。西オーストラリア北西端のピルバラ塁層群(4p117,5p97)と、南アフリカ東部のバーバートン山地のスワジランド塁層群だ(4p118,5p97)。西オーストラリアのピルバラ塁層群の一部、ワラワーナ層群は堆積岩と火山岩からなり、35億年前に形成されたのだが(5p79)、1987年にカリフォルニア大学ロサンジェルス校の古生物学者、ウィリアム・ショップ(J. William Schopf, 1941年~)教授は、このワラウーナに産出するチャートから現在のシアノバクテリアに似た微生物が見つける。
そして、現代のストロマトライトと類似していた構造が見つかったのだ(1p54,1p223,3p33,4p123,5p91)。バーバートン山地のチャートにも化石を思わせるフィラメント状の構造は存在する(5p97)。
http://fidelcastro01.seesaa.net/article/438982605.html

地球進化 46億年の物語 ブルーバックス

著:ロバート・ヘイゼン 訳:円城寺守 渡会圭子

はじめに より

岩石に刻まれた記録を調べるほど、生物と無生物のどちらも含めた自然界が、何度も形を変えているのがわかる。
これまで語られなかった壮大で複雑に絡み合った生命と非生命の領域には驚きがあふれている。私たちはそれらを分かち合わなくてはならない。それは私たちが地球だからだ。地球上の物質すべて、私たちの肉体をつくる原子と分子も、地球から生まれ、地球に戻る。私たちの故郷を知ることは、私たちの一部を知ることなのだ。
第1章 誕生 地球の形成
第2章 大衝突 月の形成
第3章 黒い地球 最初の玄武岩の殻
第4章 青い地球 海洋の形成
第5章 灰色の地球 最初の花崗岩の殻
第6章 生きている地球 生命の起源
第7章 赤い地球 光合成と大酸化イベント
第8章 「退屈な」10億年 鉱物の大変化
第9章 白い地球 全球凍結と温暖化のサイクル
第10章 緑の地球 陸上生物圏の出現
第11章 未来 惑星変化のシナリオ

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『地球進化 46億年の物語』

ロバート・ヘイゼン/著、円城寺守、渡会圭子/訳 ブルーバックス 2014年発行

第7章 赤い地球 光合成と大酸化イベント より

酸素をつくる

では酸素はどこから生じたのだろうか? そう、光合成だ。これは植物の優れた能力で、水、二酸化炭素、日光を利用して生体の組織をつくる一方で、副産物として酸素を生み出す。地球が生物の棲める場所になったのは、植物が中心的な役割を果たしたことを、私たちは当たり前のように受け入れているが、光合成の発見は科学界における大いなる進歩の1つだった。そして他の重大発見と同じように、この発見も少しずつなされたものだ。
最初は水の役割の発見だった。植物の成長の細かいメカニズムは、17世紀にはよくわかっていなかった。植物の体はミネラルが豊富に含まれる土から生じ、植物が成長するときそれが消費されると考えられていた。
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100年後、イギリスの聖職者で博物学者のスティーブン・ヘイルズが初めて、植物の成長は水だけでなく、空気の成分にも因っていることを提言した。その成分とは大気中にわずかに含まれる二酸化炭素である。現在では、土壌中の水と空気中の二酸化炭素の両方が、光合成を行う生命体の主成分であるとわかっている(大気中の二酸化炭素の存在に気づいたのはファン・ヘルモントだが、皮肉にもそれが植物の成長に中心的な役割を果たしているとは気づかなかった)。
そうはいっても日光の役割は謎のままで、詳しいことがわかるまでさらに300年かかった。その道を開いたのが核物理学だ。サイクロトロンという新世代の加速器の出現により、放射性同位体である炭素11の安定的な供給が初めて可能になった。炭素11は生体反応を調べるのに使われる。1930年代後半、カリフォルニア大学バークリー校のサミュエル・ルーベンとマーティン・ケイメンが、植物を炭素11の”標識”がついた二酸化炭素中で生育させた。こうすることで、放射能を利用して植物の組織に入り込んだ二酸化炭素を追跡できるが、炭素11の半減期が約20分と短いために、作業は非常に難しかった。
1940年、ルーベンとケイメンは、炭素14をつくり出す方法を発見した。これは半減期が5730年と長く、標識用の同位体としては炭素11よりはるかに適している。その発見が生物物理学を根本から変え、植物がどのように水、二酸化炭素、日光を利用しているのかについての理解が急速に高まった。簡単に言ってしまうと、ルビスコという便利なたんぱく質――シアノバクテリアなどに見られ、30億年以上前から存在していたと考えられている――が、二酸化炭素と水を凝集させ、太陽エネルギーを吸収して、それらを組み立てて生物の材料をつくるのだ。光合成の反応では、藻類などの植物は6個の二酸化炭素分子と、6個の水分子を消費して、6個の酸素分子と、副産物として1個のブドウ糖分子をつくる。この反応は、(鉄が錆びるような)酸化還元反応の一例である。この場合、二酸化炭素の炭素原子が電子をもらって還元し、水や他の電子を与える原子が酸化する。光合成では、日光はエネルギーを増やして電子の移動をあと押しする。
化学反応をまとめると、二酸化炭素と水(あるいは電子を提供できる化学物質)で、糖と他の生物分子ができるということなので、簡単に思えるかもしれないが、光合成は非常に複雑で、今でもすべてが解明されたわけではない。1つには、微生物が日光や他の源からエネルギーを集めるのに、多くの異なった方法を見つけたことがあげられる。今日、酸素を生み出す藻類など植物のほとんどが、鮮やかな緑の色素クロロフィル葉緑素)を使って、赤と紫の波長の光を吸収する。しかし地球の歴史を通して、さまざまな種類の細胞が、酸素をまったくつくらないタイプの光合成を行っている。光を吸収するクロロフィルに代わる色素が進化して、紅藻類、褐藻類、紅色細菌、きわだって美しい珪藻や地衣類を、さまざまな色で彩っている。とくに独創的な微生物は、光合成反応のエネルギーとして赤外線放射(人間の目には見えないが、素肌は熱エネルギーとして感じる)を利用している。

化石の証拠

酸素をつくるメカニズムの中で、最も優れているのは光合成であることに異論はないだろう。しかし光合成と酸素の生成は、どのようにして始まったのだろうか? 大昔の遺物の断片を詳しく調べ、過去の生物と現在の生物のつながりを見るのは、古生物学者の仕事だ。彼らが20億年以上前の地球に酸素が存在していた証拠を、まっさきに見つけたのも不思議ではない。昔の光合成を調べるのに、化石ハンターたちがまず目を向けたのが地球最古の岩石だ。
光合成を行っていた細胞の化石は、存在したとしてもごくわずかだ。その貴重な微生物の化石は、土に埋もれ、熱せられ、押しつぶされ、化学変化を起こしながら、数十億年の間、情報を保持し続けた。今残っているものは焦げたりつぶされたりしていて、生物学的に説明するためには、豊かな想像力を必要とする。微生物の化石は小さな黒いしみが散っているようにしか見えないことが多いため、20億年以上前の微生物の化石を報告すると、懐疑の目を向けられるのもしかたないところだ。
過去40年、古生物の厳格な基準を守ろうとしてきた一人が、カリフォルニア大学ロサンゼルス校の古生物学教授、J・ウィリアム・ショップである。大昔の微生物の化石研究に基づき、彼は生命の存在を確認するのに必要かつじゅぶんな性質についてのチェックリストを作成した。最初により近い時代の、保存状態がよくて疑問の余地の少ない試料を中心に調べ、誰もが納得できる形で古い化石の記録をさかのぼり、30億年以上前の始生代まで行きついた。
ショップの定めた基準は単純で筋が通っていた。微生物の化石は、その微生物が棲息可能と思われる環境で、それに合った時代の堆積層で見つかったものであること。大きさと形が統一されていること。古い岩石の多くで見られるような、決まった形のない黒いしみや縞模様ではなく、一貫して、球体、棒形、鎖状などだ。ショップと彼の教え子たちはまた、統計を用いて観察にはつきものの主観性を排し、地球最古の堆積岩を調査した。
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ショップは「地球最古の化石のレーザー=ラマン分光分析像」という記事を、同じ号で発表して応戦した。ショップらはエイペクス・チャートの炭素を多く含む塊を新たに分析し、同位体組成と原子構造が生命体と一致していることを示した。彼は堂々と「最古の化石」と言い続けたが、その微生物が光合成を行っていたという主張は控えた。それでもショップの主張への疑念の芽は摘まれることがなく、初期生命体の証拠発見のハードルは高くなった。
(最近、マーティン・ブレイジャー(オックスフォード大学の古生物学者)とオーストラリアの共同研究者たちが、”最古の化石”を発見したと主張している。微生物の遺骸で、34億年前に形成されたストレリー・プールで発見された。いまだ論争中のショップの化石が発見されたところからは、わずか30キロメートルしか離れていない。この発見で議論に終止符が打たれると考える研究者はほとんどいない。)