じじぃの「科学・芸術_595_イスラエル・兵器産業」

IAF- Israeli Air Force. The best air force in the world. 動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=hKZEo6d-ypc
イスラエル空軍 第101飛行隊

イスラエルを知るための62章【第2版】』 立山良司/編著 赤石書店 2018年発行
兵器産業と武器輸出 より
イスラエルにとり兵器産業は、安全保障と経済成長を支える柱である。安全保障に関していえば、兵器産業は自国軍の近代化を促進するには欠かせない。また、イスラエルは武器輸出という手段によって、欧米諸国以外にもインドやトルコなどのさまざまな国と戦略的な関係を築いてきた。経済成長という面では、武器輸出に加えて、兵器産業から派生した先端技術が民間に転用され、ハイテク産業も急成長したことにより、国内経済の産業基盤が強化された。
国をあげての兵器産業の強化策により、冷戦後の1990年代、イスラエルは世界でも有数の武器輸出国として知られるようになった。ストックホルム国際平和研究所(SIPRI)の2017年版年鑑によれば、2012〜16年において、イスラエルの武器輸出額は世界で10位だ。その前の5年間2007〜11年と比べ、約13%も増えた。
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2000年代に企業の民営化や子会社化が進み、2010年には、兵器製造企業は約200社に及んだ。中でも、以前大きな力をものつは国有企業だ。たとえば、戦闘機クフィールなどの航空機の改良や無人航空機(UAV)を開発したイスラエル航空宇宙産業(IAI)社、装甲車両の改良や短機関銃ウージーなどの世界的に有名な小型武器を開発したイスラエル軍事産業(IMI)社、ロケットなどの最新の軍事技術を開発するラファエルなどだ。SIPRIのデータベースによれば、IAI社とラファエル社に加え、民間企業での防御用エレクトロニクスばどを扱うElbit Systems社の3社は、2016年の世界(中国を除く)の兵器製造企業トップ100社に入っている。
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武器輸出に関しては、さまざまな特徴がみられる。伝統的な戦略は、「敵の敵は友」をコンセプトとし、その「友」が国家であろうと、敵国内の反政府勢力であろうと、「敵の敵」に武器輸出を行うことにより、潜在敵国の台頭を封じ込めることを意図するものであった。1980年に始まったイラン・イラク戦争では、イスラエルはイランに、米国はイラクに武器援助を行った。革命後のイランはイスラエル敵視政策をとったが、それでもアラブの強国イラクと戦っているイランはまさに「敵の敵は友」だった。しかしイスラエルのこの戦略は、時に同盟国米国との関係を悪化させることもあった。1980年、イスラエルが米国製戦闘機F-4ファントムの交換部品をイランに輸出した1件は、イスラエルと米国間の外交関係にまで発展した。その後、イスラエルにとり、イランは完全な「敵」に変わった。
1990年代からイスラエルは、対立するシリアやイランの中東地域における影響力を封じ込める目的で、トルコとの戦略的な関係強化を図った。2010年のガザ支援船強襲事件によりイスラエルとトルコとの関係は悪化したが、2006年からその事件までは、トルコがイスラエル最大の武器輸出国の1つだった。