China hits back in trade war by raising tariffs on US goods
プライムニュース 「激突“米中貿易戦争” 交渉決裂に中国の事情 トランプ強硬策の行方」
2019年5月15日 BSフジ
【キャスター】竹内友佳、反町理 【ゲスト】木村太郎(ジャーナリスト)、古森義久(産経新聞ワシントン駐在客員特派員)、津上俊哉(日本国際問題研究所客員研究員)、朱建榮(東洋学園大学教授)
アメリカと中国…超大国同士の通商問題の行方が国際社会を揺るがしている。
今年2月のアメリカによる追加関税延期以降、危機的な状況を脱したかに見えた米中貿易摩擦。両国は今月中の最終合意を目指し、閣僚級協議などを続けてきた。しかし10日、アメリカのトランプ大統領は、中国からの輸入品・約22兆円相当への関税を10%から25%へ引き上げた。
さらに、米通商代表部は米中協議がこのまま妥協点を見つけられない場合、追加関税の対象を全ての中国製品に拡大すると態度を硬化させている。一方、中国側もアメリカに対し、報復関税などの対抗措置を講ずるとし、一歩も引き下がる姿勢を見せていない。米中貿易摩擦はまさに“正面衝突”の様相を呈してきており、世界経済への深刻な影響が懸念される。
●「米中貿易摩擦」が激化 交渉決裂の本質と対立の行方
木村太郎、「大阪のG20に習近平国家主席が答えを持ってこないと第2期トランプ政権までもつれ込む」
古森義久、「本当は関税の争いではなく国の在り方、グローバルガバナンスまでが絡んだ争い」
朱建榮、「6月末の大阪G20を1つの大詰めに向けて合意したいのではないか」
津上俊哉、「中国人には南京条約、アヘン戦争、など不平等条約を外国から押しつけられたというトラウマがある。株価に大きな変動の兆しが出れば軌道が変わるかもしれない。中国政府の交渉が民意に左右される気配が出始めている」
【提言】 「米中対立激化に日本の対応は」
朱建榮 「G20で米中日会談を」
G20は中国にとっても世界にとっても重要な会談になる。日本はG20のホスト国として米中の根回りだけでなく米中会談を成功させて国際的地位を高めていけばよい。
津上俊哉 「米中の振り子はやがて振り戻すことを織り込んでおけ」
米中の対立は今後20年続くようにみんなが見える。しかし中国はもっと保守的になるかもしれないが戻ってくるかもしれない。米中の間に挟まれた日本はあまり思い込みをせず、じっと様子を見る。
古森義久 「もう“架け橋”はやめよう」
米中対立は中国とその他の国との闘い。米国が困っていることは日本も困っている。まあまあなどと間に入って架け橋になるなどは通用しない。
木村太郎 「MJGA(メイクジャパングレートアゲイン)」
中国と米国はどんどんこれから喧嘩が激しくなる。だが優位な立場にあるのは日本だ。この問題はTPPでまとまる話だ。日本にとって一番よい環境に入っていくのではないか。
前編:http://www.bsfuji.tv/primenews/movie/index.html?d190515_0
後編:http://www.bsfuji.tv/primenews/movie/index.html?d190515_1
『夕刊フジ』
2019年5月14日
脱中国加速・米中貿易戦争 iPhoneどうなる より
「脱中国」のさらなる加速は避けられそうにない。米中貿易戦争で、ドナルド・トランプ米大統領が、中国からの全輸入品への追加関税をUSTR(米通商代表部)に指示したのだ。
米アップルの「iPhone(アイフォーン)」の生産がインドに変更されるなど、すでに製造拠点移転の動きが進んでおり、今回の制裁で、習近平国家主席率いる中国にとっては大打撃が続く。
「米国は中国から数百億ドルの関税を取る。製品の購入者は(理想としては)米国で製造できるし、または関税を課せられていない国から買うことができる」
トランプ氏は12日、ツイッターに投稿した。
USTRは10日、「第4弾」の制裁として追加関税が課されていない約3000億ドル(約33兆円)分への発動に向けた手続きに着手した。同日未明には、第3弾の2000億ドル分の追加関税率を引き上げた。
第4弾の対象にはiPhoneやスニーカーなど、消費財が幅広く含まれているとみられ、各企業への影響は従来以上に広がる。
米中貿易戦争に伴うリスクを避けるため、各企業は以前から、脱中国の動きを進めていた。
米ブルームバーグ通信は4月、鴻海(ホンハイ)精密工業傘下で、iPhoneの生産を請け負うフォックスコン・テクノロジー・グループの郭台銘会長が、年内にインドでのiPhone大型生産に入ることを明らかにしたと報じ、「中国で集中的にiPhoneを生産してきたフォックスコンにとって大きな転換となる」と指摘した。
日本企業も動きを加速している。三菱電機やコマツ、東芝機械などは2018年に生産の一部を中国から他国に移管し、住友重機械工業は今年に入って順次、米国向け減速機部品の生産を中国から日本に切り替えた。
「世界の工場」と称された中国だが、米国の攻勢で地盤沈下は必至のようだ。