US-China trade war: Why you should care - BBC News
US-China Trade War
中国でいま何が起きているのか 米中激突、香港デモ、経済ショック…激動の中国社会を現地レポート オンライン書店 e-hon
邱海涛/著 徳間書店 2019年発行
夜逃げ激増、あぶれる農民工、仇討ち讃美…米中新冷戦の激化で急変する中国のリアル。
米中対立の行方から国内景気、若者文化、対日意識の変化まで流動する中国の政治・経済・社会・世論動向の実態を明かす!
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『中国でいま何が起きているのか』
邱海涛/著 徳間書店 2019年発行
米中衝突で大激動する中国の実情 より
効果の薄い中国の交渉カード
これまで米中貿易戦争は、一時的な休戦が見られたものの、すぐにふたたび戦争状態に戻るといったことが繰り返されてきた。これはトランプの駆け引き戦略という一面もあるだろうが、一方で、アメリカ議会も中国を牽制する姿勢を強めている。
アメリカ議会は、安全保障の観点から中国企業のアメリカでの活動に制約をかける国防権限法やアメリカと台湾の政府高官の往来を促進する台湾旅行法を成立させている。
結局、一時的に妥協が見られたとしても、米中貿易戦争は十数年にわたる長期戦が避けられないだろう。
両国はどのような切り札を、いくつもっているのだろうか。泥沼化する米中貿易戦争の勝者はどちらなのか。両国それぞれの対抗策を見てみよう。
まず、中国の交渉カードとしては、以下のようなものが考えられる。
①レアアース禁輸
②通貨切り下げ
③アメリカ国債の売却
④対米関税の引き上げ
⑤国際重大事件への対米(非協力)の立場と軍事力の拡張
⑥在中国アメリカ企業のビジネスを阻害
中国のアメリカ対抗措置はこのくらいだろう。
①のレアアース禁輸については、たしかに、アメリカは中国から大量のレアアースを輸入している。だが、レアアースは中国以外の国からも入手可能であり、アメリカ自身も資源をもっている。1960年代から80年代まで、アメリカは世界一のレアアース生産・輸出国だった。だから、アメリカは自前でレアアースを入手することができる。中国に依存するようになったのは、単に採掘コストが安いからだ。
②の通貨切り下げについては、これにより輸出競争力を増強できるが、すでにアメリカから為替操作国と認定されたこともあり、精細を科される可能性が高くなる。
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中国の倍以上あるアメリカの交渉カード
続いて、アメリカの交渉カードとして考えられるのは、以下のとおりだ、
①関税のさらなる引き上げ
②中国企業に対する制裁
③司法当局による中国人スパイ容疑者の取り締まり
④外交圧力と軍事力の行使
⑤台湾問題の関与
⑥アメリカへの中国人留学、学者訪問、学術会議出席などに対するビザ発給停止
⑦中国政府や人民解放軍関係者個人への制裁措置
⑧ネットニュートラリティ(ネットの中立性)規則の撤回
⑨金融制裁
⑩石油禁輸
⑪中国人の海外資産の凍結
⑫為替操作国としての制裁
もっとあるかもしれないが、このくらいにしておこう。アメリカの交渉カードは中国の倍はある。これは中国の国力がアメリカに比べてまだ低く、アメリカに左右されるところが多い」ことを物語っている。
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⑨については、アメリカには、国家の安全保障を脅かす存在として大統領が経済制裁の対象に指定した国や企業、人を記載する「SDNリスト」というものがある。
アメリカ政府は、アメリカ企業に対して、「SDNリスト」に載った国や法人、個人との取引を禁じている。もしこれを破る企業があれば、その企業もアメリカ企業との取引が停止される。また、外国企業であっても、「SDNリスト」に掲載されている経済制裁対象者として取引していれば、その外国企業もアメリカの制裁対象となるのだ。
もしも中国企業がこの「SDNリスト」に入れられれば、ほぼ倒産するに等しい。というのも、そのような企業を相手にする取引先がなくなるからだ。
前述したように、「SDNリスト」に記載された制裁対象と取り引きした企業も、アメリカの制裁対象となり、アメリカ企業との取引が停止される。
たとえば、「SDNリスト」に記載された制裁対象者と取引したA社という企業があったとする。このA社は、当然、アメリカ企業との取引が停止となる。とくにアメリカの銀行との取引ができなくなるため、ドル決済が不可能となる。輸出や海外業務のある企業にとって、これは致命的な事態である。
もしA社が国際業務をしていなかったり、アメリカ企業とまったく取引関係がなかったりすれば大丈夫かといえば、そんなことはない。
このA社と取引した企業も、アメリカの制裁対象となるからだ。とくに金融機関の場合は深刻だ。A社に融資した中国の銀行はアメリカの制裁対象となり、ドル決済ができなくなる。それだけでなく、会社の在米ドル資産が凍結されるおそれもある。
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