じじぃの「人の生きざま_483_ジョン・セイルズ(映画監督)」

Eight Men Out 1988 trailer 動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=NZYltpZT0KI
1919 World Series Conspiracy 動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=avFgP5Nomq8
ジョン・セイルズ ウィキペディアWikipedia)より
ジョン・セイルズ(John Sayles,1950年9月28日 - )はアメリカ合衆国出身の映画監督、脚本家、小説家、エッセイストである。脚本家として、またインディーズ映画製作者として有名。
エイトメン・アウト ウィキペディアWikipedia)より
エイトメン・アウト』(原題: Eight Men Out)は1988年制作のアメリカ映画。日本では劇場未公開。ジョン・セイルズ監督。
原作は1963年に出版され、ブラックソックス事件を本格的に取り扱った。その映画化作品である。「登板試合で全力を出せば妻に危害が及ぶ」と謎の匿名の人物から脅迫されてわざと失点する場面があるが、のちに作者のエリオット・アジノフはこの場面は創作である事を認めている。

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『人は道草を食って生きる』 赤瀬川隼/著 主婦の友社 2001年発行
アメリカ野球映画散策 (一部抜粋しています)
エイトメン・アウト』というアメリカ映画を映画館で観た人はいるだろうか。多分多くはいないだろう。実は僕も観る機会がなかった。というのはこれは日本の映画館では封切られなかったからである。だから観た人は幸運にもたまたまアメリカで上映時にいた人に限られる。
日本では、いきなりビデオで発表された。88年にその映画が作られたことを聞いていた僕は、直ちに買い求めた。おかげで、映画館なら1600円ですむところを、ポケットから大枚1万5千円が消えたのであった。食い物の恨みは恐ろしいというが、この恨みも僕は忘れそうもない。いや、金額のことだけでなく、やっぱり一度は映画館の大型スクリーンのあざやかな映像と音で観たかったからである。
ではなぜ日本で上映されなかったのか。消息通に聞いたところでは、これより1年後に完成した『フィールド・オブ・ドリームス』が日本ではほぼ同時か先に封切られることとなり、これはヒットまちがいなしで、それに比べると『エイトメン・アウト』のほうは、同じ野球を題材としたものでもわりあい地味で、日本の一般の映画ファンにはあまり向かないのではないかとの判断だったらしい。しかも、2つの映画には共通のキーワード的人物がいる。シューレス・ジョーだ。配給元はテーマの重複を恐れたのかも知れない。
確かに、シューレス・ジョーだけでなく、有名な1919年のワールド・シリーズにおける「ブラックソックス・スキャンダル」にかかわったホワイトソースの8人のプレーヤーは、両方の映画に登場するが、共通点はそれだけで、他はテーマといい肌合いといいまったく異質のものだけに、なぜ勇気をもって映画館にかけてくれなかったのかと、今でも残念に思っている。
いや、愚痴はこれくらいにして『エイトメン・アウト』だ。これにはノンフィクションの原作がある。エリオット・アジノフの同名の本(名谷一郎訳・文藝春秋刊)だ。
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今ここに記した分だけ、僕は映画についての感想を省略することができる。というのは、ジョン・セイルズ監督の映画『エイトメン・アウト』(は、その原作のノンフィクションの構成と肌合いに忠実に、1時間半の映像とダイアローグに表現したと、少なくとも僕には思えるからだ。
「原作に忠実」という言い方が、映画作家の創造性や努力を軽んじたものではないことは、映画好きの人にはわかっていただけると思う。忠実と言うと忠犬ハチ公みたいな語感でよくないが、文章を綴ることと映画を作ることはまったく別の芸術で、そのうえで原作の起承転結うを踏み外してなく、しかも原作がノンフィクションだったということにおいて、僕は映画の実力に敬意を表しているつもりである。要するにこの映画はノンフィクションナルなドラマに徹しているのだ。僕のハタケに関係することわざで言えば、「事実は小説よりも奇なり」というわけだ。