じじぃの「歴史・思想_72_世界史大図鑑・世界人口が70億を超える日」

7 Billion, National Geographic Magazine | National Geographic

動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=sc4HxPxNrZ0

Greenhouse gas


国連で演説するグレタ・トゥーンベリさん


緑の革命 コトバンク より

農作物の高収量化を目指した一連の品種改良。
1960年代後半から各種農業研究所によるコムギ,米,トウモロコシの品種改良が相次いだ。特にフィリピンの国際米穀研究所 IRRIは,高収品種の短稈イネ IR8の開発に成功し,これによってアジア諸国の食糧不足は解消するとさえいわれた。

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『世界史大図鑑』

レグ・グラント/著、小島 毅、越前敏弥/訳 三省堂 2019年発行

今日は、わたしたち全人類のための日です 世界人口が70億を超える(2011年)

2011年10月31日、フィリピン首都のマニラで生まれた女の子が、国際連合によって、地球上70億人目を象徴する新生児として選ばれた。世界人口のこの大きな節目を記念して、10月31日は「70億人の日」と名づけられたが、その時点で10億人が餓死に直面していると伝えられていて、地球がそれだけ多くの人口を支えられるのかと議論が再燃した。
世界の人口は、17世紀以前は非常にゆるやかに増加していたが、1850年から急速に増えはじめる。これは幼年期に死亡する子供の数が減ったからでもあるが、新しい農業技術によって食糧供給が増えて飢饉のリスクが減り、死亡率が全体的に低下していたことも要因だった。産業化の進行と医学の発展はめざましく、公衆衛生と生活水準が向上した。

奇跡の米 より

1960年、IR-8と呼ばれるいわゆる「奇跡の米」がフィリピンの国際稲研究所で新たに開発された。はるかに短い周期で収穫のできるこの新種のおかげで、農家の生活は劇的に変化した。ヴェトナムなどでは、従来の米は年に1度しか収穫できなかったが、この新しい米はじゅうぶんに2度収穫できる。このような農業科学の驚くべき技術革新によって、とくにアジアの慢性的に貧しい国が自国内で食糧をまかなえるようになり、人口増加にともなう需要拡大に対処できた。
緑の革命については論争もあった。これは化学農薬使用へと向かう動きでもあったので、ことさら議論を呼んだ。1940年代には、殺虫剤DDT(ジクロロジフェニルトリクロロエタン)が導入され、蚊が媒介するマラリアなどさまざまな病気を1度の処理で阻止する手立てとされた。しかし、1962年のアメリカの生物学者レイチェル・カーソンが、先駆的な著書『沈黙の春』でDDTの危険を強調し、癌を引き起こすリスクがあるのと同時に環境へも悪影響を及ぼすと主張する。『沈黙の春』によってアメリカ全土でDDTが禁止され、人々の関心が高まって、環境を守る独立組織である環境保護庁(EPA)が設立されるきっかけにもなった。緑の革命は多数のアフリカ諸国でも大きな問題に直面した。アフリカでは灌漑施設がなく、降雨量は予想できず、肥料は高価で、新種の種を買う資金もなかったからだ。

気候変動 より

都市化と開発によって、環境への負荷が増してきた。世界の人口が増加するにつれて、環境を破壊することなく生活水準を引きあげることが地球規模の課題となっていった。科学者は人間の活動が気候変動(あるいは「地球温暖化」)の原因だと考える。19世紀の産業革命以降、地球の気温は上昇をつづけており、2011年から15年は観測史上最もあたたかい5年間となった。
気候変動の原因には自然現象によるものもあるが、1970年代はじめに環境保護主義が台頭すると、人間の活動がはたして地球にとってプラスなのかと疑問が呈されるようになる。発展途上国は、気候変動に影響すると考えられる炭素排出を削減するよう促された。2015年、インドは炭鉱を月をひとつのベースで開発し、13億の国民を貧困からすみやかに脱出させようとしていた。先進国は過去にみずから気候変動を悪化させたにもかかわらず、発展途上国が国民の経済的福祉を向上させようと天然資源を開発するのをやめるべきだと論じ、新たな対立が生まれている。
温室効果ガスの排出がこのまま増えつづければ、人類は限界を超え、気候変動があともどりできない壊滅的な次元に達すると科学者は警告する。海面の上昇もつづいていて、結果として沿岸地帯を浸食し、南太平洋の小島は水没しつつある。降雨パターンを変化し、アフリカで深刻な干魃(かんばつ)が生じて数多くの動物種が絶滅の危機に瀕している。
気候変動の脅威はいまやきわめて深刻と考えられ、2015年に世界の指導者がフランスのパリに集い、温室効果ガスの排出削減に合意する会議を開いた。緊迫した交渉のなかで発展途上国が要求したのは、洪水や干魃の増加など、気候変動の影響に対応する費用を豊かな国が支援することだった。合計196ヵ国が採択した地球温暖化協定は、世界の国が数多く加わって、法的拘束力を持つものとしてははじめてのものとなり、地球温暖化を比較的安全なレベルである摂氏2度未満に抑えることを目標と定めた。