じじぃの「科学・芸術_470_インダス文明・ドーラビーラー遺跡と文字」

Harappan Civilization - Dholavira 動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=nhej8XShSvI
Dholavira

 Indus Script: Dholavira Signboard

Indus Script: Dholavira Signboard Cave Script Translation Project
The Dholavira signboard consisted of symbols carved in gypsum and mounted on a wooden board. More than one version of the inscription has been published on the web. Therefore, I don’t know whether this version (above) accurately reflects the original text. With that proviso, here is my translation.
https://www.cavescript.org/research/special-study-indus-script/indus-script-dholavira-signboard/
NHKスペシャル 四大文明 インダス 近藤英夫(著)2000年発行 Amazon
四大文明の中では比較的地味な存在のインダス文明モヘンジョ・ダロハラッパーの遺跡は広く知られているが、それ以外には一般読者の興味を引く派手なトピックがないのも事実だ。
だが、本書では、NHKが世界で初めて取材に成功したというドーラビーラー遺跡を写真入りで大きく取り上げており、シリーズの他の3冊に負けない魅力を持っている。
ドーラビーラー遺跡は、1967年に発見され、予備調査を経て約10年前から発掘が始まったが、インド考古局が長い間マスコミの取材を許可しなかったため、今までその姿を表に出すことはなかった。本書では、このドーラビーラーの遺跡を門や貯水槽、インダス文字の書かれた看板に至るまで細かく写真入りで紹介し、その謎に迫っている。

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NHKスペシャル 四大文明[インダス』 近藤英夫/著 NHK出版 2000年発行
10個のインダス文字 より
ドーラビーラーでは、城塞北門で1つの大発見がなされていた。北門の階段を降りきった左側の地中から、インダス文字が10文字発掘されたのだ(画像参照)。1つの文字が縦30センチ、横27センチと大きく、このような文字の発見は、インダスの遺跡では初めてのことだ。あまりの重要性から現在は埋め戻され、頑丈なレンガの囲いが設けられている。文字の上にはおよそ1メートル近く土が盛られている。かなり厳重な措置である。
私たちはこの幻の10文字を撮影するために交渉を重ねた。インド考古局のビシュト博士は、いかにこの文字が壊れやすく、保存が困難かを力説していた。だが、ドーラビーラーの遺跡としての重要性を語るためにはこの文字の撮影がどうしても必要であった。
そして、念願かなって、私たちは幻の文字にお目にかかれることになった。
当日――。発掘に情熱を傾ける人の気持ちとはこういうものなのだろうか。砂から掘り返され、突然現れる白い石。
「出てきたようですよ」
「えっ、これがそうなの? これがあのドーラビーラーの10文字なの?」
半信半疑のまま、作業を凝視する。
見えてきた。石に張りつくように、線が見える。Tの字のような姿を見て改めて確信する。これはインダス文字だ。今、2文字見えた。この先まだ8つの文字が続くはずだ。
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それにしても、いったい何と書かれているのだろう。10文字を見て目立つのは、車輪のようなマーク(⊛)だ。
インダス文字の研究者であるフィンランドヘルシンキ大学のアスコ・パルポラ博士の見解をうかがってみた。パルポラ博士は、今まで発掘されたすべてのインダス文字を網羅したデータベースを出版している。60年代には、文字の語順、配列の組み合わせをコンピュータ解析し、規則性を見出した。その結果、インダス文字の語順は現在南インドで使用された図像と、現在のドラヴィダ文化の習慣との類似点やドラヴィダ古語の研究から、解読されていないインダス文字に迫ろうとしている。
先生の研究によれば、「⊛」は大きな印章にしか描かれていないし、コブ牛が描かれたものが多いという。コブ牛はインダスの聖的な存在である「角のある人」の角に牛の角が相似していることから、キングを象徴しているのではないかという。また、「⊛」の形は太陽を意味しており、権力を象徴している可能性が高いという。
この10文字はロイヤル・ファミリーの名前、もしくは聖的な神の名前や都市の名前が記されているのではないかと考えられるそうだ。確かに、看板に大きく描かれているとすれば、都市、権力を持った王家、または神の名前、この3つのどれがあてはまっても不思議はない。北門の頭上に輝く太陽に照らされたサインボード。それは交易都市として栄えたドーラビーラーの街に君臨するかのように高く掲げられていたのだ。