じじぃの「人の生きざま_564_緒形・拳(俳優)」

緒形拳さん肝臓破裂しても死直前まで会話 2008年10月8日 nikkansports.com
5日に急死した俳優緒形拳(おがた・けん、本名・緒形明伸=あきのぶ)さん(享年71)の葬儀・告別式が7日、東京都新宿区の大日本獅子吼(ししく)会本堂で営まれた。
約8年前から慢性肝炎を患っていたが、仕事に支障を来したくないと入院治療を拒否。病状が肝硬変、がんに移行しても在宅療法を選択し、役者の道を走り抜けた。次男の俳優緒形直人(41)ら遺族が明かした死因は肝がん。5日夜に容体が急変し、力尽きた。
http://www.nikkansports.com/entertainment/news/p-et-tp0-20081008-416823.html
緒形拳 動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=KuCDAK6o8pU
緒形拳 ウィキペディアWikipedia) より
緒形 拳(おがた けん、1937年7月20日 - 2008年10月5日)は日本の俳優。本名は緒形 明伸(おがた あきのぶ)。東京府東京市牛込区(現・東京都新宿区)出身。血液型はB型、身長173cm、体重70kg、趣味は絵手紙・水墨画。長男は緒形幹太、次男は緒形直人で共に俳優。
1965年、大河ドラマ太閤記』の主役に抜擢され、新国劇の活動も兼務して1年活動した。引き続き1966年の大河ドラマ源義経』に弁慶役で出演し、2年続けて大河に出演する稀有な活動をし、その後も数々の大河ドラマに出演し、常連俳優の1人として活躍した。

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『下世話の作法』 ビートたけし/著 祥伝社 2009年発行
笑う忠臣蔵って? (一部抜粋しています)
緒形拳さんも面白かったな。スペシャルドラマの『忠臣蔵』で共演して、俺が大石内蔵助、緒形さんは大野黒郎兵衛の役だった。「いぶし銀」なんて言われる緒形さんだけど、けっこう冗談が好きな人で、芝居の最中なのに笑わせるんだ。
俺と緒形さんが向かい合って会話をするシーンがあった。画面には首から上ぐらいしか映らないシーンでさ、それをいいことに、お互いがカンペを相手の腹に載せてしゃべったの。だから俺の台詞は緒形さんの腹の上で、緒形さんの台詞が俺の腹に貼ってある。
それで俺がしゃべりはじめると、緒形さんが「いや、それは」とか言いながら、わざと体を動かしちゃうんだ。上半身を捻(ひね)ったり前傾(ぜんけい)したりするもんで、俺は台詞が見えなくなる。
「すいません。緒形さん、動かないでくださいよ」
「えっ!」
「台詞が見えないんで」
「そのぐらい覚えなさい」
「いや、覚えたいけど忙しくって」
「プロは台詞を覚えてくるもんだ」
何言ってやがんだ。自分だって俺の腹にカンペつけさせてるじゃないか。だから俺も逆襲したの。腹の上に両手を持ってきてね。緒形さんの台詞を隠してやろうと考えたんだ。
そこからが笑える話で、もう本番が始まってる。緒形さんが台詞を言いかけたところで俺はサッと手を組んだ。
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芝居しながら俺に怒ってるって。俺が動くたびに「内蔵助殿、前屈みになるな」「横を向いてはいかん」って言う。ディレクターが驚いて「カット、台詞が違います」。分かってるよ。
おかしくておかしくてしょうがなかった。だけどやはり一枚上手だね。俺は「緒形さん、ちょっと動かないでよ」と芝居やめて言うけど、緒形さんは芝居しながら俺に注意するんだもん。