じじぃの「人の生きざま_476_樋口・廣太郎(アサヒビール)」

スーパードライ」を発売したアサヒビール元社長・樋口廣太郎氏が死去 2012年9月18日 エキサイトニュース
アサヒビール名誉顧問で元代表取締役会長の樋口廣太郎(ひぐち・ひろたろう)氏が16日死去した。86歳だった。
http://www.excite.co.jp/News/column_g/20120918/Cobs_il_201209_post-2101.html
福山雅治 アサヒスーパードライ ドライプレミアム 「贅沢な季節のプレミアム」篇30s+15s 動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=n_P2NEL07GA
名言・格言の活かし方〜樋口 廣太郎〜 動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=BOEXX6tC6BM
樋口廣太郎 ウィキペディアWikipedia)より
樋口 廣太郎(ひぐち ひろたろう、1926年(大正15年)1月25日 - 2012年(平成24年)9月16日)は日本の実業家。アサヒビール中興の祖。
京都市出身。京都市立第二商業学校(廃校)、彦根経済専門学校を経て、京都大学経済学部卒業後、住友銀行に入行。副頭取まで昇進した。1986年(昭和61年)、アサヒビール(現:アサヒグループホールディングス)の社長に就任。1987年(昭和62年)、アサヒスーパードライを発売して大ヒットさせる。1995年(平成7年)から経団連の副会長も務め、1998年(平成10年)には当時の小渕恵三内閣総理大臣に請われて首相の諮問機関・経済戦略会議の議長に就任。敬虔なカトリック信徒としても有名であり、大学時代は同じ大学にいた本島等(元長崎市長)と仲が良かった。

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文藝春秋 2015年1月号
日本株式会社 【執筆者】高杉良 繁栄を支えた「中興の祖」 (一部抜粋しています)
私は今、樋口廣太郎にのめり込んでいる。関心を寄せて約1年経過したが、かくまでに魅了された人物は、中山素平(財界鞍馬天狗こと元日本興業銀行頭取)以来である。
某大物財界人に「10年以上眠っていた人を呼び起こし再発掘した価値は少なくない」と過分な言葉を頂戴したことも励みになっている。
樋口は昭和61(1986)年3月に住友銀行副頭取からアサヒビール社長に転じた。
当時、同社は朝日ならぬ”夕日ビール”と蔑(さげす)まれ、経営難に直面していた。住友銀行からアサヒビールとの提携を打診された同業他社のトップは「溺れかけている犬を救うバカはおらんでしょう」と言い放ったほどだ。樋口なかりせばアサヒビールを沈み、倒産処理されていた可能性も否定できない。
樋口にまつわる挿話は山ほどあるが、秀逸なのは、あるジャーナリストの取材を受けた時のことだ。
――社内で瞬間湯沸器と言われていると聞いていますが。
「それは怒ったり叱ったりした後のほうです。すぐに褒めてフォローする。瞬間湯沸器は私自身の命名ですから間違いありません」
瞬時に真顔で切り返した樋口はご立派、お見事だ。
住銀の常務時代、安宅産業事件で最前線に立たされて苦労した経験も糧になったと思う。
時の住銀トップ、磯田一郎の辣腕もあって、最終的には伊藤忠商事による救済合併に漕ぎつけることができた。「(償却債権額の)2千億円をドブに捨てた」という磯田の発言はさずがに勇み足と思えるが、晩年の磯田をバックアップし続けたのも樋口の大きさを示して余りある。
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では、なぜ”夕日”は朝日になって輝いたのか。
”『スーパードライ』ゴー”の樋口の経営決断があったからだ。
昭和62年から3年にかけてのビール業界の”スーパードライ戦争”でアサヒビールは圧勝した。
手元にある『会社四季報』1989年1集新春号によれば「[急伸]88年度はビール七割増中心に大幅増収」とある。同時期は”スーパードライ戦争”は始まっていないが、急伸はさらに加速され、”戦争”は独り勝ちで終わった。
新聞、テレビなどが”戦争”を煽ってきれた。樋口は「広告費にしたら何億円になるだろうか」と、漏らしたと聞く。
社長でありながら”営業本部長”を兼務していたと私の眼には映る。
ほんの1例を引く。
ゴルフクラブやカントリークラブの理事に名前を連ねること軽く100を超すと取材で知り得たが、考えるまでもなくアサヒビールの売り込みに直結する。当時はラウンド終了後、必ずレストランで小宴会が催され、ビールの売上げ増をもたらした。
ハスキーながら良く通る声は、映像で知り得たが、常に草稿なし、メモなし、当意則妙ぶりは間然する所がない。社員を大切にする気遣いの人でもあった。強きを挫き、弱気を助ける人とも言えよう。
読書家で絵心もあり、音楽(特にオペラ)好きの教養人でありながら、ひけらかしはない。