じじぃの「歴史・思想_237_中国の行動原理・国家海洋局の盛衰」

Revealed - Here's Why the US Navy Deploys 3 Aircraft Carriers to Indo-Pacific

動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=GbIxVJpLblw

DF-41 Hypersonic Intercontinental Range Ballistic Missiles

China Finally Unveils DF-41 Hypersonic Ballistic Missile: Nuclear Strikes From Beijing to Washington in 30 Minutes

Military Watch
The DF-41 makes use of a solid fuel composite much like the American Minuteman III, meaning it can be stored fully fuelled and has a considerably shorter launch time than liquid fuelled missiles such as the Russian RS-28 Sarmat or North Korean Hwasong-15.
The missile has the longest range of any ICBM in service outside Russia, and can reportedly carry up to a dozen thermonuclear warheads in its multiple reentry vehicle making strikes extremely difficult to intercept. The missiles are highly manoeuvrable in flight and are capable of impacting their targets at high hypersonic speeds, with a maximum speed of Mach 25. The platform’s ability to deliver nuclear strikes from China to the United States mainland in just thirty minutes has been strongly highlighted in Western media reports on the DF-41’s unveiling.
https://militarywatchmagazine.com/article/china-finally-unveils-df-41-hypersonic-ballistic-missile-nuclear-strikes-from-beijing-to-washington-in-30-minutes

『中国の行動原理-国内潮流が決める国際関係』

益尾知佐子/著 中公新書 2019年発行

海洋問題はなぜ噴出したか――国家海洋局の盛衰 より

尖閣諸島領有の主張と上部からの制約

改革開放初期に国家海洋局の局長だった羅鈺如が第1編者を務め、1985年に出版された『当代中国的海洋事業』は、当時の中国の海洋認識を示す貴重な書籍である。特に興味深いのは、同署が南シナ海の島々と尖閣諸島の領有権について、対照的な記述を行っていることだろう。
南シナ海の島々について、同書は強く領有権を主張したが、尖閣諸島についてまるでタブーのように言及を避けている。1978年8月の日中平和友好条約の最終交渉では、同年4月の中国漁船の尖閣諸島領海侵犯事件を指し、園田直外相が鄧小平副総理に対して、「尖閣問題についての日本の立場は閣下のご承知のとおりであり、先般のような事件を二度と起こさないで欲しい」と述べた。これに対して鄧小平は、「中国政府としてはこの問題で日中間に問題を起すことはない」と発言した(「尖閣問題『中国側は話し合いを控えたいとし、日本側は聞きおくに留めた』」『外交』第18号)。同書の記述は、このときの鄧の約束と符号する。
それでも同署は、尖閣諸島問題と密接に関連する東シナ海の大陸棚の権益については、多くのページを割いて確保を強く主張していた。つまり中国の海洋専門家たちは、尖閣諸島の領有権主張について上部から言うなと制約された後も、大陸棚権益の確保という観点から、大陸棚の上に乗る尖閣諸島に関心を寄せ続けたようなのである。
海洋権益への強い関心は、国家海洋局だけでなく、中国国内の海洋関係者に共通していたようだ。1988年3月、中国はソ連の庇護を失ったベトナムと交戦し、スプラトリー6島礁を奪った。中国では前年夏から周到に攻撃準備が進められたが、海軍の制海・制空能力が低すぎたため全海域の占拠を断念し、攻撃目標を限定した。中国は1992年2月に「領海法」を制定し、国内法で初めて、南シナ海の島々と同様に尖閣諸島を中国領と明記した。「領海法」の起草工作には、国家海洋局も参加している。
中国は1993年に石油の純輸入国に転じた後、積極的に海底油田の探査を行っている。東シナ海について、日本は沿岸基線の等距離中間線で排他的経済水域EEZ)を分けるべきを考えていたが、1994年頃から国家海洋局の科学調査船がその東側にも姿を現し、さらに尖閣諸島の周辺を徘徊するようになる。また、1992年11月にフィリピンから米軍が撤退すると、中国海軍は95年初めまでに、フィリピンが実行支配していてミスチーフ礁を占拠した。

「潮流」を決める習近平

国家海洋局の積極的な行動は、結果として、海をめぐる中国の外部環境を極度に悪化させた。海洋問題と外交問題のアンバランスを意識した指導部は、海洋権益擁護の重要性を認め、南シナ海で7島礁の埋め立てを実施しながらも、国際社会で中国の建設的イメージを取り戻そうとする。その代表例が「一帯一路」である。
国家海洋局にとって、国内政治を利用して存在感を急上昇させた代償は高かった。再び国際強調に舵(かじ)を切った指導部は、中国の信用を傷つけた国家海洋局の「罪状」をあらめて認識することになった。
高之国など国家海洋局に所属する国際法学者たちは、政権が主張する南シナ海の「九段線」を弁護するため、「歴史的水域」などの新概念を打ち出し尽力してきた。しかし、2016年7月に発表された仲裁裁判判決でこれが根本的に否定され、中国の国際的なメンツが汚されたことも、指導部の国家海洋局への評価を下げた可能性がある。

中華民族の偉大な復興」という歴史的使命を意識する習近平は、中国の伝統的な社会秩序に基づき、中国全体を再び機能させるために、各方面の権力をあえて自分に集中させた。

彼は海洋問題の重要性を認めるがゆえに、自分の目がより届きやすい中央軍事委員会に中国海警局の指揮権を置き、国家海洋局を解体して、一組織の決断で中国全体が流されるもとのないよう予防策をとった。
2018年には、中国海警局の初代局長だった孟拡偉がリヨンのインターポールから中国に呼び戻され、取材不明のまま辞表が提出された。孟拡偉は翌年、収賄罪容疑で中国共産党を除名され、公職追放処分を受ける。国家海洋局の局内局としての国家海警局も、トップの処分とともに、歴史から徹底的に抹殺されることになった。
中国の最高指導者によるこの引き締め措置で、近隣国にとって中国の海上行動の予測不能性は低下した。しかし、それにはよい面も難しい面もある。最高指導者が自分の国内的な凝集力を高めようとしているときには、中国の実務部隊は自分の判断で意味ある決定をしにくくなる。そのため中国とのビジネスライクな実務交渉はむしろ難しくなり、すべての重要な問題の解決に、中国の最高指導者との良好な政治的雰囲気が求められる。必然的に近隣国の人々も、中国の指導者の顔色をうかがい続けることになろう。