じじぃの「未解決ファイル_37_エチゼンクラゲ」

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エチゼンクラゲ 提供: フリー百科事典『ウィキペディアWikipedia)』 (一部抜粋しています)
エチゼンクラゲ(越前水母、越前海月、Nemopilema nomurai)は刺胞動物門鉢虫綱根口クラゲ目ビゼンクラゲ科エチゼンクラゲ属に属する動物である。大型の食用クラゲの1種で、傘の直径が2メートル重さ150キログラムになるものもある。体色は灰色・褐色・薄桃色などの変異があり、日本では人が刺されたという報告は殆どされていないが、最近の研究では毒性が高めである事が判った。
また、体の90%以上が水分である。東シナ海黄海渤海から日本海にかけて分布する。ときに大量発生すると漁網を破るなどの被害を与えることがある。ビゼンクラゲなどとともに食用にされる。
【生態】
生態について現時点で知られていることは少ない。生活史は既に知られている他の根口クラゲ類と同様である。餌は主に小型の動物プランクトンだろうと考えられている。最近の研究で天敵としてアジやカワハギがあげられる。特にカワハギは集団でエチゼンクラゲを襲うことが判明し、石川県のカワハギ漁の漁師がエチゼンクラゲをカワハギ漁の餌として実験して効果が確認されている。
【大量発生による被害】
近年日本沿岸で大発生を繰り返しており、巨大な群が漁網に充満するなど、底曵き網や定置網といった、クラゲ漁を目的としない漁業を著しく妨害している。またエチゼンクラゲの毒により、このクラゲと一緒に捕らえられた本来の漁獲の目的となる魚介類の商品価値を下げてしまう被害もでている。1958年、エチゼンクラゲ津軽海峡まで漂い、時節柄浮遊機雷と誤認されて青函連絡船が運行停止になったことがあった。 古くからクラゲ漁を行っていない地域では、販路の確保や将来の漁獲の安定の見込みもないままにクラゲ漁用の漁具や加工設備を膨大な投資を行って整備するわけにもいかず、苦慮している。
大量発生の原因として、産卵地である黄海沿岸の開発進行による富栄養化地球温暖化による海水温上昇、日本近海の沿岸開発による自然海岸の喪失でクラゲに適した環境になった。などの説が挙げられている。特に三峡ダムなどの開発が原因ではないかという仮説が立てられており、国立環境研究所などが検証を始めている。また、魚類の乱獲によって動物性プランクトンがあまってしまい、それを餌とするエチゼンクラゲが大量発生、さらにはエチゼンクラゲの高密度個体群によって魚の卵や稚魚が食害されて、さらに魚類が減るという悪循環のメカニズムになっているのではないかとの指摘がある。 いずれも仮説の域を出ておらず、今後の研究の進展が待たれる。
なお、福井県では「エチゼンクラゲ」の名称が報道される度に福井県産の海産物のイメージダウンになることを危惧して「大型クラゲ」などと言い換えをするように報道各社に要望している。

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『生物を科学する辞典』 市石博、早山明彦、降幡高志、その他著 東京堂出版 2007年発行 (一部抜粋しています)
巨大クラゲはなぜ大発生した?
近年、日本海側を中心に、元来日本近海ではあまり見られないエチゼンクラゲが大量に流れ着いている。傘の直径が2m重さ150kgにもなる巨大なクラゲのため、漁業用の網に入ると網が破れてしまったり、せっかく捕獲した魚もクラゲの毒で対色が変化し、商品価値が下がるなど漁業に大きな被害をおよぼしている。このクラゲは1958年に大量発生が記録された後、1997年まで記録されなかった。そして2005、2006年と連続して大量発生が報告された。ではなぜこのような巨大クラゲが大発生したのであろうか。
この疑問点に答える前に、クラゲについての基本的な事がらをまとめておこう。まずはクラゲがどのようにして増えていくのかである。一口にクラゲといってもさまざまな種類があるので、ここではエチゼンクラゲミズクラゲが属する鉢クラゲ類の生活史を紹介する。雌雄異体(しゆういたい)である成熟したクラゲは、それぞれ卵と精子を海中または傘の内側にあるポケット状の部分に放出する。卵は受精すると分裂(卵割)をくり返し、楕円のプラヌラ幼虫になる。この幼虫は回転しながら遊泳し、海底の岩などに付着してイソギンチャクのようなポリプに変化する。やがてポリプは無性生殖によってたくさんの個体が折り重なったストロビラという状態を経て、一つ一つの個体がエフィラという若いクラゲとなって海中をふわふわと泳ぎ出す。エフィラは水中のプランクトンをどんどんと食べて、短期間のうちにゼラチン質を厚くしたクラゲへと育っていく。
このような生活史をもつクラゲの寿命はどのようになっているのだろうか。エチゼンクラゲの場合、5月ごろ出現して翌年の1月ごろには見られなくなるので、推定される寿命は約8ヵ月である。大型のクラゲはだいたいこのくらいの寿命だが、一般に小型になるとその寿命は短くなる。寿命の長いミズクラゲで最大20ヵ月(一般的には8ヵ月)、短いもので数時間で死んでしまうハネウミヒドラクラゲのようなものもいる。こうしてみると、エチゼンクラゲのような大型のものでも寿命は1年未満でわれわれ哺乳類の仲間と比べると圧倒的に短い。そしてその分、成長速度はきわめて速い。
エチゼンクラゲやミズくらげなどは群を成して海水面を覆う。このような群を作るのは、クラゲの遊泳力が弱いために海流に流されて潮目に集積されるのが原因である。しかし、その構成個体を調べてみると、成熟個体ばかりが集まっているので、能動的に有性生殖の相手を求めているのではないかと考えられている。日本に大量に東シナ海から押し寄せてくるエチゼンクラゲの場合は、日本近海で幼生個体が見つからないことから、子孫を残すことなく死んでしまう死滅回遊であると思われる。ただしこのようなことをくり返しているうちに、将来環境条件に適応して日本で発生する可能性は否定できない。
本題に戻ろう。日本へ大量にエチゼンクラゲがやってきたきたのは、中国沿岸域で異常な数のエフィラがポリプから遊離して育ったことが直接の原因ではないかと考えられている。それは長江の河口付近が富栄養化して多量の栄養物質が流入してきたこと(三峡ダムの影響?)、中国での水産物需要が増し、餌をめぐる競争者がいなくなったこと、海水温の上昇などが上げられる。ただし、このどれも仮説の域を出ず、このような条件ではミズクラゲも大発生してもおかしくない。自然の仕組みを知ることはなかなか難しいが、今後の調査が待たれる。

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どうでもいい、じじぃの日記。
『生物を科学する辞典』に「エチゼンクラゲ」のことが載っている。
ネットで「エチゼンクラゲ」をキーに検索してみたら、北京オリンピックが開催された去年、エチゼンクラゲは一匹も日本海で発見されなかったそうだ。今年は大量発生した2005、2006年に匹敵する数の来遊見通しとなっているそうである。
エチゼンクラゲが大量発生する原因ははっきりしていないが、東シナ海黄海渤海の環境悪化が原因ではないかといわれている。
先日、テレビで、エチゼンクラゲを食べるウマヅラハギをやっていた。カワハギでも同じだが、アジやイシダイなんかもエチゼンクラゲを食べるのだそうだ。
ただ、エチゼンクラゲが海にプカ、プカ浮いているだけで、ウマヅラハギやカワハギのすむ海域とは違うので、自然的な食物連鎖とはならないようだ。
エチゼンクラゲの発生と北京オリンピックとは何か関係があるのだろうか。
なぜ、中国からエチゼンクラゲに関する情報が入ってこないのだろうか。
中国の経済発展はめざましい。しかし中国人の一人当たりの所得は日本人の10分の1なのだそうだ。我々だって豊かになる権利があるんだ。自分がもし、中国人だったら、やはりそう思うだろう。車だって持ってみたいだろう。
今後、ますます東シナ海黄海渤海の環境悪化が進むだろう。そして、大量発生するエチゼンクラゲは中国の経済発展のバロメータなのかもしれない。