小平邦彦 - あのひと検索 SPYSEE
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近世日本人数学者列伝〜小平邦彦〜（前編）
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小平邦彦 フリー百科事典『ウィキペディア（Wikipedia）』 （一部抜粋しています）
小平邦彦（こだいらくにひこ、1915年3月16日-1997年7月26日）は、日本の数学者である。東京都出身。
【来歴・人物】
20世紀を代表する数学者の一人。数学界のノーベル賞といわれるフィールズ賞を1954年に日本人として初めて受賞（調和積分論、二次元代数多様体（代数曲面）の分類などによる）。1948年、ヘルマン・ワイルによりプリンストン高等研究所に招聘された。変形の理論（モジュライ空間の局所理論）でも有名。小平は代数幾何に（楕円型微分方程式論など）複素解析的手法を持ち込み、これらの業績を次々とあげていった。これはアンドレ・ヴェイユなどの目指した徹底的な代数化の方向とは趣を異にするものであり、後年のマイケル・アティヤ、サイモン・ドナルドソンらによる（Yang-Mills）ゲージ理論のさきがけともみなせる。帰国後東京大学、学習院大学で教鞭をとった。小平次元、小平消滅定理、小平・スペンサー理論等に名を残している。
趣味はピアノで、本格的に教育を受けていたこともあり、かなりの腕前であった。
【略歴】
・1915年 - 小平権一の長男として東京都に生まれる。
・1935年 - 東京帝国大学数学科に入学。
・1944年 - 東京帝国大学物理学科助教授に就任。
・1948年 - プリンストン高等研究所に招聘される。
・1954年 - 国際数学者会議においてフィールズ賞を受賞。
・1957年 - 日本学士院賞、文化勲章を受賞。
・1987年 - 勲一等瑞宝章受章。
・1990年 - 国際数学者会議において組織委員長を務める。
【補足】
・2007年に行われた読売新聞社と中国の国営新華社通信の日中共同大学生調査で中国人大学生が選ぶ好きな日本人の2位に選ばれた。
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『考える人 日本の科学者100人100冊』 新潮社 2009年発行
小平邦彦 『怠け数学者の記』 岩波現代文庫 中国人大学生の選ぶ「好きな日本人」 第二位の「暖かいヒト」 【執筆者】藤原正彦 （一部抜粋しています）
小平先生の代表作はむろん、1975年に還暦を記念して出版された全集である。1600ページをこえる欧文で書かれたこの論文集を読めば先生の全貌がうかがえる。中でも戦時中に空腹を抱えながら、死の床にある１歳の長男の傍らで書いた「リーマン多様体上の調和テンソル場」は、戦後になって進駐軍の手を経てアメリカに伝えられ、先生を一躍スターダムへ押し上げた。ワイルのリーマン面を高次元化し複素多様体論を築き上げることとなったいくつかの歴史的論文も含まれている。これらはフィールズ賞、文化勲章、ウルフ賞などへつながったものである。先生の特徴はフィールズ賞をとった後も多くの成果を出し続けたことである。こういう人は珍しい。いかにも先生らしい。
しかし私がただ１冊を選ぶとすると、何と言っても『怠け数学者の記』である。先生はこのエッセイ集でこんなことを書く。「私にとって数学の本（論文も含めて）ほど読みにくいものはない。・・・・初めから終わりまで読み通すことは至難の業である。・・・・何か数学書を早く読む方法があったら教えて貰いたい」「数学は厳密な論証によって展開される明晰判明な学問であるということになっている。・・・・ならば誰にでも容易にわかるはずであろう。・・・・数学は私のような数学者にとっても実にわかり難い。自分の専門分野の論文でも明晰判明に理解するには多大の時間と労力を要する」さらに曰く、専門外ならたいてい理解不可能である。
こんなことを言う数学者は恐らく世界にいないのではないか。私達数学者はこれを読んでまず「自分達が難しく思うのは当然なのだ」と勇気づけられる。ついで「これだけ率直に言えるのはやはり偉大だからだ」と思う。そして「暖かい人」と敬愛する。新聞の報道によると、中国人大学生の選ぶ「好きな日本人」は川端康成に続いて二位が先生だった。先生の書いた教科書が中国で広く使われているからだろう。高倉健を三位に抑えての二位である。謙虚で聞こえた先生がこれだけは自慢しそうだ。
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