Rare Earth: How the US plans on rivaling China in the production of critical earth minerals
レアアース(希土類 Rare earth elements)
中国北部の内モンゴル自治区にあるバヤン鉱区
China’s rare earth still needs an edge up in technology for high-end products
2020/10/13 Global Times
China is the world’s biggest supplier of rare-earth elements, the crucial component in an array of high tech and military applications.
However, due to a lack of technology patents - which would transform the production chain from mining and extraction to more value-added products - the industry continues to be cursed by thin margins and illegal mining and exports.
https://www.globaltimes.cn/content/1203383.shtml
第1章 レアメタルの呪詛 より
レアメタル消費は加速する
こうしたさまざまな技術開発(新モーターやエンジンなどの発明)によって、採掘する金属の種類が増加した。人類が古代からルネサンスまでに利用した金属は7種類に過ぎず、20世紀半ばまでにおよそ10種類、1970年には20種類だったが、現在はメンデレーエフの元素周期法にある86の全金属を利用している。
しかも、消費量は爆発的に増加したが、これはまだ序の口だ。世界で使用される3つの主なエネルギー資源(石炭、石油、天然ガス)の消費が横ばい、あるいは減少、少なくとも弱い増加を示しているのに対し、レアメタルの需要は大きな増加が予測されている。世界中ですでに金属類は年間20億トン以上消費されている。1日当たりの消費がエッフェル塔500個以上に相当する。ある調査によると、2035年にはゲルマニウムの需要は2倍、ジスプロシウム、タンタル、パラジウムは5倍になると予想される。スカンジウム市場は9倍、コバルト市場は24倍になる可能性がある。つまり、レアメタル・ラッシュだ。今後、資本主義の耐久力はグリーンテクノロジーとデジタルテクノロジーに依存することになるだろうが、その資本主義は過去2回の産業革命を支えた燃料への依存を減らし、来るべき転換を支える金属への依存を強める。
米地質調査所とEU委員会の一次産品を担当するグループは初めて世界のレアメタル生産地図を作成した。それによると、南アフリカはプラチナとロジウム、ロシアはパラジウム、アメリカはベリリウム、ブラジルは二オブ、トルコはホウ酸塩鉱物、ルワンダはタンタル、コンゴ民主共和国はコバルトなど、それぞれのレアメタルに主要生産国がある。
しかし、レアメタルの多くを供給しているのは中国である。アンチモン、ゲルマニウム、インジウム、ガリウム、ビスマス、タングステン、そして、とりわけ、優れた電磁気性、光学的、化学的特性、触媒作用において高機能で、グリーンテクノロジーの王者ともいうべきレアアースの主要生産国だ。レアアースとは17元素のグループで、スカンジウム、イットリウム、ランタン、セリウム、プラセオジム、ネオジム、サマリウム、ユウロピウム、カドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム、ルテチウム、プロメチウムである(画像参照)。
レアメタルの闇取引と環境汚染
大量のレアアースが採掘されているのは、中国内陸部の江西省である。
ワン・ジンさんはそのことをだれよりもよく知っている。私たちは星光(せいこう)村で、この若々しくて明るい顔をした24歳の青年に会った。その地方の山地を熟知しており、快く私たちの案内を引き受けてくれた。彼はユーカリの林に隠れた違法鉱山で何年も働いていた。顔を真っ黒にした男女がどうやって赤っぽい岩石の起伏を削り取り砕いたかを話してくれた。
週7日、1日24時間、山には人間がうごめいていたという。数百ユーロの月給をもらう鉱夫たちは、油圧ショベルとつるはしででこぼこになった地べたにじかに寝たそうだ。こうした恐ろしいスピードで数十万トンのレアアースがこの山々から奪い取られた。しかし、2年前に中国当局はこの違法採掘を禁止し、重い罰金を科した。国外に密輸されるはずだったレアアースのストックがすべて、数百キロメートル南の広東省の港で没収され、数十人の密輸業者が収監された。
しかし、しぶとい人たちは人が立ち入りにくい土地に隠れた。彼らは欲に目のくらんだ地元警官のおかげで隠れて採掘できているらしい。こうして、中国の膨大な闇市場にレアメタルを供給し、精錬を経て世界中に輸出されるのだそうだ。
私たちが江西省の山あいで見かけたのは、それだった。あの3人の男たちは知っていたに違いない。バイクに乗った男は何度も私たちを脅しつけた。テントから遠ざかったほうがよさそうだ。探していたものを実際に見ることはできなかった。レアアースの採掘による大きな環境汚染の証拠を探していたのだが……。
「毒ですよ。レアアースが精錬されると、使われると、使われた化学薬品はそのまま土壌に流されていました」とワン・ジンは言った。
レアメタルの厄災は世界に広がる
レアメタルによる汚染は何も中国に限ったことではない。世界のコバルト需要の半分を供給するコンゴ民主共和国など、ほかの生産国も同様だ。電気自動車用のリチウムイオン電池の多くに不可欠なコバルトの採掘は昔ながらのやり方だ。コンゴではスコップやつるはしを持った10万人ほどの鉱夫が土地を掘り返して採掘する。とくに南部のルアラバ州ではそのやり方だ。国が鉱山活動を規制する能力がないために、周辺の皮の汚染や生態系の破壊が多く見られる。コンゴの医師たちの調査によると、上カタンガ州ルブンバシ市の鉱山周辺の住民の尿に含まれるコバルト濃度は通常の43倍に達したものもある。
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地殻から鉱物を採掘することは、それ自体が汚染を生じる活動だ。鉱業の盛んな国々で責任と倫理観がほぼ欠けたやり方がされていたために、エネルギー転換とデジタル化の高潔な意図は必然的に問い直されなければならなくなった。ブラックスミス研究所の最近の報告書によると、鉱業は世界で2番目に汚染の多い産業である。前回2013年の調査からワンランク上がった。世界中でやめようとしている石油化学産業はそのランクの10位にも入っていない。レアメタルの世界供給における中国の優位性から考えると、この国の環境パフォーマンスを考慮せずに地球温暖化との闘いの進歩を正確に評価するのは不可能だ。
こうしたレアメタル採掘の環境への影響を見ると、グリーンテクノロジーの進展に懐疑的な見方をせざるを得ない。ソーラーパネル、風力発電機、電気自動車、低消費電力照明を設置する以前の段階ですでに、そのエネルギー・環境収支のひどさの「原罪」にぶつかる。グリーンテクノロジーのライフサイクル全体の環境負荷を正確に算定するべきだろう。