じじぃの「人の生きざま_163_杉山・直」

NASA | WMAP--From the Archives 動画 YouTube
http://www.youtube.com/watch?v=cnE4oYcCw8g
WMAP 動画 YouTube
http://www.youtube.com/watch?v=1FiESw3Zj4M
宇宙の果てに迫る天文観測 杉山直
遠方の宇宙を見ることは、過去の宇宙を見ることにほかならない。21世紀に入って、宇宙のさいはて、つまり宇宙の始まりに迫る観測が次々と進められている。さらに、暗黒に支配されている宇宙の姿もそこに浮かび上がってきた。
http://www.soken.ac.jp/journal/no.11/doc/04-07.pdf
杉山直 (天文学者) ウィキペディアWikipedia)より
杉山直(すぎやまなおし、1961年 - )は、日本の天文学者名古屋大学教授。専門は、宇宙論、特に宇宙背景放射。理学博士(広島大学、1989年)。神奈川県出身。
数物連携宇宙研究機構の主任研究員でもある。
WMAP ウィキペディアWikipedia)より
WMAP(Wilkinson Microwave Anisotropy Probe: ウィルキンソンマイクロ波異方性探査機)は アメリカ航空宇宙局 (NASA) が打ち上げた宇宙探査機である。WMAP の任務はビッグバンの名残の熱放射である宇宙マイクロ波背景放射 (CMB) の温度を全天にわたってサーベイ観測することである。
この探査機は2001年6月30日午後3時46分 (EDT) にアメリカのケープカナベラル空軍基地からデルタIIロケットで打ち上げられ、太陽と地球のラグランジュ点 (L2) で2010年8月まで観測を行った。

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『現代素粒子物語』 中嶋彰/著、KEK協力 ブルーバックス 2012年発行
宇宙を創った暗黒物質 (一部抜粋しています)
ハッブル定数は、宇宙の膨張速度を定めた重要な定数で、多くの銀河が私たちの太陽系がある天の川銀河から離れていく速度は、2つの銀河の距離にハッブル定数を乗じたものになる。
ハッブル定数はハッブル宇宙望遠鏡を使って遠くの星を観測することにより、何度も”実測値”が算出されている。2011年に米国の研究チームが公表したハッブル定数は「73.8km/秒/Mpc」というものだった。
この数値はWMAPの全天マップから導き出されたものに近い。異なる方法で算出された数値が近接したということは、これらの数値がともにほぼ正しいことを示している。
ちなみに「Mpc」は「メガパーセク」と読む。「メガ」は100万、「パーセク」は約3.26光年のこと。ハッブル定数は銀河が1メガパーセク(約326万光年)遠ざかるごとに、速度が秒速で70キロメートルあまり増大していくことを示している。
ではWMAP探査機によって作成された宇宙背景放射の全天マップから、どのようにして宇宙の物質や暗黒物質の比率といった重要な事実が明らかにされていったのか。立役者は宇宙論を専門とする日本の杉山直(名古屋大学大学院理学研究科教授)だった。
宇宙背景放射を手がかりに宇宙の生い立ちを研究し始めた杉山の手法は、かってない独創的なものだった。杉山は創生期の宇宙を、さまざまな「音」に満ちた「宇宙交響楽」のコンサートに見立て謎に迫っていこうとしていたのだ。
宇宙が晴れ上がり、光がまっすぐに飛び始めるしばらく前の状況を思い描いてみよう。その頃の宇宙は陽子や電子、光子が渾然一体となったいわゆるプラズマの状態だった。もちろん目にみえない暗黒物質もその中に混じっていた。
杉山によるとプラズマの中では陽子や電子、光子、暗黒物質が押しくらまんじゅうをするかのように力を及ぼし合い、さまざまな音が鳴り響いていた。力強く引っ張るのは重たい暗黒物質。一方、日本の宇宙航空研究開発機構JAXA)が2010年に打ち上げた光子の圧力で飛ぶ宇宙ヨット「イカロス」に見るように光子はぶつかった相手を押し返す圧力があった。
押したり引いたりすると振動が起きる。こうして楽器が空気を振動させてさまざまな音色を出すのと同じように、宇宙でもオーケストラのように多種多様な音が響いていたのだ。
杉山はこの音を使って宇宙に何がどれくらいの比率で存在するかを突き止めようとした。音は音を伝えるもの(媒体)によって伝わり方が非常に異なる。だから宇宙の場合も音がどう空間を伝わったかを探れば、その際、宇宙にどんな物質があったかが分かる、という研究プランを描いたのだ。
街の玩具屋さんのパーティー・グッズ売り場に行ってみよう。そこでは「声が変わる」と銘打った「ヘリウムガス缶スプレー」が見つかるはずだ。ヘリウムを吸ってから音を出すと声が高くなって、周囲の人に面白がられるおもちゃである。
こんな不思議なことが起きるのはヘリウムが軽くて振動しやすく、空気中の酸素より音を速く伝えるからだ。
杉山のアイデアもこうした現象に着目したもの。プラズマの中には陽子や電子、光子、暗黒物質がある。ただし場所によってはこれらの物質の比率が異なり微妙な濃淡が生じていたはずだ。
ならばヘリウムガスの玩具のように、宇宙のしらべは場所によって違った音色で伝わったはずだ。またそうした音の微妙な変化を正確に観測すれば、宇宙空間にあるさまざまな物質の存在比率も算出できることだろう――。COBEやWMAPが打ち上げられ、宇宙背景放射の観測データが大量に集まると、それらの貴重なデータは杉山の方法で解析され、驚きに満ちた新しい宇宙像を描き出した。杉山の研究はまぎれもなく宇宙のミステリーを解き明かす先駆的で第一級の研究だったのである。

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杉山直 宇宙 Google 検索
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