じじぃの「合成生物学・人工酵母菌ゲノム開発・生物を科学する事典」

ゾウリムシ 動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=sG--fCnmzxs
人工酵母菌ゲノム

クローズアップ現代+ 「驚異のテクノロジー“生物工場” いきものが薬も燃料もつくる!」 2018年5月22日 NHK
【キャスター】武田真一、田中泉 【ゲスト】五十嵐圭日子(東京大学准教授)
植物や微生物などに有用な物質を作らせる“生物工場”に注目が集まっている。
遺伝子組み換えで、イネに花粉症予防成分、イチゴに歯周病治療薬を作らせるのだ。世界で開発競争が激化する中、日本の切り札はカイコ。5千年にわたる交配の結果、他の生物を圧倒する高いタンパク質合成力を持ち、抗がん剤やワイヤーより強い糸など、複雑な物質も生み出せるという。養蚕農家とタッグを組んだ研究も始まっている。日本の戦略に迫る。
酵母が燃料を作り出す
生物工場で最も注目されているのがカリフォルニア州にある「アミリス社」。
車オイルやタイヤ素材、ビタミン、化粧品成分など数百種類の製品がある。酵母を生物工場にしてすべての製品を作らせており、タイヤ素材の場合はグリップ性能が高く劣化しにくい。
DNA配列は1200万に及び、どの部分にどんな遺伝子を組み込むのか組み合わせは無限大。そこでこの企業では人工知能を導入、最適な組み合わせを予測させている。
http://www.nhk.or.jp/gendai/articles/4133/index.html
「人工酵母菌ゲノム開発プロジェクト」について少し解説 2018-03-29 酵母とシステムバイオロジー
以前このブログで紹介した、「酵母の染色体を人間が全部作り直そう」というプロジェクトは、その後、国際プロジェクト「Synthetic Yeast 2.0(Sc2.0)」に発展し、2017年3月には30%が終了したという中間報告がされています(今年の終わりには全部終了するという話もあるようです)。
実は、こんなことが簡単にできる生物は、今のところ出芽酵母と枯草菌だけで、他の生物でやろうとしても多分うまく行きません。私は時々、「酵母は人間に研究されるために存在しているんじゃないか?」と思ってしまうことがあります。それくらい研究に便利な特徴がたくさんあるんです。このゲノム改変プロジェクトはその酵母の便利な機能の1つを使ってやっていることです。ですから、この手のゲノム改変が他の生物でもホイホイできるか、というとそういうわけにはいかないはずです。もちろん技術革新は進んでいるので、いつか他の生物―ヒトでも簡単にできる日がくるのかもしれません。
http://tenure5.vbl.okayama-u.ac.jp/HM_blog/?p=3736
『生物を科学する事典』 市石博、降幡高志、その他/著 東京堂出版 2007年発行
日本酒造りは微生物とヒトとで より
「一 麹(こうじ)、二 酛(もと)、三 造(つくり)」。昔から日本酒造りで伝えられる言葉である。この手順にそって、日本酒は微生物と蔵人によって醸されていく。
「一 麹」。ワインのような果実酒では、果実に含まれる糖を、酵母が分解してアルコールにかえて酒ができる。日本酒の場合、大部分がデンプンである米を原料とするので酵母はデンプンを分解できない。そのため、黄コウジカビをつかってデンプンを糖に分解(糖化)する。冷ました蒸米に黄コウジカビの乾燥胞子(モヤシ)をふりかけて繁殖させたもの、これが「麹(こうじ)」である。酒質は麹で決まる。だから一 麹。それだけに、繁殖に対する約48時間は、蔵人が、昼夜を問わずに麹を手でていねいにほぐしながら、適切な温度と湿度にし、コウジカビの繁殖を手助けする。
「二 酛」。この麹に蒸米と水を混ぜ、そこに酵母だけを増殖させて三造り(発酵)のためのスタータをつくる。この酛作りの方法のひとつに、江戸時代に考案された「生酛(きもと)造り」がある。酵母の自然純水培養法ともいえるこの方法は、微生物どうしの非常に精緻な駆けひきで成りたっている。
最初に麹と蒸米に水(仕込水)をあわせる。どの蔵にも専用の井戸があり、そこから仕込水を供給する。この水や米についていた硝酸還元菌が水に含まれる硝酸塩を還元して亜硝酸を発生し、このガスが雑菌を死滅させる。その中で、亜硝酸に強い乳酸菌が増殖する。乳酸菌は空気中から入ったものや麹についていたものである。乳酸菌は、糖を分解して乳酸にし、全体を強い酸性に変える。この酸で、硝酸還元菌も含めたほとんどの菌が死滅する。このタイミングで、乳酸に強い醸造用の酵母が投入される。酵母が増殖して作り出したアルコールで、乳酸菌は絶滅する。蔵人は、この微生物の絶妙なかけあいがスムーズにいくように、非常に手間のかかる作業(山卸)や温度管理を行ない、30日ほどを要して「酛」をつくる。
「三造り」。できあがった酛は、より大きなタンクに移し、本格的に水・蒸米、そして麹を、時間と量を調節して数回(数日)に分けて入れる。有名なのは3回に分ける三段仕込。雑菌を抑えながら効果的に酵母や糖を増やすために有効な方法である。このような仕組みを終えたタンクの中身を醪(もろみ)といい、醪の中で、麹による糖化と酵母による発酵が同時に進む、「並行複発酵」が行なわれる。

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どうでもいい、じじぃの日記。
2010年、J. クレイグ・ベンター研究所の遺伝学者クレイグ・ベンターは、原核生物マイコプラズマ・ミコイデスゲノムの人工的な合成に成功した。
2014年、ニューヨーク大学を中心とする国際研究チームが、パンを作るのに必要な酵母イースト)について、そのDNAに含まれる染色体の3分の1以上を人工的に置き換えた人工酵母菌の作成に成功した。
酵母菌は、人間と重要な細胞プロセスを多く共有する単細胞の真核生物である。
今年中には、「100パーセント人工合成酵母」が誕生するのだろうか。
少し古い本だが、養老孟司著『真っ赤なウソ』という本に、「悔しかったらハエか蚊を作ってみろ!」というのがあった。
そのうち、合成生物「ゾウリムシ」が出現するかもしれない。