じじぃの「100年予測・2020年中国は分裂する!フリードマン」

『100年予測』著者フリードマンによる本の紹介 動画 YouTube
http://www.youtube.com/watch?v=4WE-MIAbxds
『100年予測―世界最強のインテリジェンス企業が示す未来覇権地図』 ジョージ・フリードマン/著 櫻井祐子/訳 早川書房 2009年発行 (一部抜粋しています)
「影のCIA」と呼ばれる情報機関ストラトフォーの創立者でCEOをつとめる政治アナリスト・フリードマンが予想する衝撃のこれからの世界は・・・・。
アメリカ・イスラム戦争は近く終局をむかえる。
→勢力を回復したロシアは、アメリカと第2の冷戦をひきおこす。
アメリカへの次の挑戦者は中国ではない。中国は本質的に不安定だ。
→今後、力を蓄えていき傑出する国は、日本、トルコ、ポーランドである。
→今世紀半ばには、新たな世界大戦が引き起こされるだろう。その勝敗を左右するのはエネルギー技術であり、宇宙開発である。
→そして、今世紀の終りには、メキシコが台頭し、アメリカと覇権を争う。
地政学の手法を駆使してフリードマンが見通す未来は、一見荒唐無稽に感じられても合理的で、的確な洞察力を感じさせる。示唆に富む未来覇権地図がここに描かれている。
第5章 2020年の中国
中国の政治危機
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中国への経済投資を守ろうとする外国との間に、経済問題をめぐって大きな対立が生じているこの頃は、国家主義に訴えやすい環境にあるはずだ。「偉大なる国、中国」という思想が、失われた共産主義イデオロギーにとって代わるだろう。外国との争いには、中国政府のステータスを高める効果がある。中国政府は問題の責任を他国に転嫁し、外交的手段や高まる軍事力を背景に外国政府と対決することで、政権への支持を集める。これが起こる可能性が最も高いのは、2010年代である。
対立の相手国としてうってつけなのは、日本とアメリカのいずれか、または両方である。いずれも中国の宿敵であり、今もすでに不和がくすぶっている。ロシアが敵扱いされることはまずない。ただ、日本やアメリカとの間に軍事衝突が起きる可能性は限られている。中国にとっては、いずれの国も積極的に好戦できる相手ではない。中国の海軍は弱く、アメリカとの対決に耐えられない。したがって台湾進攻は、理論上は魅力的に思えても、実現する可能性は低い。中国の軍事力では、台湾海峡を強引に突破することも、もちろん台湾の戦場に物質を輸送する船団を護衛することもできない。中国は今後10年以内にアメリカに挑戦できる海軍力を持つまでには至らない。海軍を構築するには長い年月がかかるのだ。
そんなわけで中国の歩む道筋として、次の3つが考えられる。第1が、いつまでも驚異的なペースで成長し続けるというものだ。だがかってこれを成し得た国はないし、中国が例外になるとも思えない。30年間続いた驚異的な成長は、中国経済に莫大な不均衡と非効率をもたらしており、それは必ずや是正されなくてはならない。いつか中国も、アジア諸国が経験したような痛みに満ちた調整を強いられるだろう。
あり得るシナリオの2つめが、中国の最集権化である。景気低迷をきっかけに相反する諸勢力が台頭するも、強力な中央政府が秩序を打ち立て、地方の裁量を狭めることによってこれを抑え込む。このシナリオの方が実現する可能性が高いが、中央政府出先機関の役人が集権化と対立する利害を持つため、成功させるのは難しい。政府は規則を徹底する上で役人の協力を当てにできるとは限らない。政府が国内の統一を保つために使える手段は、国家主義しかない。
第3の可能性は、景気悪化がもたらすひずみにより、中国が伝統的な地方の境界線に沿って分裂するうちに、中央政府が弱体化して力を失うというものだ。これは中国ではいつの時代にも現実性の高いシナリオであり、富裕階級と外国資本に利益をもたらすシナリオでもある。これが実現すれば、中国は毛沢東次代時代以前と同じ状況に陥る。地域間の競争や、紛争さえ起きるなか、中央政府は必死に支配を維持しようとするだろう。中国経済がいつか必ず調整局面に入ること、そしてどんな国でもそうだが、これが深刻な緊張をもたらすことを踏まえれば、この第3のシナリオが中国の実情と歴史に最も則していると言える。
日本の場合
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2020年の中国にとってきわめて現実性の高いシナリオは、古い悪夢が現実になることだ。
相克する地方の指導者たち、この状況を利用して自らに有利な経済ルールを設定できる地域を確保しようとする外国資本、そして国内統一を維持しようとするが徒労に終わる中央政府の間で、国が分裂するというシナリオだ。第2の可能性が、新・毛沢東主義の台頭である。つまり経済発展を犠牲にした集権化だ。そして例によって最も可能性が低いのは、現在の状況がいつまでも続くというシナリオである。
すべてを考え合わせると、こういうことになる。中国が今後20年の間に地政学断層線になることはない。中国の地理的条件を考えれば、いかなる状況でも中国が断層線になる可能性は低いし、この地理的限界を克服するためには、10年以上の年月をかけて軍事力を増強しなくてはならない。中国の経済と社会のひずみは、政府がまともに対処できる水準をはるかに超えた問題をもたらし、政府には思い切った外交政策をとる余地がほとんどなくなる。中国は外部の強国と関る限り、相手に対して力を誇示するどころか、侵略から国を守らなくてはならない状況に陥るのである。
訳者あとがき
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このようにして紡ぎ出される本書の予測は、衝撃的だ。ごくかいつまんで言えば、今世紀前半には地理的、人口的な制約から、ロシア、中国、インドといった大国の力が衰え、これに人口爆発の終焉や宇宙分野におけるイノベーションなどの大きな潮流が絡み合い、アメリカの1極支配体制がまします強化されていく。このようにして世界は唯一の超大国アメリカの、強大で時に横暴な力に、より直接的にさらされるようになる。その結果、アメリカの力に対抗しようとする新興の強国たちと、自らの覇権に対する脅威の芽を摘もうとするアメリカとの間に、熾烈な戦いが次々と繰り広げられるという。21世紀の戦争は舞台を宇宙に移し、これまでとはまったく異なる方法で戦われる。そして意外な国がアメリカに挑戦し、その地位を揺るがすように思えた頃、今世紀は幕を閉じるのである。
これらの強国には、日本も含まれる。日本は人口減少による深刻な労働力不足から、太平洋地域に経済的、軍事的影響力を拡大せざるを得なくなり、図らずもアメリカの覇権を脅かす存在になってしまうという。日本に暮らし、平和の時代しか知らない者にとっては、とても鵜のみにできるような予測ではない。しかし世界の勢力バランスがアメリカの側に大きく傾いたとき、その他諸国が手を結んでバランスを保とうとするのは必然のように思える。そして日本の存立基盤が脅かされるほどアメリカが強大化したとき、日本が他国と同盟を結びこれに挑戦することはあり得ないと、果たして言い切れるのだろうか。
本書は本国アメリカで2009年1月に刊行されるや否や、アマゾン・ドットコムやニューヨークタイムズなどでベストセラー入りし、そのあまりにも大胆で意外な予測から、各界に賛否両論の議論を巻き起こした。だがフリードマンは、将来について1つだけ確実に言えることがあるとすれば、それは現在の常識が通用しなくなることだと強調する。そして、100年先を細部まで正しく予測することは不可能だと認めながらも、大まかな世界構図は決して読み違えてはいないと力説する。アメリカでも、予測の細かい点に異論はあっても、その長期的な展望には考えさせられた、思考の種になったという評が数多く寄せられている。

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どうでもいい、じじぃの日記。
2010年1月1日の日本経済新聞 特集面『次の10年へ 未来を読む』に「塗り替わる経済勢力図」が載っている。
記事のまん中に世界の主な国の世界のGDP比率を図にした「世界のGDPに占める各国の比率」がある。
中国が2010年→8.7%、2020年→13.2%
アメリカが2010年→24.3%、2020年→22.5%へ
日本が2010年→8.6%、2020年→7.0%
中国が2020年には世界のGDP比率で日本の約2倍になっちゃうのか。すげぇな。
2027年には中国がアメリカを追い抜いてしまうようなことが書かれている。ほんとかょ。
確か1989年、日本がバブルの絶頂期、日本の世界のGDP比率は14%ぐらいだった・・・・。
閑なじじぃ。先日、東金図書館に行った。新書コーナーの本棚のなかに『100年予測』という本があった。
本のカバーの後に、この本のダイジェストが書かれている。
アメリカへの次の挑戦者は中国ではない。中国は本質的に不安定だ。
そうかもしれない。中国は共産党独裁の国だ。内部に矛盾をかかえていて、いつ国が崩壊してもおかしくない。
そういえば、Newsweekも2010予測で中国はクラッシュするようなことが書いてあった。
このフリードマンの『100年予測』でアメリカに対抗する国として日本、トルコを挙げている。日本とトルコが組んでアメリカを脅かす存在になっている。
日本はアメリカに対抗するため、月面の裏側に秘密基地を建設するのだそうだ。
結局は、21世紀はアメリカの世紀であると結論づけているが・・・・。
なんか、SF小説っぽい話だ。だけど、アメリカの有識者というのは日本の有識者より、中国をより客観的に捉えているのかもしれない。