じじぃの「科学・芸術_33_IBMの挑戦」

AI(人工知能)「 医療への活用( by ワトソン ) 」( by NHKニュース7 2016.8.4(木)) 5:30 2016.8.4作成 動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=EY4wZRZqhlE
人工知能 病名突き止め患者の命救う 国内初か 2016年8月4日 NHK NEWS WEB
東京大学医科学研究所の附属病院は、アメリカの大手IT企業IBMなどと協同で、人工知能を備えたコンピューターシステム「ワトソン」に2000万件に上るがん研究の論文を学習させ、診断が極めて難しく治療法も多岐にわたる白血病などのがん患者の診断に役立てる臨床研究を進めています。
このうち60代の女性患者は当初、医師から「急性骨髄性白血病」と診断されこの白血病に効果がある2種類の抗がん剤の治療を数ヵ月間、受けましたが、意識障害を起こすなど容体が悪化し、その原因も分かりませんでした。このため、女性患者の1500に上る遺伝子の変化のデータを人工知能に入力し分析したところ、人工知能は10分ほどで女性が「二次性白血病」という別のがんにかかっていることを見抜き、抗がん剤の種類を変えるよう提案したということです。女性は、治療が遅れれば、免疫不全による敗血症などで死亡していたおそれもありましたが、人工知能が病気を見抜いた結果命を救われ、無事退院しました。
http://www9.nhk.or.jp/kabun-blog/200/250456.html
『シフト――2035年、米国最高情報機関が予測する驚愕の未来』 マシュー・バロウズ/著、藤原朝子/訳 ダイヤモンド社 2015年発行
テクノロジーの加速度的進化 (一部抜粋しています)
見落とされがちなことだが、人間が新しいテクノロジーを取り入れるスピードは加速している。アメリカでは1873年に送電媒体が発明されてから、電力普及率が25%に達するまでに46年かかった。これに対して、1991年に発明されたワールドワイドウェブを、人口の4分の1が利用するまでに要したのはわずか7年だ。こうした新しいテクノロジーの加速度的な普及は、豊かでない大陸でも起きている。アフリカではスマートフォンが最大のインターネット接続手段になっており、いまはモバイルバンキングも拡大している。しかもその変化はボトムアップで起きている。
研究活動も世界に広がっている。たとえばIBMの研究ラボは、かつての大英帝国のように日が沈むことがない。IBMの事業は「ハードウェアからサービス、総合ソリューション、そしてよりスマートな地球のためのコラボレーション」へと進化、研究拠点もアメリカから世界に広がってきた。初めてアメリカ国外にラボが設置されたのは、1950年代のチューリッヒ(スイス)だった。続いて1960年代にイスラエル、1980年代に日本、1996年に中国、1998年いインドが加わった。2010年以降はブラジルとオーストラリアがIBM研究の大きなハブとなっている。IBMの拡大は、進出先の国の世界経済における台頭と一致しているようだ。
イノベーションとは、アイデアの着想から実用(当初案とはかなり異なる用途の場合がある)までの全プロセスだ。研究者は自分の発明がどのように使われるか考えるのはあまり得意でないと、ボストンの医学・革新技術総合センター(CMIT)は指摘する。CMITは医療機器の考案から実地、そして商業化までのプロセスでスマートなアイデアを取り入れている。発明の商業化を成功させる秘訣は発明者を排除することだと、CMITの担当者は言う。「開発段階にきたら、学者と臨床医はあまり重要でなく」なり、起業家「中心的な」プレーヤーになる。
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科学には明確な専門分野がいくつもあり、科学と法律と都市計画と統治の間にはもっとはっきりした境界線があると思われがちだが、いまやこうした境界線は消えつつある。原子と分子が常に動き回って衝突しているように、さまざまな科学分野やそれ以外の分野も、重視したり相乗効果を生み出したりしている。分野にこだわる態度は、科学やテクノロジーを考えるとき邪魔になる。特にいまはそうだ。起業家もイノベーターも官僚も、政治化、教育者も、優れた仕事をするには複数の領域に通じている必要性があるだろう。