じじぃの「科学・芸術_554_日本の企業・ソフトバンク」

ソフトバンク CM 「アヤの想像」篇(30秒) 動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=oL9Q7t7uVQg
「ががばば」検索

孫正義 ウィキペディアWikipedia) より
孫 正義(そん まさよし、 1957年8月11日 - )は日本の実業家。ソフトバンクグループの創業者として知られ、ソフトバンクグループ代表取締役会長兼社長やヤフー取締役、スプリント会長、アーム会長、アリババ取締役、福岡ソフトバンクホークス取締役などを務める。自身が創業したソフトバンクグループの筆頭株主
1977年にカリフォルニア大学バークレー校経済学部の3年生に編入。さらに1979年、シャープに自動翻訳機を売り込んで得た資金1億円を元手に、米国でソフトウェア開発会社の「Unison World」を設立。インベーダーゲーム機を日本から輸入。結婚。1980年にカリフォルニア大学バークレー校を卒業。学位は、経済学士。日本へ帰国後、会社を設立するために福岡市博多区雑餉隈に事務所を構えた。

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『破壊――新旧激突時代を生き抜く生存戦略 葉村真樹/著 ダイヤモンド社 2018年発行
存在価値のない企業は消え去るのみ より
実は、企業としての社会での存在価値の有無というものは、組織として、そこで働く人たちを動かす上でも大きな違いをもたらす。人間のモチベーションというのは、個々人の欲求をいかにコントロールするかにかかっており、それが高次なものであるほど、人はより高いモチベーションを維持しうる。
マズローの段階欲求説に基づくと、「自己超越」が最も高次の欲求に位置づけられているが、これは個々の自己を超えた存在に向けて奉仕を行いたいという欲求で、「目的の遂行・達成を純粋に求める」という領域であり、見返りを求めずエゴもなく、自我を忘れてただ目的のみに没頭し、何かの課題や使命、仕事に貢献している状態だという。
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私のソフトバンク在籍時、忘れられない思い出が1つある。
2011年3月11日、東日本大震災が発生した。被災地では通信インフラが壊滅的な状態となり、ソフトバンクも他の通信会社と同様、不眠不休でそのインフラ府kツ急に取り組んだ。
数多くの若い社員が被災地に送り込まれ、私は、本社で被災によってiPhoneを紛失・破損した被災者に、代替となるiPhone端末を提供することを可能にするために、アップル本社と調整をするとともに、システム担当者たちに指示を行うなど、インフラ企業としての責任を強く感じる日々だった。
まさにそのような状況下、孫社長の興味は再生可能エネルギー(当時、孫社長は「自然エネルギー」と呼んでいた)に向かっていた。その情熱たるや、恐らく外からはうかがい知れないほどのものだったと思う。孫社長は社長室にヨーロッパの再生可能エネルギー先進国の役人や企業を呼んでは、毎日のように再生可能エネルギーの勉強会を行っていた。
そして、いち早く「自然エネルギー財団」を立ち上げると、あとは電力事業部参入へまっしぐら。被災地の通信施設復旧など、実務担当領域に関係なく、課長以下の現場が、災害支援でてんやわんやの状態の中、一体社長は何をやっているんだ、と非難する社員も少なくなかった。
しかし、孫社長は、これからの情報社会における電力=「エネルギー」の確保の重大性に改めて気づいたのだろう。外には「脱原発」を説きながらも、その実、狙っていたのは、ソフトバンクがミッション・ステートメントとして定義する「情報革命」に最も欠かせないものを自らの事業ポートフォリオに組み込みことだったのだろう。
実際、グーグルのデータセンター運営コストの大半が電力費であることからもわかるように、スマートフォンのさらなる普及、そして、その後の「情報革命」は、クラウド上での膨大な情報処理を必要とする。クラウド化の対象となる産業が増えれば増えるほど、想定をはるかに超えたトランザクションとコンピューターパワーによる処理能力が求められるようになる。
「インフォメーション」技術の進化による「情報革命」は、「エネルギー」技術の進化なしにはありえない、と孫社長は福島の原子力発電所の事故を目の当たりにして痛感したのではないか、というのもまんざら外れてはいないように思う。
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街頭でモデムを配る「パラレル部隊」はADSL事業ヤフーBBの成功の要因の1つとなり、実質端末0円というiPhone の価格戦力はモバイルキャリアとしてのソフトバンクの飛躍を支えた。
一方、検索エンジンについては、私たちが孫社長にグーグルの技術を採用することを提案しに行った時点で、既に検索技術そのものは成熟していたため、孫社長にとっては、グローバルで圧倒的なシェアを持つグーグルを採用する方が、「スピードとスケール」の点で、サービスを開始して間もないBingを採用するよりも、圧倒的に合理性が高かっただけだとも言える。孫社長にしてみれば、私たちは飛んで火にいる夏の虫に過ぎなかったわけだ。
わずか30年の間に数多くの変遷を経たソフトバンクを一貫性のない企業と評する向きも多いが、ソフトバンクほど一貫している企業はない。
確かに、初めは単なる卸売商社に過ぎない上昇志向だけは強い企業だったかもしれない。しかし、「タイムマシン経営」によって米国を中心にした多くの先進技術を自らのものにすることで企業の規模を拡大するのつれ、グループ総体で「情報革命で人々を幸せに」を旗印に、未来そのものを自ら創り出す立場へと変化していったのである。
つまり逆に言うと、これまでの相次ぐ買収や提携も、すべて「情報革命で人々を幸せに」というバリュー・プロポジション=存在価値を実現するためのものなのである。そして、今後もこの存在価値を強化するために多くの投資を行っていくであろう。
いまや、その存在価値そのものが、ソフトバンクグループ各社で働く、全世界7万人にも及ぶ従業員自身の判断基準であり、モチベーションの源泉にもなっているのである。