ミトコンドリアとは
5-ALA研究会
●ミトコンドリアがつくる重要な成分“ATP”と“代謝水”
ミトコンドリアとは、ほぼすべての細胞に存在する細胞小器官のことです。
“細胞のエネルギー生産工場”とも言われ、グルコース(糖)を原料として、“生体のエネルギー通貨”と呼ばれる「アデノシン三リン酸(ATP)」を合成しています。
ATPは体内で日に延べ50~100kgが作られていますが、そのうちの約95%はミトコンドリアによってつくられています。 また、ATPをつくる過程では水がつくり出されており、その水は「代謝水」と呼ばれ、身体の水分保持において重要な役割を果たします。
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『「利他」の生物学 適者生存を超える進化のドラマ』
鈴木正彦、末光隆志/著 中公新書 2023年発行
エネルギー獲得方法がドラスティックに変わる
真核細胞は明確な核を持つ細胞です、すなわち、遺伝情報を収納する染色体が生体膜である核膜に包まれているのです。さらに、ミトコンドリア、ゴルジ体、小胞体などの細胞小器官を持っています。これらの細胞小器官以外に、植物の真核細胞は葉緑体も持っています。
ミトコンドリアの祖先は何か
さて、そんな真核生物の構造を見てみましょう。
真核生物は染色体(DNAがタンパク質により折りたたまれたもの)が入っている核があり、核膜で解離されています。その他に葉緑体、ミトコンドリアという細胞小器官と呼ばれる構造物が存在します。これに対して、細菌などの原核生物は、こちらもタンパク質で折りたたかれたDNAを持っていますが、核という特別な器官は持っておらず、原核細胞と呼ばれる単細胞からできています。
前述したαプロテオ細菌は、ミトコンドリアと形態的に驚くほどよく似ています。その形態は落花生(ピーナッツ)状で、細胞膜がところどころ陥入したクリステ構造を有しています。この膜構造はミトコンドリアにも見られます。
両者は形態的特徴だけでなく、生理的にもよく似ています。まず、タンパク質合成系です。ミトコンドリアと葉緑体は、独自のDNAとリボソーム(タンパク質合成を行う場所)を持っています。真核細胞と原核細胞では、タンパク質合成系が異なっていますが、ミトコンドリアと葉緑体のタンパク質合成系は真核細胞型ではなく、原核細胞型です。つまり、真核細胞のなかに原核細胞型の小器官が入っているのです。
リボソームにあるリボソームRNA(rRNA)の遺伝子を解析した分子系統樹からも、ミトコンドリアはαプロテオ細菌に近いことが明らかにされています。こうした研究から、αプロテオ細菌は宿主の細菌に取り込まれたあと、徐々にミトコンドリアに変化していき、現在見られるミトコンドリアになったと考えられるようになりました。
真核生物の特徴を有するもの
では、ミトコンドリアを取り込んだ生物体(宿主)は何だったのでしょうか? これには様々な説があります。はっきりしたことはまだ分かりませんが、有力視されている説をここではご紹介しましょう。
近年、土壌中に含まれる細菌を一緒くたにまとめてゲノム解析する「メタゲノム解析」という技術が開発されています。土壌中に含まれる各々の微生物を培養しなくても、全体のゲノムを精製してシークエンス(塩基配列決定)し、つなぎあわせることにより、どんな微生物がいるかを調べることができます。つまり、この技術を用いれば、土壌中の細菌すべてのゲノム情報を得ることができるのです。培養する時間や手間がかからず簡便なので、最近ではよく使われる方法です。
2015年、スウェーデンの研究グループがグリーンランドの海岸の泥からアーキアのグループの細菌群を採取しました。この方法で調べてみると、そのなかの1つが、どうも真核生物の祖先らしいと思える特徴を持っていました。すなわち、真核生物に見られる特徴的な遺伝子を含むゲノムを有していたのです。しかし当時は、ゲノムは分かったものの、細菌自体を見つけることはできませんでした。この報告のあと、他の研究所でも同様の細菌群が見つかり、アスガルドアーキア群と名付けられるようになりました。
2020年になって、日本の海洋研究開発機構のグループが、「深海6000」を使用して深海の堆積物からアスガルドアーキア群の一種を採取し、培養に成功しました。深海の状況は、メタンが主であった原始の海の環境によく似ていて、「嫌気性」と称されます。採取されたアーキアの生態を観察すると、そのアーキアが蝕手を伸ばして、いかにも微生物を取り込みそうな姿が見られたようです。
嫌気的な環境下で生息しているこのアーキアは、酸素を利用してエネルギーを産生することはできず、もっぱら硝酸を還元してエネルギーを得ていました。このアーキアがαプロテオ細菌を取り込んで真核細胞になったのではないか、という説が提唱されています。この説によると、アーキアとαプロテオ細菌はアミノ酸の一種、2-オキソ酸を分け合うことによって、共存を可能にしたとされます。
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ミトコンドリアとの共生は20億年前に起こったと考えられていますが、現在においてもミトコンドリアの細胞内共生説を裏づけるような共生の観察例があります。ペロミキサといわれるアメーバは、ミトコンドリアを持っていませんが(過去に持っていたミトコンドリアが退化した)、好気性細菌を取り込んでエネルギーを得ています。同様の例は繊毛虫でも見られます。このような共生の試みが、地球に生命が生まれたころに幾度となく起きていたのではないでしょうか。
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どうでもいい、じじぃの日記。
不思議に思うのは、地球は生命で満ちているのに、地球以外に生命が見つかっていないことだ。
たぶん、生命は太陽からのエネルギーをもらって、誕生したのだろう。
原始生命はウイルスのようなものものだった。
まあ、ミトコンドリアもウイルスのようなものだったのだろう。
そのウイルスを、宿主であるほとんどの細菌が体内に取り込んだ。
我々が生きていられるのも、ミトコンドリアがせっせと大量のエネルギーを生み出してくれているからだとか。
今日も、ミトコンドリアちゃんがせっせと頑張ってくれています。