じじぃの「人の生きざま_405_アナンダ・チャクラバティー」

Ananda Chakrabarty

バイオサイエンスの光と影 三和書籍
バイオテクノロジーの発達によって生命現象が発明とみなされるようになり特許として権利化されたが、これは生命の「囲い込み」に他ならない。本書では、生命の囲い込みによる弊害、すなわち研究活動の阻害や途上国の医薬品価格への影響、遺伝子組み換え植物を販売する企業が農民に与える苦悩など、さまざまな問題を多くの事例で紹介する。
http://www.sanwa-co.com/wp/101/
Ananda Mohan Chakrabarty ウィキペディアWikipedia)より
Ananda Mohan Chakrabarty (4 April 1938 - ), Ph.D. is an Indian American microbiologist, scientist, and researcher, most notable for his work in directed evolution and his role in developing a genetically engineered organism using plasmid transfer while working at GE, the patent for which led to landmark Supreme Court case, Diamond v. Chakrabarty.

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『カラー図解EURO版 バイオテクノロジーの教科書・上巻』 インハート・レンネバーグ/著、小林達彦/監修、田中暉夫・奥原正國/訳 ブルーバックス 2014年発行
生物特許に道を拓いたチャクラバティー教授 (一部抜粋しています)
歴史上初めて、新しい生命体への特許がアナンダ・チャクラバティー(Ananda Chakrabarty)に認められた。彼は1965年インドのカルカッタ大学で博士号を取得。米国GE社に入社してすぐに、原油成分を分解して海洋生物が食べられるような物質に変換するシュードモナス菌(Pseudomonas)を開発した。
1980年、この菌をめぐって、研究室で作成した生命体は特許になりうるという画期的な米国連邦最高裁判所(U.S.Superme Court)の判決が出た。まもなくバイオテクノロジーのパイオニアであるジェネンテック社(スワンソンとボイヤーにより設立)のスポークスマンは、最高裁判決は”米国の科学技術の将来を保証するものである”と述べた。このチャクラバティーケースで、生物特許審査基準が大きく変わった。すなわち、この戦いは、生物工学の発見を特許化できる道を拓いたのである。
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最初の特許請求から8年後の1980年、最高裁は5対4の評決で、当該の微生物は物質の新しい集合体で、人間の創意の賜物であって自然のなせるわざではなく、特許にしうるとする米国関税特許控訴裁判所(CCPA)のジャイルズ・リッチ判事に同意した。ウイリアム・ブレナン判事は少数派を代表して、この訴訟は”まれに見る国民全体の関心事である”と主張し、ゆえに連邦議会による再調査と新たな法が必要であると指摘した。生物の所有権は興味深い結果を伴い、現実のものとなったのである。