じじぃの「科学・地球_70_レアメタルの地政学・海底資源探査・南鳥島」

Japan finds huge deposit of rare-earth minerals

動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=xLbfK1p9SyI

rare earths Minami-Tori-shima Island

Mining at deep sea

15 September 2014 downtoearth
●Rare earth effect
India has collaborated with Japan since November 2012 to develop rare earth materials. As part of India-Japan strategic collaboration, an agreement was signed for exploration and production of rare earths, following which India is setting up a monazite processing plant in Odisha.
In April 2013, Japan disclosed discovery of a bounty of rare earths in the seabed around Minami-Tori-shima Island. Scientists claim the reserve holds 20 to 30 times more minerals than those being mined in China.
https://www.downtoearth.org.in/coverage/mining/mining-at-deep-sea-46049

レアメタル地政学 資源ナショナリズムのゆくえ』

ギヨーム・ピトロン/著、児玉しおり/訳 原書房 2020年発行

第9章 最後の聖域の終焉 より

大洋征服の賭け

パリ市よりわずかに大きいだけのウォリス・フツナ(タヒチニューカレドニアの間にあるフランス領土)では、フランスの主権を存続させるための例外が多い。それにはいくつかの理由がある。まず、ウォリス・フツナ諸島のおかげでフランスのプレゼンスが太平洋にまで及ぶこと。つまり、世界最大かつもっとも交易の盛んな太平洋に監視権を主張することができるし、地域の期間(太平洋諸島フォーラム)での交渉に意見が述べることができるし、事実上隣り合う国々――とりわけオーストラリア――とのパートナーシップを発展させることもできる。最近の仏国防白書でも「仏領ポリネシアとウォリス・フツナのおかげでフランスは太平洋における政治大国、海洋大国であることが可能である」と書かれている。
とりわけウォリス・フツナはフランスに、「大きな鍋」への独占的アクセスを与えてくれる。数年前から、フランス地質鉱山研究所(BRGM)、海洋開発研究所(IFREMER)と鉱業会社エレメットはクロラジ旧海底火山によって形成された直径20キロメートルの巨大なクレーターを探索しているが、それが「大きな鍋」と呼ばれる。そこにはレアアース鉱床という莫大な宝が隠されているのだ。
このことが発表されると、ウォリス・フツナでは議論が起こった。フランス本国だけが利益を手に入れることを恐れ、部族の首長たちは地上と海底の両方の土地への先住権を主張した。多くのフツナ住民に、ウォリスの議員も後から加わり、開発活動の即時停止を要求した。「王会議の大臣のひとりはレアアースを理由に独立すら持ち出してきた」と、ジミュネック氏は言った。
しかし、フランスは抵抗した。「われわれはいっしょにいる必要がある。みんな、いっしょに」とオランド大統領はウォリス・フツナのふたりの王を訪問した際にスピーチで強調した。海底の鉱物資源開発の重要性を説明し、最後に「フランス万歳、ウォリス・フツナ万歳、共和国万歳!」と締めくくった。
鉱物資源はウォリス・フツナだけに限ったことではない。タヒチ島やメキシコよりのクリッパートン島のフランスの排他的経済水域にも海底にもレアメタルの埋蔵がある。ほかの国々も太平洋や大西洋で同様の発見を公表した。

たとえば、日本は最近、東京から2000キロメートル南の小笠原諸島南鳥島付近で、かなりの量のレアアースの埋蔵を発見したと発表した。地球の表面の71パーセントを占める海にあるのは水産資源だけではない。海と関係がある経済活動「ブルーエコノミー」はすばらしい潜在的富を秘めているのだ。

このように、レアアース(そしてエネルギー転換とデジタル転換)戦争を海底にまで及びつつある。新たな鉱物ラッシュが起こりつつある。海洋開発の先鋒、カナダのノーチラス村はパプアニューギニア沖で将来、開発が可能な20ヵ所を特定した。もちろん中国も手をこまねいてはおらず、記録的な深さにもぐる海底探査潜水艦を建造した。「中国は欧米にない資金を豊富に持っている。海洋開発は始まったばかりだ」と、ある海洋地球科学の専門家は解説してくれた。事実、国際海底機構には開発許可申請が殺到しているそうだ。
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こうした水域獲得ゲームに乗り出したのはフランスばかりではない。カナダ、オーストラリア、ロシア、日本、コートジボワールソマリアなどおよそ10ヵ国が排他的経済水域の拡大を申請している。デンマークは同国領土グリーンランドの南の大陸棚、ロシアは北極海の海域の一部の大陸棚、ノルウエーは亜南極のブーヴェ島と南極のクイーン・モードランドの大陸棚、モーリシャスはロドリゲス島の大陸棚、パプアニューギニアオントンジャワ海台セーシェルはマスカレン海台の北部分について申請している。詐欺師のような手段を使う国もある。たとえば、中国は南シナ海に人工島を建設して、周囲の排他的経済水域を出張している。
つまり、地球の71パーセントを占める海洋は何千年もの間だれのものでもなかったのに、最近6年くらいの間にその40パーセントがある国々の排他的経済水域になり、さらに10パーセントが大陸棚拡大申請の対象となっているのだ。それが認められれば、海に面した領土を持つ国々は海底の57パーセントの主権的権利を有することになる。とりわけレアメタルの宝に惹かれ、わずかな間に海の占有化の試みが実行されたのだ。