じじぃの「人の死にざま_1737_ヒポクラテス(古代ギリシアの医者)」

Hippocrates of Cos (The Father of Medicine) 動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=x2LnqnJY9OQ
Hippocrates treating a patient

世界ルーツ探検隊 2017年5月1日 テレビ朝日
【MC】中丸雄一、若林正恭
●お風呂のルーツ
桐山照史がイタリアローマでロケ2時間スペシャル。
2400年前、コス島でヒポクラテスが治療として入ったのがお風呂のルーツ。
お風呂文化を作った偉人が生まれたのはエーゲ海にあるコス島。ここに住んでいたヒポクラテスという医者がお風呂を思いついた。そこには天才ならではの驚きの発想があった。ヒポクラテスがある村を訪れた時のこと、村人の多くが伝染病にかかっていた。そんな中で1日中暑い場所にいる鍛冶職人だけが伝染病にかかっていない事を発見。熱で病気が防げると考え、お湯に入る治療法を思いついた。
http://www.tv-asahi.co.jp/sekai_roots/
『医療の歴史 穿孔開頭術から幹細胞治療までの1万2千年史』 スティーブ・パーカー/著、千葉喜久枝/訳 創元社 2016年発行
ヒポクラテス古代ギリシャの医学 (一部抜粋しています)
およそ2700年前、最初のオリンピック大会が開かれると、ギリシャの文明と影響力はヨーロッパの多くの地域にまで広がった。200年もたないうちにギリシャは黄金期を迎え、政治、芸術、哲学、文学で輝かしい業績をあげた。この古代世界の中心で、コスのヒポクラテス(紀元前460〜370年)――おそらく医学史でもっとも重要な人物――が生まれた。
ギリシャの医術にはエジプトの信仰と慣習から多くを取り入れたが、病気を神々による何らかの懲罰とする以前の見方から変化した。ギリシャの医者は病気を、4種類の「体液」と呼ばれたものの不均衡によって起こる体の自然現象とする考え――その後2000年間医学の中心となった考え――を支持するようになった。四体液説はエジプトかメソポタミアからギリシャに伝わったのかもしれない。あるいはヒポクラテスより数十年前に生きたエンペドクレスによって明確にまとめあげられた四元素――土、空気、火、水――というギリシャの思想に由来するのかもしれない。その起源が何であれ、四体液説によると4種類の体液、すなわち血液、黄胆汁、黒胆汁。粘液がヒトの体にある、あるいはこの4種類の体液でできているとされた。
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ヒポクラテスはその生涯を通して、エーゲ海沿岸とギリシャ、今日のブルガリアとトルコにまたがる内陸地域を放浪したとされる。彼は外科医として働き、著作を書き、講義をし、生徒を教え、医学的見解と実践について論じた。さらに彼は、音楽、詩、数学、運動競技にも秀でたと言われる。20年間投獄された時期もあったが、それも神々と霊が病気の原因であるという考えを受け入れなかったためであった。彼を刑に処したのは、人間と神とのあいだの仲介者としての役割を信じ、ヒポクラテスの新しい教えによって自分たちの権力が損なわれると考えた高位聖職者たちであった。残念ながら、ヒポクラテスの晩年の消息と、終焉の地について明らかではない――後者については、ギリシャ北西部のラリッサとされる。
ヒポクラテスの研究方法は多くの点で今なお有効である。病気を急性(突然で短期)か慢性(長期で持続的)か、また風土性(特定の地域や集団にしばしば発生)か流行性(突然勃発し、急激に広まって人口の大部分を襲う)かで区別している。またヒポクラテス学派は臨床観察、検査、記録、患者の診察の分析の方法――現在医師の実務では当然とみなされている手順――を指導した。当時すでに観察は重要視されていたが、ヒポクラテスはそれを体系的な方法にまとめ上げた。病気の診察と経過を見守るために、少なくとも一日1回は患者を観察しなければならなかった。それにより、医者は予後と予測を得ることができた。「医者にとって予測することはすばらしいと考える。現在の症状から今後起こることをあらかじめ知っていれば、最適な治療をおこなえるだろう。文書には、脈拍、呼吸、体温、肌のつや、目や口の様子、内臓の触診、排泄物など、微候や症状についての定期的な記録も含まれていた。
ヒポクラテスは、尿と便が体の状態を示してくれると考えたので、熱心に観察した。「ひとは食べた分に応じて日に2、3回……朝にはたっぷりの量を出して腸を空にすべきである」。さらに「腸に張りがあれば、そのままにするよりは排泄されるべきである」。大腸の検査は肛門や直腸の検査――内部を検査できるよう肛門を開くためのやっとこ状の道具――も含まれていた。これは最古の内視法――体の内部を自然の開口部や特別の目的で作られた切開部を通してよく見ること――のひとつである。面倒な痔に関しては、治療法は軟膏や膏薬から結紮(けっさつ)法まであった。