じじぃの「人の死にざま_1519_チャールズ・シェリントン(脳神経生理学)」

NHK 2014 臨死体験脳科学 : 立花 隆の探求の旅 2/2 動画 Dailymotion
http://www.dailymotion.com/video/x260cx5_nhk-2014-%E8%87%A8%E6%AD%BB%E4%BD%93%E9%A8%93-%E3%81%A8-%E8%84%B3%E7%A7%91%E5%AD%A6-%E7%AB%8B%E8%8A%B1-%E9%9A%86%E3%81%AE-%E6%8E%A2%E6%B1%82%E3%81%AE%E6%97%85-2-2_tech
人間の脳

ニューロン(脳の神経細胞)の大きさを決定する基本メカニズムの発見 国立遺伝学研究所
ニューロンは脳にある神経細胞のことで、 主に細胞体・軸索・樹状突起の3つの部分に区分けされます。ニューロンは、軸索と樹状突起という機能的・構造的に異なる2つの神経突起を使って、神経情報の受け渡しを行ないます。樹状突起は主として他のニューロンや感覚器からの神経シグナルの入力を受け、軸索は他のニューロン樹状突起への出力を行います。
http://www.nig.ac.jp/hot/press/1030emoto.html
チャールズ・シェリントン ウィキペディアWikipedia)より
サー・チャールズ・スコット・シェリントン(Sir Charles Scott Sherrington, 1857年11月27日 - 1952年3月4日)はイギリスの生理学者である。1932年神経細胞の研究でノーベル生理学・医学賞エドガー・エイドリアンと受賞した。
近代神経生理学のパイオニアシナプス命名者である。関節の筋が収縮すると、その逆側の筋(拮抗筋)が弛緩すると言う『シェリントンの法則』に名前が残っている。

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2014年9月14日 NHKスペシャル 「臨死体験 立花隆 思索ドキュメント 死ぬとき心はどうなるのか」 より
『私』という存在は死んだらどうなるのか、死ぬとき『私』は何を見るのだろうか。
20年余り前、臨死体験について徹底的に取材し考察を深めてきたジャーナリスト 評論家立花隆。74歳を迎え、がんや心臓の病を抱えて死を間近に感じる今、再び臨死体験の最新研究の現場を見つめ、“死”について思索しようとしている。
立花隆が、欧米の研究者たちを訪ね最新の研究で分かってきたことに迫る。
臨死体験 人はなぜ神秘を感じるのか
ケンタッキー大学医学部脳神経外科のケヴィン・ネルソン教授によると、臨死体験で神秘体験をするのは脳の辺縁系によるものです。
神秘的な感覚は辺縁系で起こる現象なのです。辺縁系は長年の研究によって睡眠や夢という現象の中心的な役割を担っていることが分かっていました。ネルソン教授は神秘体験と夢が似通った現象であることを明らかにし、次のような仮説を立てました。死の間際、辺縁系は不思議な働きをします。眠りのスイッチを入れると共に覚醒を促すスイッチも入れるのです。それによって極めて浅い眠りの状態となり、目覚めながら夢を見るいわば白昼夢のような状態になります。さらに辺縁系は神経物質を大量に放出し、人を幸福な気持ちで満たします。こうして人は死の間際に幸福感に満たされ、それを現実だと信じるような強烈な体験をするのです。

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『死と神秘と夢のボーダーランド - 死ぬとき、脳はなにを感じるか』 ケヴィン・ネルソン/著、小松淳子/訳 インターシフト 20013年発行
3つの意識状態 霊的覚醒の場 (一部抜粋しています)
私たちの脳細胞はおよそ1千億個。偶然にも、地球が属している銀河系、天の川の星の数とほぼ同じが。天の川銀河では恒星が円盤状の集団を作って回転しているのだが、それらの巨大な球体版を思い浮かべるといい。それが脳だ。ひとつの星が輝くか否かは、10万を超える他の星々との関係によって決まる。そして輝いた時、その点滅パターンが何かの拍子に、”宇宙の舞”を舞い始め、自己を認識して意識を生み出す。脳の中で煌めくニューロンの星々はいかにして意識をもたらすのか? 意識と霊的体験は相交わるのだろうか?
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今を遡ること1世紀余り、チャールズ・シェリントンはニューロンと膝蓋腱反射などの単純な反射と意識との間に関連性があるのではないかと考えた。後にノーベル賞を受賞することになるシェリントンは、1857年、ロンドン生まれ。学問を大切にする裕福な中流家庭で育った。生理学の分野に足を踏み入れて間もなく、脳と首から下の体との連絡路である脊髄に注目した。この原始的なレベルでの発見が脳、さらには意識そのままの研究とつながった。
シェリントンは痩身短躯、内気で温厚でありながら、壮大で力強い発想の持ち主だった。脳神経科学の世界に革命を起こしたシェリントンは、物理的な世界に対する見方を根本から変えたアインシュタインと平行線上に歩んでいた。そんな2人のパラレル・ワールドが交わったのは、1925年、シェリントンがイギリス王立協会の会長として、栄誉あるコプリ・メダルをアインシュタインに授与した時である。今でこそ、脳の機能局在は常識になっているが、シェリントンの時代に影響力を持っていた脳神経科学者たちは、脳の特定の部位が特定に機能を担っているなど虚言だと、一方両断に切り捨てていた。
脳細胞は相互に物理的に連結して巨大なネットワークを形成し、”総合的”に作用していると考えていたからだ。この考え方でいけば脳全体が等能で、絵を描くとか話すといった特殊化した機能が特定の部位に局在しているわけがない。
そんな中、シェリントンに閃きを与えたのがラモン・イ・カハールだった。カハールは、脳の生存単位である神経細胞が物理的に非連続な独立した存在であることを示す、説得力のある証拠を発見した人物である。少年時代のカハールは、これほどの業績を挙げることになろうとは思いもよらないほど、才気の片鱗も見えない。反抗的で強情な悪ガキだった。外科医をしていた彼の父は、このわがまま息子には人生の新たな道筋が必要と思いきわめたのだろう。カハールの背中を押して、医学の道に進ませた。ところが、父も息子本人も驚いたことに、この起死回生の一手が当たった。カハールは飽くことなく顕微鏡を覗いて観察を続け、脳は独立したニューロン群をそれぞれ切り離して機能を局在させうるとする、ニューロン説の基礎を固めた。一方で、彼はとてつもなく大きな疑問も残した。ニューロンが物理的につながっていないなら、いかにして連絡を取り合い、意識を生み出すのか?
物理的には微小だが、概念的には巨大なこのニューロン間の隙間をあらかた埋めたのがシェリントンだ。脳細胞は機能的な接合部、すなわち、”シナプス”を介して情報を伝達していると考えたのである。そればかりでなく、この情報伝達は一方向だとも指摘した。ひとつの脳細胞から別の脳細胞に伝えられた情報が後戻りして逆走することはないと主張したのだ。後に、ニューロンはこの接合部で、脳細胞から脳細胞へと放出される化学物質を使って連絡を取り合っていることが発見された。やがては、これらの化学物質が霊的体験の立て役者と名乗りを上げることになる。
本来は支配的な立場にあるニューロンが反射的に挙動することも発見したのもシェリントンである。つまり、ひとつのニューロンの活動が自動的に別のニューロンの活動を引き起すことを明らかにしたのだ。そうした神経系の反射の中で最も単純なのが膝蓋腱反射だろう。その回路には、シナプス結合をひとつ形成するニューロン2つがあれば事足りるからだ。まず、膝を軽く叩く刺激をひとつのニューロンが感知すると、それがシナプス結合を介して脊髄のニューロンに刺激を伝達する。その脊髄のニューロンが筋肉にインパルスを送って筋肉を収縮させるため、下股がピンと跳ね上がるのだ。その跳ね上がり加減を見れば、脳の働き具合が分かる。もっとも、反射の多くはより複雑で、多数のニューロンが込み入った順序で関与している。
脳の働きに関する私たちの考え方を一変させたシェリントンだが、彼にも答えを出せずに終わった問題があった。その問題が今も私たちの頭を悩ませている。隙間を飛び越えて一方向に情報を伝達し、反射的にも反応する脳のニューロンひとつひとつが、いったいなぜ”心のエネルギー”に変化するのか?