The Belgian Red Devils
festival in Belgium
Greetings from Belgium: A Word from the Japanese Ambassador
2018/5/31 Embassy of Japan in Belgium
https://www.be.emb-japan.go.jp/itpr_en/machikado_007b.html
はしがき より
ベルギー王国について、日本人はどのようなイメージをもっているだろうか。チョコレートの国としての印象があるかもしれないし、無数の地ビールがある国だと知っている人も多いはずだ。また国際政治に詳しい人は、EU(ヨーロッパ連合)やNATO(北大西洋条約機構)の本部を抱える「ヨーロッパの首都」ブリュッセルを首都とする国として思い浮かべることだろう。
こうしたイメージは、それぞれベルギーを言い表している。ベルギーは、面積が約3万平方キロメートル。日本の関東地方とほぼ同じで、人口は1100万強。つまり東京都の人口と同じくらいの小国である。
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そのため、ベルギーの人々の生活の様子は、日本人から見るとのんびりしているように映る。夏休みを長くとり、日光浴を楽しむ。夜もゆっくりと遅くまで食事とビールを味わう。時間に追われて生活している人の姿をあまり見かけない。
この一見のんびりしたようにも見えるベルギーが、独立以来もっとも悩まされてきたのは「言語問題」である。この国の北方は、オランダ語を話す人々が暮らすフランデレン(フランス語では「フランドル」。英語では「フランダース」)地方、または南方はフランス語を話す人々が暮らすワロン地方と呼ばれている。さらに人口の0.5%はドイツ語を話す、多言語国家である。多言語国家はヨーロッパでもスイスやスペイン、アメリカ大陸でもカナダなど数多く、それぞれに問題を抱えているが、それはベルギーでも同様である。
【コラム】スポーツ――サッカーで国家の分裂を阻止? より
ベルギーでもっとも人気のあるスポーツといえば、やはりサッカーである。2002年のFIFA日韓ワールドカップでは日本の初戦の相手がベルギーだった。ベルギーは「赤い悪魔」(ディアブル・ルージュ)と哉バレル。「赤い悪魔」と呼ばれるチームは他にもあるが、ベルギー代表がそう呼ばれたのは1906年4月の対オランダ戦で勝利したとき以来だから、かなり古いほうだろう。
ベルギー人の熱狂ぶりはヨーロッパの他国に負けず劣らず激しい。特に国際試合で「ベルギー」チームが戦うときは、(唯一と言っていいほど)ベルギーの人々が一丸となる。
また、1985年5月29日にブリュッセルのハイゼル・スタジアムで開催されたUEFAチャンピオンズ・カップ決勝(リヴァプール対ユヴェントス)の試合前にサポーター同士が衝突し、39人が死亡した「ハイゼルの悲劇」が生じた。このときベルギー警察は、フーリガン(暴徒)に対する警備の不備を指摘され、これ以来ヨーロッパ全域でフーリガン対策が進められるようになった。今も重要な大会の夜は、街が荒れるときがある。
また、スポーツとベルギーを結びつける人物として、ジャック・ロゲ(1942~)の顔を思い出す人は多いだろう。そう、2020年のオリンピック開催地を「トーキョー!」と発表し、(Tokyo 2020)とかかれたパネルを示した人物。2001年から2013年まで国際オリンピック委員会会長を務めたベルギー人だ。
もともとヘント生まれで整形外科医。スポーツ医学で博士号を取得している。自身もヨットで夏季オリンピックに出場経験がある。その後ベルギーオリンピック委員会会長、欧州オリンピック委員会会長を歴任した。医師出身ということもあり、青少年のスポーツ離れと薬物依存を憂い、ドーピング撲滅が彼のIOC理事就任以来の課題であった。スポーウによるコミュニティの健全な形成をめざそうとしているところは、「サッカーでまとまるベルギー」の人らしい。