じじぃの「科学・芸術_799_ルクセンブルク・1人当たりGDP世界一」

Charlotte, Grand Duchess of Luxembourg, returns from exile in 1945 (in color)

動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=7vhaFi01EfI

世界の平均月収ランキング1位!世界一リッチな小国ルクセンブルクってどんな国?

2017/10/06 たびこふれ
皆さま、ルクセンブルクという国をご存知でしょうか?
周辺国のオランダ、ベルギーと共にベネルクス三国として同盟を組む国です。でも他のメジャーな二国とは違って、どんな国だかすぐにイメージが湧かない人も多いですよね。まだあまり知られていないルクセンブルクですが、実は国民の平均月収が世界1位を誇る世界で最もリッチな国なんです!
https://tabicoffret.com/article/73455/index.html

ルクセンブルクを知るための50章

田原憲和、木戸紗織/編著 赤石書店 2019年発行

まえがき より

ルクセンブルクってドイツのどのあたりにあるんですか?」「ルクセンブルクはドイツの都市だと思っていました」。これまで筆者は幾度となくこのような発言を耳にした。もちろん、ルクセンブルクはれっきとした独立国であり、ドイツの一部ではない。しかし、このような誤解を受けるのもやむを得まい。たしかに日本においてルクセンブルクはマイナーな国であり、「ブルク」という地名がドイツの都市を連想させるのもうなずける。そんなとき、ベネルクスの「ルクス」だと説明すると伝わることが多い。もしかすると、「ルクセンブルク」という国名よりも、「ベネルクス」という呼称の方が有名なのかもしれない。
ベネルクス――いうまでもなくこれはベルギー、オランダ(ネーデルランド)、ルクセンブルクをまとめた呼称である。ベネルクスという呼称が初めて公式に用いられたのは、1948年に発行したベネルクス経済同盟だ。この背景には小国が結束することで大国に対抗するといった図式があるのだが、この3つの小国の中でもルクセンブルクはとりわけ小さい。

ルクセンブルクのあらまし 欧州の小国は世界の中心へ より

ルクセンブルク大公国(以下ルクセンブルク)は欧州の中央部に位置し、ドイツ、ベルギー、フランスと国境を接する。領土面積は約2586平方キロメートルと、神奈川県よりもわずかに大きい程度の小国である。しかし、小国とはいえ独立した主権国家であり、国際社会においてもその役割はけっして小さくない。たとえば、国際連合世界保健機関(WHO)、国際通貨基金IMF)、世界銀行などの国際機関に創立時からその名を連ねる。なかでも欧州統合の進展においては、ドイツとフランスの仲介役を積極的に買って出ることで存在感を示してきた。ピエール・ヴェルナー、ジャック・サンテール、ジャン=クロード・エンカーなど、ルクセンブルク人の有力な政治家が欧州においても要人として力を発揮してきたこと、ブリュッセルストラスブールと並んで欧州の中枢機関が軒を連ねていることからも、この国が小国でありながらも重要な位置を占めていることがわかる。
政治体制は立憲君主制に基づく議会民主義をとっており、世界で唯一の大公国である。現在のアンリ大公は、前大公のジャンより2000年10月に譲位された。ジャンは第二次世界大戦中に義勇兵として連合軍に参加し、また、ジャンの母である当時のシャルロット女大公は亡命先からBBCを通じ国民に向けてルクセンブルク語でナチスへの抵抗を呼びかけた。こうしたことから、大公家はルクセンブルク人の国民意識と強く結びつき、今日でも国家の独立の象徴として敬愛を受ける存在となっている。
ルクセンブルクは言語的にはドイツ語系(ゲルマン語系)に属しているが、歴史的な経緯からドイツ語とともにフランス語が公的な分野で用いられてきた。また、19世紀以来、母語であるドイツ語方言(モーゼル・フランケン方言)を独自の「ルクセンブルク語」として育成してきた。ルクセンブルク語は国民統合の象徴的な存在であるとともに、話者どうしであれば社会的な地位や立場を問わず用いられる言語である。19世紀末以降、ルクセンブルクの教育制度ではルクセンブルク語が母語であることを前提に、ドイツ語、フランス語を習得することが求められていた。その結果、程度の差こそあれ大人になれば3言語を使いこなすようになる。これら3言語を使いこなし、東西に開かれたヨーロッパ人像を希求することで大国に挟まれた小国が独自性を発揮することにつながってきた。また、音楽、文学、映画、演劇などさまざまな文化活動においても、この多言語性は重要な要素となっている。
人口は2018年現在60万2千人で、そのうち半分近い47.8%に相当する約28万8千人が外国人である。国名と同じ首都ルクセンブルク市にいたっては、人口の約70%が外国人である。
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また、ルクセンブルクの経済活動は非常に活発である。世界一ともいわれる1人あたり国内生産(GDP)は10万ドルを超えている。

1970年代初頭までは製鉄業が産業の中核を担ってきたが、産業が製鉄一辺倒であることに危機感を持っていたルクセンブルク政府は、第二次世界大戦後の早い時期に産業の多角化や外国からの投資を推し進め、西側諸国の企業を誘致した。さらに税制上の優遇措置を設けて国際企業の欧州本社をルクセンブルクに設置するよう促した結果、日本の楽天などを誘致することに成功している。また、情報通信産業にも力を入れ、RTLグループや衛星会社SESという2大メディアグループを擁する。今日では第三次産業が国内の87%を占めるに至っている。