じじぃの「科学・芸術_443_近未来・中国とドイツの経済同盟」

China and Germany vow to deepen partnership 動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=O0_uDINic_0
メルケル独首相と習近平国家主席


中国、ドイツに接近鮮明 首脳会談、貿易・環境で米けん制  2017/7/5 日本経済新聞
7日にドイツ北部のハンブルクで始まる20ヵ国・地域首脳会議(G20サミット)を前に、議長国ドイツと中国の接近が鮮明になった。
習氏はドイツとの関係が「新たな局面」に入ろうとしているとも指摘。独シーメンスや欧州エアバス中国企業の提携も発表し、経済協力をさらに深める考えを示した。
https://www.nikkei.com/article/DGXLASGM05H8J_V00C17A7FF1000/
VW不正と中国・ドイツ経済同盟 〜世界経済の支配者か、破壊者か〜』 真壁昭夫/著 小学館 2016年発行
中国・ドイツ経済同盟は「世界経済の支配者」に近づく より
中国・ドイツ経済同盟は、米国に代わる新たな「世界の基軸勢力」となりうる可能性を秘めている。
これは世界第2位の経済大国である中国と第4位の経済大国であるドイツが手を組む強力なタッグだ。両国を合せたDDPは米国に迫り、いずれ米国を凌駕していくと見られる。
このソフトアライアンスが成功していけば、他の欧州諸国なども巻き込み、さらに勢力を拡大させていくかもしれない。
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2015年も中国の大規模な景気刺激策が期待されたが、実際は小出しに終った。しかし、中国・ドイツ経済同盟が誕生すれば、財政的に余力のあるドイツの力を借りることができる。目先の景気不安が高まった時に中国とドイツが手に手を取り合って景気対策に乗り出すことができれば、大きな下支え効果となるだろう。
それに加えて中国・ドイツ経済同盟に期待したいのが、新たな需要の創出だ。
現在、世界は供給過剰な状態にある。この有り余った供給を支えられるだけの需要が世界にはない。当然、需要を見込んだ経済成長率は低下する。だからこそ、世界各国が新たな需要を渇望している。これが中国経済リスクの本質のひとつである。
しかし、逆にいえば新たに世界的な需要が生まれれば、そうした問題は解決する。世界的にあらたな需要の創出が求められているわけだが、中国とドイツの経済的な結びつきは、世界に一定の新たな需要をもたらす可能性があると筆者は見ている。
それはイノベーションとアフリカ市場開発によってだ。
これまで述べてきたように、中国もドイツもインターネットと製造業を融合した新産業の育成を目指したイノベーションを進めている。
ドイツはすでに、インダストリー4.0を掲げ、IT化に加えて人工知能(AI)を活用し、生産工程を自ら考えて最適化する「考える工場(スマートファクトリー)まで構想している。ドイツのこうした製造業の高度化・革新を目指す試みは中国へも影響し、中国はドイツを手本とした中国版イノベーションに取り組んでいる。
中国・ドイツ経済同盟ではこうした協力がさらに進んでいくと考えられる。
こうした製造業の高度化・革新の中でも、これから特に将来性が期待できるのは自動車産業分野だろう。これまでのドイツの自動車産業の取り組みから考えても、また産業規模から考えても、大きな果実となる可能性が高いのはこの分野だ。
ドイツが目指すように、この分野で自動運転技術や自律運転技術など新たなデファクトスタンダードを開発し、これまでにないモノをつくることができれば、その先には手つかずの新たな市場が広がる。これまでにつくってきていないモノを売るということは、これまでにない大きな需要を生み出すことになる。
近年、世界が注目する「最後のフロンティア」アフリカ市場の開発に中国は注力している。
日本の約80倍の面積を誇るアフリカでは、約10億人とされる人口が、2050年には約22億人にまで膨らむと予測され、中国やインドを抜いて世界最大の市場となると見込まれている。
また、GDPも2010年の170兆円から2060年には1500兆円への拡大が予想されている。
21世紀経済の主戦場はアフリカとなる可能性が高い。アフリカ市場を押さえることが、経済成長を志向する国家の命題となりつつまる。
そうしたアフリカ市場でも、特に大きな成長が見込めるのが、やはり自動車産業分野なのである。
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中国だけでなく、そこにドイツが加わり、中国とドイツという2つの世界的な経済大国をエンジンとして進むアフリカ市場開発は、これまでより大規模な展望を期待させる。その先には、確かに新たな需要の創出につながる可能性が十分ある。
今までにないものをつくり、今までになかった市場を開拓する――。
それができれば巨大な新しい需要が創出され、中国・ドイツ経済同盟はまさに世界経済の「救世主」あるいは「支配者」となっていくだろう。