じじぃの「生態系保存・カゲロウが死んで何が悪い!基準値のからくり」

Mayfly - a life story 動画 Youtube
https://www.youtube.com/watch?v=PBHBfck67D8
ヒラタカゲロウ (8.pro.tok2.com HPより)

書評:「基準値のからくり」村上道夫ら(2014), 講談社ブルーバックス J. of Taroten
PM2.5の基準値は,Y委員がケガをして欠席したために決定できたとか,亜鉛の環境基準設定時に産業界からの委員のひとりが「ヒラタカゲロウが死んで何が悪い」と発言して,議事が混乱したなどの話がも本書には掲載されています。議事録がネット公開されるようになったことが,本の内容にも生きているのかも知れない。
http://turase.eco.coocan.jp/opi_j383.html
『基準値のからくり 村上道夫ほか/著 ブルーバックス 2014年発行
生態系保存の基準値――人間の都合で決まる「何を守るか」 (一部抜粋しています)
「夢の殺虫剤」ともいわれたDDIは、じつに毀誉褒貶(きよほうへん)が激しい化学物質である。
マラリアチフスなどの感染症を媒体するシラミなどの駆除には絶大な効果を発揮し、しかも人体への毒性はきわめて低いことから、kれらの病気が人類にとってまだ大きな脅威であった1840年代から1960年代にかけて、DDTは世界中で使用され、じつに300万tが消費されたという。その殺虫活性を発見したパウル・ミューラー氏は、1948年のノーベル医学・生理学賞を受賞した。
ところが、1962年にレイチェル・カーソン氏によって『沈黙の春』が出版されると、DDTが生物濃縮を繰り返して高次捕食者に蓄積し、鳥類が減少してしまうというリスクへの警笛が鳴らされた。その結果として、DDTは日本や米国などで1970年初頭に使用禁止となった。
たしかに米国では1950年代から1960年代にかけて、ハクトウワシDDT代謝物であるDDTによる生殖毒性によって減少し、セグロカモメも同様に幼鳥の生存率減少によって減少した。これらの鳥類の個体数は、DDTの禁止後に回復が見られている。
こうしたDDTの評判は光から闇に真っ逆さまに落とされていったのだが、世界中でDDTが禁止されると、今度はアフリカやアジアの国々でマラリア患者が急増してしまった。そこで、2006年にWHOは、マラリア対策としてDDTの屋内使用を推奨する声明を発表する。闇に葬られたはずのDDTに、再度、光が当たることとなったのである。
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亜鉛の基準値決定までのプロセスは、およそ次のようなものであった。
魚介類では、イワナを用いた慢性毒性試験の結果、影響がなかった濃度が0.31mg/Lであったので、種比10で割る操作を入れると0.031mg/Lとなる。餌生物では、エルモンヒラタカゲロウの慢性毒性試験によって影響がなかった濃度が0.03mg/Lであった。ここから魚介類と餌生物の毒聖地を比較して、低いほうである0.03mg/Lが淡水域における亜鉛の目標値と決定された。それまで環境基準点などで行われてきた公共用水域監視結果を見ると、0.03mg/Lを超過している地点は10%程度と割合が高かったため、濃度を低減させる対象が必要という判断から、この値が環境基準値として設定された。なお、目標値がすでにほとんどの地点で達成されている場合には、対策の必要性が低いものとして、わざわざ環境基準値として設定することはしない。
このようにして決まった亜鉛の基準値に対して、規制強化を嫌う産業界から反発が起こった。
環境基準値そのものには法的強制力はないのだが、環境基準値が決まると、事務所からの排水基準もそれに沿って強化されるのが一般的である。こちらのほうは罰則をともなう強制力があり、企業としては、新たな処理施設の導入など大きなコスト負担を強いられることとなる。
やがて、亜鉛の基準値設定プロセスを巡って、ある事件が起きた。2003年6月26日付の朝日新聞に、このような見出しががある。
 (水中の亜鉛基準 産業界から反発 答申見送り「カゲロウが死んで何が悪い」)
記事によると、亜鉛の環境基準の設定を検討している中央環境審議会水環境部会において、産業界出身の臨時委員が設定に反対し、
 「ヒラタカゲロウが死んで何が悪い」
と発言したことから議論が糾弾し、同日に予定されていた答申見送られたという。

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どうでもいい、じじぃの日記。
何かの本に出ていたが、カゲロウの成虫の命はたったの1日なのだそうだ。(交尾を終えれば死ぬ)
カゲロウは、はかない命の代表のような存在だ。
ヒラタカゲロウが死んで何が悪い」
アインシュタインは言った。
「ミツバチがいなくなると人類は4年以内に滅びる」