じじぃの「ショーヴェ洞窟のネガティブハンド・世界最古の遊び?生命とはなんだろう」

Visite silencieuse de la Grotte Chauvet 動画 Youtube
https://www.youtube.com/watch?v=dGn7KnAxUT8
Red hand stencil from the Chauvet Cave

『生命とはなんだろう?』 長沼毅/著 集英社インターナショナル 2013年発行
人類の未来は「進化」か「絶滅」か」 より
彼らは一体、どのようにして絶滅していったのでしょうか。あまり気持ちのいい話ではありませんが、アフリカから移動して彼らと遭遇した私たちの祖先が絶滅の原因になった可能性を、私は否定できません。もっとはっきりいえば、ネアンデルタール人やフローレンス人を当時のホモ・サピエンス、すなわち私たちの祖先が皆殺しにしてしまったかもしれないのです。
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ホモ属のほかのグループの人類、すなわちネアンデルタール人やフローレンス人を絶滅させることができたのは、私たちの祖先が単に好戦的だっただけではなく、そういう「知略」に長けていたためでもあるでしょう。どうやら私たちの歴史は、5万年前の先祖の時代から今日に至るまで、武力と知略によって動かされてきたようです。
ただし、それだけではありません。私たちの祖先は、なにも領土的な野心に突き動かされて地球上を大移動したわけではないのです。出アフリカは生活できる場所を求めての移動でしたが、そこから先は、食べられなくなって移動したわけでもないと思います。当時の人口はたかが知れていますから、そんなに長距離を移動しなくても、ほどほどのテレトリ―を獲得できただろうから生活は成り立ったはず。1ヵ所に定住し、集団が大きくなってから分派して別の土地を求めたにしては、彼らが拡散したスピードは速すぎるのです。
では、そこに居続けても生活はできるのに、あえて新しい土地を求めて移動を続けたのはなぜか。それは旅心――すなわち好奇心や探求心のなせる業ではないでしょうか。だとすると、これは生物史の中でも画期的なことといえます。それまで地球上の生命体は、生きるのに必要なことしかしてきませんでした。ところが私たちの祖先は、生きる上では無駄とも思えるようなこと、いわゆる「遊び」に労力を費やしたのです。
つまりホモ・サピエンスは、地球史上初めて「遊び」を覚えた生物だといえるでしょう。裏を返せば、初めて「暇」や「退屈」を味わった生物ということにもなります。たとえば動物園のライオンは、狩りをしなくてもエサにありつけるので、退屈しそうなものですが、遊ぼうとはしない。年がら年中、寝ています。もともと獲物を仕留めることに全力を尽くし、食べたら消化のためにひたすら休むというライフスタイルなので、余裕があっても遊ぼうとしないのでしょう。
しかし出アフリカ以降の人々は、その知力と技術力によって余暇を獲得し、遊び始めました。それは、太古の洞窟に描かれた壁画などを見ても明らかです。いちばん有名なのは1万5000年前に描かれたラスコー洞窟の壁画ですが、もっと古い時代にも、すばらしい芸術作品があります。
およそ3万2000年前に描かれた、ショーヴェ洞窟の壁画をご覧になったことがあるでしょうか。これまでに260点の動物の絵が見つかっていますが、面白いのは「ネガティブ・ハンド」と呼ばれる絵です。洞窟の絵に人間の絵がペタペタとならんでいるのですが、それがいわゆる「白ヌキ」になっています。作者は壁に自分の手を置き、その上から口に含んだ墨をスプレーのように吹き付けることで、それを描きました。
手形を残したいのなら、手のほうに墨を塗って壁に押しつけるほうが簡単です。でも彼/彼女は、それでは面白くなかったに違いありません。いろいろと工夫しているうちに、「影」のようにての形を表現できることに気づいたのでしょう。そういう高い精神性があったからこそ、出アフリカにも成功して世界中に散らばることができたのだと思います。

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どうでもいい、じじぃの日記。
「つまりホモ・サピエンスは、地球史上初めて『遊び』を覚えた生物だといえるでしょう」
「遊び」に関しては、イルカやシャチなんかも結構遊ぶことが知られています。
イルカは海草やサンゴや木の枝などを持って遊ぶようだし、シャチはアザラシを宙に吹き飛ばして遊んだりするそうです。
「動物園のライオンは、狩りをしなくてもエサにありつけるので、退屈しそうなものですが、遊ぼうとはしない。年がら年中、寝ています」
そういえば、ネコが遊ぶ姿は思い浮かばないですね。おバカなんですかね。
「面白いのは『ネガティブ・ハンド』と呼ばれる絵です。洞窟の絵に人間の絵がペタペタとならんでいるのですが、それがいわゆる『白ヌキ』になっています」
絵といってもネガティブ・ハンドは見た目が単純すぎて芸術性を感じませんが、深い意味があるんでしょうか。
「これを見たお前、お前らのご先祖がここにいた印だ!」
なんちゃって。