じじぃの「海底地形名・海底に居並ぶ古代天皇たち!太平洋の深層」



中国が海底地形名称小委員会に申請した日本周辺海域の海底地形

天皇海山列 ―発見・命名のいきさつと生成の謎―(紹介) 2005年59巻1号 杉山 明
https://www.jstage.jst.go.jp/article/agcjchikyukagaku/59/1/59_KJ00004410135/_article/-char/ja/
『太平洋 その深層で起こっていること』 蒲生俊敬/著 ブルーバックス 2018年発行
威風堂々! 天皇海山群の謎 より
ワイ島・ロイヒ海山を起点に、西へ向かって直線状に連なるハワイ諸島は、北緯30度、東経170度付近までくると、直線の向きが急に北向きに代わり、その先になおたくさんの海山が、やはり直線状に並んでいます。
2本の直線が、じつに美しく「く」の字形に折れ曲がっているのが目を惹きますね。なぜ、これほどきれいに折れ曲がっているのでしょう? その理由については、いま興味深い論争が続いているところです。
確かなことは、これらすべての島や海山が、現在ハワイ島付近にあるホットスポットによって火山として誕生したこと、火山活動を止めたあとは太平洋プレートの動きに乗って移動していること、そして、いずれは海溝に沈み込み、その姿を消していく運命にあること、の3点です。
さて、くの字の先の方に並ぶ山々には、「天皇海山群」の名が付けられています。天皇海山列とよぶこともありますが、本書では天皇海山群で統一することにします。
天皇海山群は、日本列島のほぼ真東、東経170度付近の深海底に、南北約2000キロメートルにわたって並んでいます。深さ約6000メートルの深海底から、富士山と同程度、もしくはそれ以上の巨大な海山が連々と聳えているのです。
天皇海山群(Emperor Seamounts)という名前のとおり、それらほとんどの海山に、日本の天皇名がついています。これはわが国だけで、勝手に呼び習わしているわけではありません。世界中どこでも通用する、れっきとした国際名です。
図(画像参照)には代表的な9つの海山のみ名前を示しました。最初に命名されたのが、これら9つの海山なのです。
いったいどのような事情から、古代の天皇や皇后の名前が海山に冠せられることになったのでしょうか? この章では、その謎にも迫ってみたいと思います。
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田山利三郎(海上保安庁水路部測量課長)は1952年発行の『水路要報』に、「日本近海深浅図についえ」という論文を発表し、東経170度付近にある細長い海底山脈状の地形を「北西太平洋海溝」と仮称しました。この論文には、「昭和19年までの資料を用いている」とあるため、陽光丸(1942年当時の観測船)データを参照している可能性も考えらえますが、論文中に陽光丸の名前は出てきません。
この論文が発行される直前の1952年9月、田山博士を悲劇が襲いました。明神礁海底火山の調査航海中に噴火に巻き込まれ、殉職してしまうのです。
一方のロバート・ディーツ(海洋地質学者)は、首尾よくフルブライト基金による第1回派遣研究員に採択され、1952年11月からの1年間を、東京大学客員教授として日本に滞在することになりました。このときの派遣研究者18名のうち、自然科学者は彼ひとりでした。
ディーツは来日後すぐに海上保安庁水路部を訪ね、当時の水路部長・須田皖次に研究目的やデータの閲覧希望を伝えたのでしょう。須田は快くディーツを受け入れてデータの閲覧を許し、作業がしやすいよう便宜を図りました(なお、須田皖次は、日本海の1000メートル以深の海水を初めて採取した研究者として、前著『日本海』にも登場しています)。
水路部玄関近くの参考書室兼応接室に机を与えられたディーツは、一心に陽光丸データの解析に取り組みました。そして、北西太平洋の東経170度線に沿って、たくさんの海山が林立している確証を得たのです。
留学を終えて帰国した翌年の1954年、ディーツは米国地質学会の学会誌に、北西太平洋全域の海底地形に関する総括的論文を発表しました。この論文において「Emperor Seamounts」という言葉が初めて用いられ、図に示した9つの海山に名前がつけられました。
こうして「天皇海山群」が誕生したのですが、ロバート・ディーツがなぜ、どのような発想から、この海山群に古代天皇の名前をつけたのか、よくわかっていません。たいへん興味深い謎なのです。ディーツ自身はこの点について、1995年に亡くなるまで、ほとんど口を閉ざしていたようです。

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どうでもいい、じじぃの日記。
蒲生俊敬著『太平洋 その深層で起こっていること』という本が面白い。
太平洋のハワイから北極に向けての海底に、「天皇海山群」と呼ばれる山々が連なっているのだ。
しかも、「海底地形名称小委員会」に登録された正式の名称なのだ。
中国よ、どうだ、まいったか!