じじぃの「人の生きざま_663_カール・ウーズ(微生物学者).」

Tribute to Carl R Woese 動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=Ou9I7Am8i5Y
 生物の分類系統図

超好熱始原菌の酵素代謝に関する研究 福居研ホームページ
90℃以上の高温環境で生育する超好熱菌を対象として、その特異な機構や代謝の解明、超好熱菌が産生する耐熱性蛋白質の機能解析を遺伝子工学蛋白質工学・ゲノム工学の手法を用いて進めています。
http://www.fukui.bio.titech.ac.jp/research/kod.html
カール・ウーズ ウィキペディアWikipedia)より
カール・リチャード・ウーズ(Carl Richard Woese, 1928年7月15日 - 2012年12月30日)はアメリカ合衆国ニューヨーク州シラキューズ出身)の微生物学者。
1977年に六界説、1990年に三ドメイン説という生物の分類体系を提唱したことで有名である。イリノイ大学アーバナ・シャンペーン校の教授を務めた。

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『人間はどこまで耐えられるのか』 フランセス・アッシュクロフト/著、矢羽野薫/訳 河出文庫 2002年発行
生命の木 より
生物の系統樹には、真核生物、細菌(真性細菌)、始原菌(古細菌)の3つの太い枝がある。真核生物は、私たち人間のように細胞核を持つ細胞からなり、細胞核の中にDNAがある。動物、植物、そして単細胞生物の多くは真核生物である。細菌と始原菌は単細胞生物で、細胞核はない。これらの菌はひとつひとつの種類を比べると、細胞核があるかないかと同じくらい大きな差があり、それぞれ固有の遺伝子を持つ。始原菌が第3の系統として認められるようになったのは、1970年代後半と比較的最近で、進化論を支持するカール・ウーズが最初に提唱した。当初はあまり受け入れられず、とくに祖国アメリカでは、ばかげていると片づけられるか軽視されたので、ウーズはひどく落胆した。始原菌は一般に、細菌から進化した系統と考えられていたのだ。
ウーズの内気な性格も手伝って彼の理論はなかなか広まらなかったが、今日では十分に確立されている。「始原菌」という名前を裏づける決定的な証拠が発見されたのは、1998年で、メタン生成菌の遺伝子のゲノム配列が、始原菌として初めて完全に解析された。その結果、細菌とは明らかに異なる独自の遺伝子であることが確認され、原核生物である細菌より、むしろ真核生物に近いことがわかった。始原菌(archaea)の語源はギリシャ語の”arkhaios”(最初)で、生命の起源を思わせる。あらゆる生命体は1つの細胞から進化したと考えられているのだ。
始原菌と細菌は、極限の環境における真のプロフェッショナルだ。煮えたぎる湯の中や、腐食性の高い塩湖、強烈な酸、濃度の高い塩水、恐ろしいほどの圧力、さらには地中の岩石の奥深くでも生きのびる。放射線照射耐性細菌(ディノコックス・ラジオヂュランス)のように、かなり強い放射能に耐えられる菌もいる。また、酸素や太陽の光がなくても生命を維持できる種類も多い。硫黄や水素から、あるいは岩石を分解してエネルギーを摂取し、油やプラスチック、金属、毒素など、ほぼあらゆるものを消化してしまう。始原菌は環境の浄化や汚染防止、エネルギー生産など、さまざまな分野で大きな可能性を秘めた微生物である。科学界や実業界が興奮するのも不思議ではない。