じじぃの「カオス・地球_142_2050年の世界・資源と環境・食料と水」

Deforestation front (日本語字幕)

動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=NIkVdT-_ego

森林破壊の最前線


【動画あり】「森林破壊の最前線」最新報告書を発表

2021/01/28 WWFジャパン
●世界の森林の今
「青い星」とも呼ばれる地球。

地球が青く見える理由はいくつかありますが、その一つは、地球表面の約70%が海に覆われているためです。残りの約30%が陸地で、森林はこの陸地のおよそ30%。
つまり海を含めた地球全体からすれば、森はたった10%ほどの広さしかありません。
https://www.wwf.or.jp/activities/activity/4547.html

2050年の世界――見えない未来の考え方

【目次】
序章 2020年からの旅
第1章 わたしたちがいま生きている世界
第2章 人口動態――老いる世界と若い世界

第3章 資源と環境――世界経済の脱炭素化

第4章 貿易と金融――グローバル化は方向転換する
第5章 テクノロジーは進歩しつづける
第6章 政府、そして統治はどう変わっていくのか
第7章 アメリカ大陸
第8章 ヨーロッパ
第9章 アジア
第10章 アフリカ・中東
第11章 オーストラリア、ニュージーランド、太平洋
第12章 この先の世界を形づくる大きなテーマ――不安、希望、判断

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『2050年の世界――見えない未来の考え方』

ヘイミシュ・マクレイ/著、遠藤真美/訳 日経BP 2023年発行

第3章 資源と環境――世界経済の脱炭素化 より

いくつもの懸念から1つの甚大な懸念へ

ムードは変化している。1990年代にはさまざまな環境問題が懸念されていたが、いまは気候変動が最大の焦点になっている。1世代前の環境の専門家は、つぎのようなことを心配していた。
世界は70億人を2020年まで食べさせていけるのか。2020年には石油の供給が途絶えはじめるかもしれない。生物多様性は脅かされている。生息地は減少している。オゾンホールも大きくなっている。もちろん、人間の活動によって二酸化炭素のレベルが上がっており、それが地球温暖化に影響を与えるのではないかとも心配していた。しかしその段階では、気候変動はほかの懸念よりも漠然としていて、遠い未来のことのように映った。

そのような認識は一変している。いまでは気候変動は最重要課題に位置づけられている。きわめて深刻で、強大で、すべてがつながっていてあらゆることが影響し合い、人類の存亡にかかわる問題だ。理由はたくさんある。30年前の時点で、世界は温暖化している。そして大気中の二酸化炭素のレベルが上がっていることがほぼまちがいなく関係しているとされており、その見方を裏づけるエビデンスはすでに積み上がっていた。だが、科学界では広く受け入れられていたものの、一般大衆はそれにようやく気づきはじめたところだった。

食料と水は足りなくなる

水があれば、食べ物を育てることができるだろう――少なくとも肉を食べる量を減らすように人びとを説得できれば、そうできる。淡水がなければ育てられない。水はまさに生命線だ。世界の人口の4分の1が十分な生活用水を得られていない。大都市のなかには、水道水の供給が完全に止まる一歩手前まできたケースもある。ケープタウンとチェンナイがそうだ。オーストラリアのマレー・ダーリング盆地の農業は、水資源の管理ミスが原因で壊滅的な打撃を受けている。
カザフスタンウズベキスタンにまたがるアラル海は、最悪の環境問題の1つとして知られており、綿花と小麦を栽培するための灌漑用水をくみあげすぎて急激に縮小し、もとの面積のほんの一部しか残っていない。水をもっと有効に活用して供給を増やすためにできることはたくさんある。脱塩処理するコストは着実に下がっており、海に近い場所では、解決策の1つになる。2018年、南アフリカケープタウンは、あと数日で市の水道が止まるところにまで追い詰められた。水道が止まれば、市民は給水場にならんで水の配給を受けることになる。その緊急事態に、市民はさらに厳しい節水を求められた。

干ばつに強い農作物を開発するのも1つの手になる。大半の豊かな国は、必要な水を供給する方法を見つけだすだろう。影響を受けるのは貧しい国だ。

インド・中国サハラ以南アフリカの一部の国では、水との闘いはつづくだろう。技術は力になる。食品流通の無駄をなくすのも力になる。
適切な政策がとれれるようにすることもそうだろう。誤った政治の意思決定が一連の深刻な環境問題を引き起こした原因であるからだ。綿花を育てるための農業用水を確保するために、アラル海に注ぐ川の流れを変えたのは、その最たる例だろう。だが、飢餓との闘いでは、過去1世紀に起きた飢饉の数は驚くほど減り、規模も格段に小さくなっている。水をどう使うかについて国が適切な選択をすれば、ほとんどの国は危機を乗り越えられるはずだ。

世界の最貧困層が抱える問題を研究しているノーベル賞を受賞したアマルティア・セン教授は、貧困と飢饉について論じたエッセイで、土地の保有と食料の分配のほうが実際の供給よりも重要だと説いた。人びとが土地を所有するか長期間借りていれば、土地が荒れないようにするだろう。廃棄される食料が減れば、全員にとってウィンウィンになるのは言うまでもない。やるべきことはわかっている。課題はそれをやることだ。

したがって、世界は増えつづける人口を食べさせていけるはずである。しかし、肉の消費量が増えるペースを遅くする努力がもっと必要になるだろう。理由は単純で、動物に植物を食べさせるのは、飼料植物のカロリーの使い方としては効率が悪いからだ。消費者の圧力を受けて先進世界で肉離れが進んでおり、その好例としてバーガー・キングのベジタリアン向けのバーガーなどのイノベーションが生まれている。どうやらなにか大きなことが始まっているようだ。