じじぃの「人の生きざま_23_岡野・雅」

岡野雅行 画像
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テルモの世界一細い注射針 Gデザイン大賞!
http://yakuji.exblog.jp/2071027/
岡野雅行 (会社社長) フリー百科事典『ウィキペディアWikipedia)』(一部抜粋しています)
岡野雅行(おかのまさゆき、1933年2月14日 - )は、日本の技術者、経営者。現在、金属加工会社・岡野工業株式会社の代表社員(社長)。東京都墨田区出身。
【代表作】
リチウムイオン電池ケース
 もともとはウォークマン用に開発したものだが携帯電話に転用した。液漏れによる事故を防ぐため、同部品は均一の金属板で作られる必要があるが、これを薄く亀裂の入りやすいステンレスの深絞り加工で実現した。かつて、ジッポーのライターのケースを作っていた技術が生きたという。
痛くない注射針(ナノパス33)
 針の先端が蚊の口吻とほぼ同じ外径200μm、内径80μm。シュリンジ側はΦ0.35mmと太くテーパになっている。理論物理学者にも不可能と言われたそれを、ステンレス素材のプレス加工で実現させた。医療機器メーカ、テルモからの依頼により開発。なおテルモは同社に依頼するまでに100社以上に「企画」を持ち込んだがすべて断られたという。同製品は「05年度グッドデザイン大賞」(日本産業デザイン振興会主催)にも選ばれている。

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知る楽 仕事学のすすめ 岡野雅行 誰にも負けないものづくり術 2010年3月11日 NHKネットクラブ
【講師】岡野工業代表社員 岡野雅行 【きき手】ブランドプロデューサー 藤巻幸夫 【語り】竹本英史
ハイテク部品を量産するプラントを次々と生み出してきた岡野雅行さん。今回は、岡野さんの修業時代に迫る。
岡野さんは5年前、直径わずか0.2mmの“痛くない注射針”の量産化に成功し、多くの賞賛を浴びてきた。
世界中の企業をひきつける岡野さんの強みは、10年を越える修業時代の間に、金属加工の多種多様な技術をマスターしたこと。
オンリーワンと言われる岡野さんの技術力は、学校ではなく、下町の人々との出会いから育まれた。
一流の金型職人だった父親。近所の遊郭で出会った、夜の街の人々。幼い頃から身に付けた世渡り力が、岡野さんを進化させてきたのだ。
http://pid.nhk.or.jp/pid04/ProgramIntro/Show.do?pkey=001-20100311-33-33631
『人生は勉強より「世渡り力」だ! 』 岡野雅行/著 青春出版社 2008年発行 (一部抜粋しています)
"打ち合せ"ではお宝情報は出てこない!
いちばん確かな情報が入ってくるのは、人づきあいの中でだってことは、誰でも分かってる。だけど、人づきあいをうまく続けていくのは、けっこう難しいもんなんだ。
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人づきあいをやめたばっかりに、そんな情報が入ってこなかったら、それこそ命運にかかわるんだ。いま仕事が大量に入って来ているからといって、それだけに目をむけていたら、値引きが必至な3年先のダメージは計りしれないってことになる。実際、そんなことでつぶれていった会社を、俺はたくさん見ているからね。
せっかく発注元の企業側に、「この技術になら、カネに糸目はつけない」という姿勢があっても、こちらがそれを知らないことには食い込みようがないよな。情報を得てこそ必要な技術がどんなものかが分かるし、こっちも標的を誤らず技術開発に取り組めるんだ。
もう一度、言っとくよ。ほんとに貴重な情報ってのは、あらたまった場で出てくることはまずないね。打ち合せしましょう、なんてときは、その話に終始するもんだから、情報の「ポロリ」はないんだ。酒でも飲んで、ワイワイガヤガヤやっているときに、「そういえば、このあいだA社に納品に行ったときに、ちょっと耳に挟んだけどさ・・・・」なんて極上な情報が出てくるわけさ。
だから、用があるときだけ会う、顔を出すっていうんじゃダメなんだよ。そんな他所(よそ)行きの顔同志を何度突き合わせたって、気心知れた仲にはなれないしな。俺なんか半端じゃなく口が悪いから、
「バカヤロウ、てめえなんか二度と来るな!」
なんてことがしょっちゅうある。表面上のつきあいだけで俺の気質(たち)を知らなきゃ、それっきり怖くて来れなくなっちゃうだろ。だけど、ふだんから用がなくてもつきあって、俺がどういう人間かを飲み込んでりゃ、次の日にだって「こんちは」と平気な顔をして来られる。そしたらこっちも「てめぇ、よく来るな。お茶でも飲んでけ。じつはおもしろい話があってよ・・・・」ってことになるんだ。これが世渡りってもんなんだよ。ほんとの話。
不可能を可能にする"勘"の磨き方
俺は世界で初めて「痛くない注射針」をつくった。みんな蚊に刺されたことがあると思うけど「痛い!」なんて感じたことはないだろ? 俺がつくった注射針も、あの蚊に刺された感覚しかないんだ。口はばったい言い方になるけど、これは俺にしかできなかったね。
職人としての腕だけの問題じゃないんだよ。腕のいい職人ならいくらもいる。ほかではできなくて、俺にできたのは理由があるんだ。「痛くない注射針」なんて話は"常識外"のことなんだ。できるかできないかを検討するレベルじゃない。そんなものに誰も手を出そうなんて思わないよな。
だけど、俺にはなんとなく、「こうやってみりゃ、もしかして・・・・」っていう解決の糸口が見えた。言っちまえば、それだけの違いなんだよ。それまで注射針は全部、パイプを切ってつくっていた。そのやり方じゃ、蚊に刺された感覚の針なんてできっこないんだよ。理論物理学の大家である大学教授が、言下に「物理的に不可能」って"太鼓判"を押すくらいだからね。
だけど、俺はパイプ状のものをつくるなら、別のやり方だってあるじゃねぇかって思ったわけだ。一枚の板をプレスで丸めちまえば、パイプ状になるだろ? それならこれまで考えられなかったような細いものができるんだ。
注射針をプレスでつくろうなんて、世界中で誰も思いつきゃしねぇよ。ハナからそんなことはできないって決めつけてるからね。プレスを始めてからずっと、「難しくて誰にもできない仕事」ばかりやってきた俺は、不可能だろうが何だろうが、できないと決めつけたりしない。
「できないわけはない」っていう勘働きもあったね。
頭だけで考えてる人は、この勘ってのが働かないんだよ。ガキの頃からたっぷり遊んで、人にもまれてこないと、勘は磨かれねぇっての。
俺はどんな仕事でも勘、感性って言ってもいいんだけけど、そいつがなきゃダメだと思うね。仕事もそこそこできるし、経験も実績もあるのに、芽が出ないとか、評価されないって人が多いだろ? 「なんでだ?」って思ってるかもしれないけど、俺に言わせりゃ、単純な話だよ。世の中を渡っていく勘ってもんがねぇんだな。
うちは親父の代から金型屋をやってきた。金型屋ってのはプレス屋の下請けもたいなもんなんだ。メーカーと話をしてプレス屋が注文をとってくる。プレス屋はその製品をつくるための金型を金型屋に発注するわけだよ。そして、できた金型をプレス機に取りつけて、製品をじゃんじゃんつくって儲ける。金型屋のほうは金型をいったん治めたら、それでしまいなんだ。
まだ若い頃の話だけど、俺は一所懸命仕事をして、やっとバイクを買ったんだ。喜んでそれに乗っかってたら、俺の金型を使ってるプレス屋は4輪のいい車に乗ってんだよ。そんとき思ったね。
「金型屋だけやってたんじゃ、いつまでたっても4輪に乗れやしねぇ。プレスもやんなきゃ、どうにもならねぇぞ、これは」
だけど、金型屋はプレス屋の下請けだ。お得意にあたるプレス屋の仕事はしちゃいけないってのが、当時の不文律だったんだ。うちの親父にも、「絶対、プレスの仕事はしちゃならねぇぞ!」ってきつく言われてたしな。
でも、そこで諦めてたら、仕事は尻すぼみになって、いまごろは倒産してたかもしれないって思うね。俺はプレスの仕事を始めた。正確に言うと、金型屋の俺がプレスの仕事をやっていく"しかけ"をつくったんだ。さっき言った、「難しくて誰にもできない仕事」、それから、「安すぎて誰も受けない仕事」だけをやるってのがそれなんだけど、猛烈な周囲の逆風のなかで、そんなしかけができたのも、俺がずっと、成功する勘どころを読む、「世渡り力」を鍛えてきたからだって気がするね。
腕がいいってだけだったら、生涯一金型屋で終わっちまったな、きっと。

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岡野雅行[前編]平成の世にサムライを探して 【二十二回】
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