じじぃの「歴史・思想_70_世界史大図鑑・最初のウェブサイト」

『世界史大図鑑』

レグ・グラント/著、小島 毅、越前敏弥/訳 三省堂 2019年発行

何をブラウズするかで、あなたは世界を動かせる 最初のウェブサイト公開(1991年)

最初のウェブサイトは「ワールド・ワイド・ウェブ」と題され、ワールド・ワイド・ウェブ(WWW)のプロジェクトについての基本情報とウェブページの作り方が掲載された。作成したのはティム・バーナーズ=リーで、スイスのジュネーブにある欧州原子核研究機構(CERN)のイギリス人コンピュータ科学者である。バーナーズ=リーの関心は、大学や研究所の科学者のあいだでアイディア交換を円滑にすることであり、まず1989年に世界規模のコンピュータ・ネットワークを用いて情報共有する仕組みを提示した。他のサイトは1991年に始動し、CERNの少人数の研究者仲間がアクセスしていた。
ワールド・ワイド・ウェブは、コンピュータとコミュニケーションの世界をかつてない形でアック名的に変化させたが、これは電話、テレビ、無線通信、インターネットといった既存技術を結びつけることで可能となった。

インターネット より

ソヴィエト連邦が1957年に人工衛星スプートニク1号を打ち上げると、アメリ国防省は核攻撃後のコミュニケーション手段を考える必要に迫られた。これが1969年の高等研究計画局ネットワーク(ARPANET)の立ちあげにつながる。相互に接続されたコンピュータ・ネットワークは拡大をつづけ、1980年代半ばにはインターネットとして知られるようになった。インターネットとワールド・ワイド・ウェブの利用は、いずれも学術研究機関にかぎられていた。
1993年にモザイクという簡単に使えるウェブブラザーが発表されると、ようやくウェブは一般にも広く利用されるようになる。モザイクは文字に加えて画像も表示することができ、ユーザーはマウスでウェブ上のリンクをクリックするだけで、リンク先へ移れた。ウェブはインターネットと同意語になったが、両者は同じではない。ワールド・ワイド・ウェブがインターネットの閲覧を容易にし、インターネットをこれだけ効果的なコミュニケーション手段にしたのである。

コンピュータ革命 より

1981年にIBMのパーソナル・コンピュータ[5150]が登場すると、家庭とオフィスでコンピュータ革命が起こった。大型オフィス・コンピュータより小さくて安価で、5150もその後継機もインターネットや電子メールを利用することができた。パーソナル・コンピュータの登場とともに、インターネットが飛躍的に成長する。1990年代はじめに最初の検索エンジンが現れ、いまやウェブ検索とほぼ同義語になったグーグルはやや遅れて1997年に登場した。1994年にオンライン市場にアマゾンが出現すると、買い物の仕方に革命が起こって、本やCDの購入からホテルや航空券の予約まで、家にいながらなんでも手軽にできるようになった。インターネットは、ビジネスの手法も大きく変えた。

未来はすぐそこに より

2007年に発売されたアップルiPhoneほど、マイクロチップ技術の効果が顕著に見られる製品はない。いわゆるスマートフォンがインターネットを持ち運び可能にし、無線接続によって外出先でニュースや衛星ナビゲーションなどにアクセスできるようになった。情報やアイディアは、フェイスブックツイッターといったソーシャル・ネットワーキング・サービスSNS)を通して、どこにいても簡単な操作で共有できる。スマートフォンは教育や医療や文化にも影響を及ぼし、ソーシャル・メディアを使ってデモを組織して政権を脅かすなど、政治状況をも変化させた。2010年に「アラブの春」などの抵抗運動を先導した活動家のなかには、インターネットを通して連絡を取り合った者もいた。いまでは、インターネットでの活動は、アイディアを共有したり意識を高めたり運動の目的を支持したりするのにきわめて有力な方法となっている。ワールド・ワイド・ウェブには30億以上の利用者がいて、現代の日常生活のあらゆる側面を変化させた。