じじぃの「科学・地球_47_SDGsの世界ハンドブック・鉱山・エネルギー資源・レアアース」

Why China's Control Of Rare Earth Minerals Threatens The United States

動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=NtNU261NVrg

Huge deposits of rare earth elements found near Japanese island

動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=G_ye1_ycc8c

Renewable Energy Requires Rare Earth Minerals | China Holds Most Of Them

May 31, 2019 Clear World
About 35% of rare earth global reserves are in China, the most in the world, and the country is a mining machine, producing 120,000 metric tons or 70% of total rare earths in 2018, according to the United States Geological Survey.
The U.S. pales in comparison as it mined 15,000 metric tons of rare earths in 2018 and has a total of 1.4 million metric tons of reserves, versus China’s 44 million.
https://clearworld.us/renewable-energy-requires-rare-earth-minerals-china-holds-most-of-them/

『地図とデータで見るSDGsの世界ハンドブック』

イヴェット・ヴェレ、ポール・アルヌー/著、蔵持不三也/訳 原書房 2020年発行

19 持続可能な開発からほど遠い不平等な世界 より

地球上に住む人々のあいだにはつねに大きな不平等(格差)が存在してきたが、その一部はなおも増幅しつづけている。25年前には最貧困層(10%)の約7倍であったOECD諸国における最富裕層(10%)の可処分所得の平均は、今日では約9.5倍となっている。衛生環境や食生活の分野において改善こそみられるものの、社会的不平等は顕著である。極度の貧困状態で暮らす人々の数はここ30年で10億あまりに減少した(世界銀行調べ)。2005年から2015年にかけての10年間で、栄養失調状態にある人々の数は10億から8000万になった。とはいっても、環境問題(生物多様性の劣化、気候変動ないし温暖化、海洋汚染)は山積しており、これらは不適切で容認しがたい管理の仕方に起因する。人類全体としては持続可能な開発のスタンダードから今もほど遠い状況にあり、最貧困層は社会的・経済的な機能障害のあおりを真っ向から受けている。それゆえ、貧困の削減と根絶は持続可能な開発目標の核心をなすものといえる。

52 鉱山・エネルギー資源 より

石油会社サウジアラムコ[サウジアラビアの国有石油会社]の最高経営責任者は、「今日、70億人の地球の住民の3分の1に満たない人々が全エネルギー供給量の3分の2を消費している(…)。しかし、2050年までには、あらゆるタイプのエネルギー需要を高めながら、90億人が豊かな人生を希求するであろう」との見解を示している。同様に、鉱山資源の需要も上昇が見こまれるが、これらの資源は論争の的であり、強い緊張状態の原因ともなりうる。

十分な化石燃料

石油や天然ガス、石炭、褐炭などの化石燃料は、最終エネルギー消費においてつねに重要な位置を占めている(全体の66%。そのうち石油のみで40%、天然ガスが30%、石炭が11%)。
国際エネルギー機関(IEA)は、2030年までにこの状況に変化がみられることはないだろうと予測している。石炭はその豊富さと価格の低さから依然として多量に用いられており、中国、インド、インドネシア南アフリカでそれがいちじるしい。石油資源と天然ガス資源は海洋掘削(近年ではより深い海域での)が主流である。地上においては、ハイドロリック・フラクチャリング[水圧破砕。地下の岩体に高圧の水を注入して粉砕し、地層に亀裂を生じさせることで石油や天然ガスなどの流路を確保して収率を増加させる手法。化学物質をふくむ水の使用による汚染や自身の誘発など、環境への悪影響が指摘されている]と、水平掘削[垂直に堀りはじめた坑井を徐々に曲げていき、最終的に水平になるまで傾斜させる掘削技術。坑井あたりの生産性を向上させることを目的とする]の両技術により、アメリカ合衆国ではシェールガスシェールオイル[シェール(頁岩)層から採れる天然ガス原油]の開発が進んだ。
今日確認されている石油、天然ガス、石炭の埋蔵量は、2016年の世界の産出量のそれぞれ50.6倍、52.5倍、114倍にあたる。一次エネルギー(石油)に対する需要はEUにおいて安定しているのに対して、中東やインド、中国においては上昇しつづけている。世界における一次エネルギー需要は1990年から2015年にかけて平均して年間1.7%の割合で上昇し、この流れは今後も続いていくはずだが、2030年までの増加のリズムはよりゆるやかなものになるであろうとの予測もある(国際エネルギー機関)。

電力消費

電力消費は、世界のさまざまな地域の発展度を測定することを可能にする指標のひとつであり、と同時に、持続可能な開発の重要な争点のひとつでもある。2016年における世界の電力消費量は、2015年より2.9%多い2万3107TWhであった。10ヵ国で全消費量の70%近くが使用されており、上位3ヵ国は中国(5898.9TWh)、アメリカ(4147.5TWh)、インド(1216.1TWh)となっている。電力は太陽エネルギー、風力エネルギー、小規模水力発電所などによっても生産可能である。
だが、世界の10億の人々は――とりわけアフリカにおいて――電気を利用できない状態にあり、住民1人あたりの年間電力消費量はアフリカ全体では566kWh、中国では4057kWh、アメリカでは1万2833kWh、と世界的にみて大きな不均衡がある。

鉱物のニーズ

地殻に比較的豊富に存在する17の元素からなるレアアースないし希土類元素ランタノイド[15元素の総称]、スカンジウムイットリウム)はしだいに重要性を増している。その埋蔵量は1億1500万トンと推定され、年間の消費量はおよそ15万から20万トンである。レアアースには多くの用途がある(石油の精製、風車の製造、テレビのブラウン管、コンピュータのモニター、レーダー、さらにとりわけ電動機用磁石)。レアアースの重要な生産国であると同時に消費国でもある中国は、世界全体の埋蔵量の44%を有しており、ブラジル、オーストラリア、アメリカ、インドなどよりはるかに抜きん出ている。

2009年から10年にかけて中国は輸出の割当量を定めたが、そのためレアアースの市場価格を大幅に上昇させることになった。
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エネルギー資源と鉱物資源は経済の基本である。だが、多くの場合、それらの開発は環境破壊の一要因となっており、持続的開発と共存することはむずかしい。その戦略地勢学的次元は、世界を持続可能な開発とほとんど両立できない地政学的なリスクにさらしているのだ。