じじぃの「歴史・思想_539_日本の論点2022・習近平・2035計画」

台湾”融合”の計画案 習近平氏が描く未来図から読み解く【元特派員ヤマグチ 中国「ここだけ」極秘録】(2021年12月23日)

動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=I_8k_oRVhZk

【“2050年世界一流の軍隊へ” 「米軍並みの軍事力」習近平氏の野望とは・・・】報道1930 まとめ20/12/23放送

動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=veBY9lPup9Y&feature=emb_title

アジア映画で唯一ランクインしている作品。それが『戦狼/ウルフ』

大ヒット愛国映画『戦狼』に見る中国の拡張主義

2018年1月20日号 週刊東洋経済プラス
●アフリカを重視する中国政府の姿勢が如実に見える一方でほころびも。
世界の歴代映画興行収入トップ100に、アジア映画で唯一ランクインしている作品。それが『戦狼/ウルフ・オブ・ウォー』(原題は『戦狼2/Wolf Warrior II』)だ。日本最大のヒット映画『千と千尋の神隠し』の3倍超に達している。
https://premium.toyokeizai.net/articles/-/17311

『これからの日本の論点2022』

日本経済新聞社/編 日経BP 2021年発行

世界はこれからどうなる

論点19 習近平氏が毛沢東になる日はくるのか より

【執筆者】中澤克二(編集委員

米中関係は歴史的な転換点に

米中関係はいま、歴史的な転換点に立っている。50年という単位で両国の向き合い方を考えるなら、変質は避けられない。
ここで思い起こすべきは、半世紀前に世界を驚愕させた「ニクソン・ショック」である。それは1971年7月15日に始まった。当時の米大統領ニクソンは、大統領補佐官だったキッシンジャーの派遣による秘密交渉を明らかにし、国交のなかった中華人民共和国への訪問を予告した。それは翌72年2月21日、北京に降り立ったニクソン中南海で主席の毛沢東と握手したことで完結した。
このときの裏の主役はソ連である。ソ連への対抗という目的で一致した米中は、政治体制の根本的な相違などに目をつぶって国交正常化に突き進んだ。経済的に見れば中国はとるに足りない存在だった。ソ連ニクソン・ショックの20年後、1991年にあっけなく崩壊する。それから30年。今度は、矛盾に目をつぶって手を組んだ中国が、経済・軍事両面で米国の最大の脅威になっている。
実際、習近平政権は、2035年までに経済面で米国に追いつき、追い越そうとする具体的な目標を掲げている。軍事面も同じで、ここに米中両国の技術覇権争いが絡んでくる。米国側から見れば、自ら育てた中国が今度は米国を標的にしはじめたのを見過ごすわけにはいかない。これが米中「新冷戦」といわれる構造だ。
米国超えを視野に入れた習近平政権による「2035計画」の内容が明らかになったのは、2017年の中国共産党大会だ。この方面の勘に優れた前米大統領のトランプは、習近平政権が掲げはじめた、かつての中国とは異なる種類の野望に比較的早く反応し、一気に対中強硬路線に傾斜してゆく。
米中の力の接近を背景にした対立激化はある程度、予想できたが、それが前倒しで進んだ背景には、中国政治の抜本的な変化がある。とりわけ、2018年の憲法改正で、対外強硬路線をとる習近平政権が長く続くことに気づいた米側の動きは早かった。
追い打ちをかけたのが、2019年に香港で起きた容疑者の中国移送を可能にする逃亡犯条例改正案に反対する大規模デモへの対処と、その翌年、香港立法府の頭越しに香港国家安全維持制定を決めた手法だった。中国が国際的に公約した香港の高度の自治を保障する「一国二制度」は事実上、崩れた。
そして2021年には言論弾圧が加速し、香港民主派を支持する唯一の主要な香港紙「蘋果日報」(アップル・デイリー)が廃刊に追い込まれた。創業者の黎智英(ジミー・ライ)が抗議活動に絡む実刑判決で服役中の出来事だった。警察は本社を捜索し、記者や編集者のパソコンも大量に押収、メディアグループ幹部を相次ぎ逮捕した。
多くの著名な民主活動家も収監されたままである。

緊迫する台湾問題

いまや情勢は一変している。2035年までに経済・軍事両面で中国が米国に追いついてくるなら、台湾の武力統一にも現実感が出てくる。しかも、香港の「一国二制度」は事実上、崩壊した。そもそも香港の平和統一のために編み出した「一国二制度」を自ら葬り去ったということは、対台湾でも強硬手段をとるという選択肢が現実化しかねない。
習近平自らも共産党創立100年の記念式典での演説で「台湾統一は中国共産党の歴史的な任務」と強調した。これは米側で台湾武力侵攻について「6年以内」という予測が出回るなかでの発言だった。バイデン政権は一段と警戒レベルを高める必要があった。台湾に米軍輸送機が頻繁に着陸する事態もこれを受けたものだ。
さて、習近平にとって台湾武力侵攻は本当に必要なのか。習には「反腐敗」運動の成功以外、これといった政治的な実績はない。毛沢東、鄧小平に続く3人目お偉大な人物として中国共産党史に名を残すにはどうすればよいのか。党が言い続ているのに実現できていない台湾統一問題を自分が解決する。だから時間をくれ、としか言うしかない。台湾統一問題は、習が目指す内政上の目的を達成する手段になる可能性もある。
同じことは、習政権の外交政策全般にいえる。問題は、いわゆる「戦狼(せんろう)外交」と呼ばれる強硬な対外姿勢の原因が内政にあることだ。
    ・
裏を返せば、共産党100年でも示された強硬な対外姿勢を修正する重大な決断は、習近平にしかできない。しかし、それは、かなり難しい。習とすれば、自らの政策の失敗が明確になるような方向転換はできない。2022年秋の共産党大会で長期政権を目指すなら、米中関係が一定の範囲で緊張しているほうが有利という場合さえありうる。

「この難局を乗り切るには、あなたしかいない」。党内からそんな声が湧き出るようなら一気に勝負は決まる。すべては内政もにらんだ微妙な判断になる。

じじぃの「韓国・台湾の躍進・日本経済を徹底討論・日本はG7にとどまれるか?プライムニュース」

日本経済を徹底討論! 西村康稔野口悠紀雄 真田幸光の日本再生案 【後編】

動画 fnn.jp
https://www.fnn.jp/articles/-/301985

西村康稔野口悠紀雄&真田幸光 日本人の危機感と経済成長

労働生産性低い日本、G7の座韓国に奪われる」日本の碩学が警告

野口悠紀雄一橋大学名誉教授 日本経済
Jan 13, 2022  KED Global
日本の所得水準が先進国の平均はもちろん、韓国にも立ち後れているという統計が相次いで出ている中、日本のある碩学が10年後には、日本の代わりに韓国が主要7カ国(G7)加盟国になると展望した。
大蔵省(現財務省)官僚出身の野口悠紀雄一橋大学名誉教授(81)は最近、週刊ダイヤモンド、現代ビジネス、東洋経済など、日本の経済専門誌に寄稿文を連載し、日本の経済政策を強く批判した。
https://www.kedglobal.com/newsView/ked202201130002?lang=jp

プライムニュース 「日本経済を徹底討論! 西村康稔野口悠紀雄 真田幸光の日本再生案」

2022年1月19日 BSフジ
【キャスター】新美有加、反町理 【ゲスト】西村康稔(前経済再生担当大臣)、野口悠紀雄一橋大学名誉教授)、真田幸光(愛知淑徳大学教授)
「日本はG7にとどまれるか」。停滞する日本経済にこんな警鐘を鳴らすのが、野口悠紀雄一橋大学名誉教授だ。
野口氏はG7で日本と韓国が入れ替わる可能性にも言及している。すでに日本は、さまざまな指標で韓国に抜かれ、まもなく1人あたりのGDPも追い抜かれるという。日本はなぜ、このような事態に陥ってしまったのか。

韓国・台湾の躍進 日本経済を徹底討論 日本はG7にとどまれるか?

●日本人の危機意識と経済成長
国民にどう危機感を持たせるべきか。
野口悠紀雄、「日本は今先進国の位置を滑り落ちようとしている。このことに多くの人が気づいてほしい。韓国、台湾が追いついてきている。これが世界の今の状態」
1人あたりGDPグラフ(世界銀行のデータより野口名誉教授が作成):OECD平均を1とする指数(米国・日本、韓国・台湾)。
真田幸光、「海外に積極的に売っていく姿勢を持っているかどうかが大きなポイント。日本の場合は国内のマーケットでかなり食べていける余力があった。韓国や台湾は内需が小さいので海外から稼いでこないといけない。良いものを高く売るような努力をやっている。日本や先進国が行かない地域にリスクを取りながら攻めていく。日本も海外から富を中に入れて膨らませていくことを先に取らないといけない。政府の様々な支援をきめ細かにやっていけば日本は十分に再生できる力があると思っている」
西村康稔、「日本は豊かさを更に追求して、金銭的、物質的なものだけではなく衛生や治安の良さを含めて豊かな生活を更に追求して世界のリーダーとして世界の課題にも果敢に挑戦していく国であってほしい。チャレンジする人を応援する税制や予算、規制改革」

反町理、「日本は韓国に負けてしまうのか」

西村康稔、「日本が韓国に負けることはない。しかしコロナ後の新しい経済社会を作っていくという強い危機感を持っている」

低成長が続く日本経済は再生できるのか。
日本経済研究センターが去年12月15日に公表したアジア経済中期予測にあたる1人あたりのGDPのグラフを紹介。
日本の1人あたりのGDPは韓国には2027年、台湾には2028年に追い抜かれる予測になっている。
野口悠紀雄、「韓国と台湾は同じくらいのレベル。いずれ追い抜かれる時期は来ると考えた方がいい」
西村康稔、「ずっとデフレだった。デフレは物の値段が下がり続けるので相対的にお金の方が価値が上がる。多くの人、企業が内部留保を増やして貯金して消費はしないし買い控える。企業は設備投資も行わない。物価が下がると売り上げも伸びないので、コストを抑えるために人件費も抑える。非正規社員をものすごく増やして賃金も抑えた。悪循環の中で日本経済が伸びてこなかった。この何年かは大胆な金融緩和もあり、円安が進んでいるのでドルベースで低くなっていくこともあり、全体として伸びが非常に低い。アベノミクスでやり続けてきたデフレからの脱却が最も大きな課題」
●日本経済は再び成長できるか?
韓国、台湾、日本の違いについて。
野口悠紀雄、「日本の対外的な取引について言うと、1990年代に中国が工業化するという大きな変化が起きたことにどう対応するかが非常に重要だった。結果として韓国と台湾はその関係をうまく利用して、米国から注文を受けて、台湾の場合は作って中国に輸出して、そこから米国に輸出するという非常にうまい国際貿易のチャンネルを作り上げた。日本は中国からの安い工業品が出てきたが対抗できず、古い産業をそのままにして生き延びることが目的だった。そのために円安政策を取った」
出生率は日本が1.34(厚生労働省)、韓国が0.84(韓国統計庁)。
西村康稔、「かつては日本もハングリー精神があって戦後、厳しい中で電気製品を世界中に売りまくった。豊かになるにつれて、韓国や中国が安い労働力で色んな製品を作り技術も上がってきて、だんだん入れ替わってきた。もう一度、ハングリー精神で海外に市場開拓を含めて中小企業も思いは持っているので、どう後押ししていくかが大事。韓国は自由貿易協定を早くに多くの国と結んだ。日本は民主党政権の時に六重苦、七重苦の中に海外との自由貿易協定がないというのがあったが、その後、安倍政権になってヨーロッパ、EUと協定を結び、TPPを結び、米国とトランプ政権になって日米協定を結び、今回RCEPもやった。今や日本の方が世界の中で言うと自由貿易協定を結んでいる範囲は広くなっている。日本から人材も含めて技術が流出した。日本が厳しい時に多くの企業が早期退職を求めて、液晶の技術も韓国に人材が行き技術が漏れた。もう一回、経済安全保障という観点から確認していこうと法律も作りやろうとしている。韓国の経済を見ると中国への依存が非常に強い。平均賃金は上がってきているとは言え、最低賃金も無理やりに上げてきているとは言え、財閥とそれ以外の企業との格差がある。韓国の出生率は0.8台で高齢化も進み、高齢化率は2050年に日本を上回る。人口も韓国はピークを迎えていると言われている」
●成長戦略「デジタル」の課題

企業の時価総額ランキング(昨日時点・ブルームバーグ調べ)

1位からアップル(米国・IT)、マイクロソフト(米国・IT)、サウジアラムコサウジアラビア・石油)、グーグル(米国・IT)、アマゾン(米国・インターネット通販)、テスラ(米国・電気自動車)。
10位 TSMC(台湾・半導体)、21位 サムスン電子(韓国・電機)、28位 トヨタ(日本・自動車)、92位 ソニー(日本・電機)。
真田幸光、「ITやデジタル産業が本当に経済成長を牽引しているものなのか疑問がある。人々が生きていくために重要な物やサービスの分野はやはり重要。食料、原材料、エネルギー、物流。実体経済の分野が伸びていかないとITなどの分野も伸びていかない。トヨタソニーは世界が必要なものの根幹的な消費材を作っている。これだけ時価総額でお金をじゃぶじゃぶにしていくと投機性の資金が、株が入りやすい状況が生まれている。大量生産、大量販売、大量消費の時代は第1次産業革命が起こってしばらくは人々を裕福にしたが現在は、大量廃棄があり地球環境に負荷を与えている。だからSDGsという言葉が出てきているはず。今までのビジネスモデルの発展の中で量が多ければ良いという考えはここで捨てていく必要がある。日本には”もったいない”とか精神がある。トヨタにもそれが受け継がれている。日本の中小企業の力を活かせるのではないか。リサイクルな社会を目指すべきた」

反町理、「人口が多ければいいというものではないと言っているのか」

●成長戦略「デジタル」の課題
岸田政権「新しい資本主義」デジタル田園都市国家構想、経済安全保障、科学技術・イノベーション
真田幸光、「GDPを増やすにしても規模の経済性ではなくて質の経済性で人々が暮らしやすく幸せになっていくような世界になっていくべき」
野口悠紀雄、「質の問題はもちろん重要だが、量の問題も重要。賃金を上げるというのは重要、その元手になるものは付加価値、付加価値が成長しないと賃金は上がらない。台湾のTSMCファウンドリー、半導体を作る企業。この設計は主として米国の企業がやっている。アップルが設計するが工場はない。それをTSMCが作る。半導体時価総額トップにいる米国の企業はみな台湾に委託している。TSMCの作っている半導体は他の国では作れない」
●「人への投資」岸田政権の戦略
日本から人材が生まれるためには。
野口悠紀雄、「人材育成のために一番重要なのは大学。日本の大学の現状は大きな問題を抱えている。コンピューターサイエンスのような分野では特に日本は遅れている。日本の大学は19世紀から脱却していない。企業の間を人が動かなくてはいけない、産業構造が変わっていかなくてはいけない。そういった変化がなければ新しい分野に力を注ぐことが出来ない」
2021年世界の大学ランキング(コンピューターサイエンス部門)英国・高等教育評価機関のデータより。
1位 米国・マサチューセッツ工科大学、2位 米国・スタンフォード大学、3位 米国・カーネギーメロン大学
27位 東京大学
32位 韓国・KAIST=韓国科学技術院。41位 ソウル大学(韓国)。

【提言】 日本が再び成長するために必要なこと

西村康稔 「昭和、平成から脱却 → 令和の経済社会へ」
 男性社会から女性が活躍する社会へ。半導体でも大きなイノベーションのなかでやっていく。
野口悠紀雄 「新しい産業構造」
 世界の産業構造が変わった。日本が変わるには大きな痛手を伴う。
真田幸光 「足るを知る経済」
 欲望を膨らます経済よりも、日本のやってきたことを活かしていくべきだ。
https://www.fnn.jp/subcategory/BS%E3%83%95%E3%82%B8LIVE%20%E3%83%97%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%83%A0%E3%83%8B%E3%83%A5%E3%83%BC%E3%82%B9

じじぃの「歴史・思想_538_日本の論点2022・バイデンの米国・中間選挙」

Hannity: Biden's disastrous year

動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=fGXhY5nQf54

2022年 中間選挙で懸念される民主党の大敗

「2022年の米中間選挙」は共和党が勝利か、バイデン氏の支持率急落の理由

2022.1.13 ダイヤモンド・オンライン
中間選挙で懸念される民主党の大敗
4年に1度の米国大統領選の間に行われる2022年の中間選挙まで1年を切った。
選挙賭博市場の賭けサイトでは野党・共和党の勝利予想が圧倒的に優勢だというが、メディアや選挙の専門家の多くも同様の予測をしている。
https://diamond.jp/articles/-/292489

『これからの日本の論点2022』

日本経済新聞社/編 日経BP 2021年発行

世界はこれからどうなる

論点18 「バイデンの米国」持続力は? 中間選挙に3つの試練 より

【執筆者】菅野幹雄(ワシントン支局長兼コメンテーター)

難路はこれから、突破力に陰り

バイデン政権への米国民の支持はどうなっているのだろうか。トランプ時代からの支持率、不支持率の推移をグラフで見てみると興味深い発見をすることができる。
支持率より不支持率のほうが一貫して高かったトランプ政権時代と違い、バイデン政権の支持率は当初、支持が不支持を上回った。米世論調査を集計する政治サイト、リアル・クリア・ポリティクスの集計によると、各社世論調査が出そろった2021年1月以来の半年あまり、バイデン政権は50%台の支持率と40%の不支持率のなかで推移していた。特に初期のコロナ対応と現金給付などの緊急経済対策についての国民の支持は厚かった。
しかし、バイデン支持には明らかに息切れ感がある。バイデン氏が大統領に就任した直後の1月下旬の段階で、各種世論調査の平均で米リアル・クリア・ポリティクスが集計しているバイデン氏への支持は55%、不支持は36%と両者には20ポイント近い差があったが、その差はじわじわと縮小し、8月に入ってついに支持と不支持が逆転した。あとで触れるが、バイデン大統領が決めたアフガニスタン駐留米軍の撤収に伴い混乱が引き金となった。
背景はなにか。そこをたどると、本稿の主眼である2022年11月の中間選挙の展望も見えてくる。キーワードを使いながらバイデン政権の試練を分析してみたい。

①民主・共和の深刻な対立、政策実行に遅れ

1つ目のキーワードは「袋小路」。水と油ほども違う米2大政党の対立が深刻すぎることで、政策の実現が停滞する傾向がはっきりしてきたことだ。先ほど触れた「バイデン3大プラン」(1つ目は「緊急コロナ対策」)の残り2つ、「米国雇用計画」と「米国家族計画」は、その規模が大きすぎること、また企業や富裕層に対する増税に対する反対から、共和党の抵抗にあい、米議会での審議は難航を極めた。
    ・
ところが、民主党内にも巨額の投資に反対したり、増税措置を適切でないと批判したりする中道勢力がいる。1人でも民主党内から反対が出てくると、民主党単独での可決・成立は望めなくなる。バイデン3大プランの実行は、そうしたガラス細工のような構造で成り立っている。派手なかたちで米国の「変革」を訴えたバイデン大統領だが、有権者はこうした長期間の停滞に失望感を抱きはじめたと見てもおかしくはない。
バイデン氏が掲げる法人税率や地球温暖化対策の政策は、結局のところ、米議会で関連の法案や条約を通さなければ、実効には移せないものが大半だ。

②好調な経済とコロナ対応に見られる「変調」

第2のキーワードは「変調」だ。バイデン氏の支持が頭打ちになっているもう1つの理由は、就任当初に非常に良い実績を示していた経済、そして新型コロナウイルスへの対応がやや変調をきたしていることだ。
経済面では高めの経済成長が続く一方で、有権者の生活実感に直結する物価上昇が目立っている。米消費者物価指数は前年比で5%近い上昇に達し、なかでも米国人の生活と切っては切れないガソリン価格、「住」の質にかかわる不動産の価格などが軒並み上昇している。
    ・
コロナ感染で重症化あるいは死亡に至る例は大多数がワクチンの未接種者だが、そうした人々はバイデン大統領の呼びかけに反応せず、なかには反発している勢力がいる。大統領の呼びかけが逆効果となり、その悪影響が経済活動の鈍化や国民の不安の拡大、ひいては政権支持率の低下につながっているとう、なんとも皮肉な構図となっている。

③恒例の大統領に「行動力」への懸念も

第3のキーワードは「行動力」だ。ここへきて、78歳という史上最高齢で就任したバイデン氏の体力や健康に対する不安感のようなものが米国民のあいだに拡がっている印象がある。
反トランプの流れで誕生した民主党政権は、人種や性別などで多様性を重視した内閣を立ち上げた。優秀で高学歴の人材を要職に起用し、秩序だった政策決定を進めている印象が当初は強かった。ただ政権発足から時間が経つと「追い風」の材料が乏しくなり、徐々に傾斜がきつくなる坂道をのぼるような状況になるなかで、バイデン氏が米国をどのようなかたちを引っ張っていくのか、よく見えなくなってきた。8月末にアフガニスタンに駐留した米軍の撤収を完了したバイデン大統領だが、その過程で生じた大混乱は、米世論の支持の勢いを大きく落とす作用を及ぼしている。
    ・
バイデン氏は撤収の判断の正しさを強調するが、その過程で生じた対応のまずさや多くの損失と向き合おうとはしなかった。これが米国民のあいだの不満を高め、支持が下落する要因となった。高齢のバイデン氏が、米軍を指揮するリーダーとしての「強さ」を備えているのかという点でも疑問を残した。バイデン氏がこの失点を挽回するのは容易ではないだろう。
初の女性副大統領であるカマラ・ハリス氏も、インド人とジャマイカ人の親を持つという多様性やカリフォルニア州司法長官を務めた実績などへの期待が当初は高かった。だが、政権発足から半年あまりが経過し、南部国境の移民入入増加の問題や有権者の投票機会の確保といったバイデン氏から与えられた課題をこなすのに手間取っている。バイデン政権全体として、物事を強力に前に進めるバイタリティーの不足を感じさせる。
1月20日の大統領就任式は例年のように数十万の人手あふれるお祭りでなく、高いフェンスに囲まれた連邦議会議事堂で参加者を搾っての厳戒態勢のなかで執り行われた。わじか2週間前の1月6日、大統領選に不正があったと不十分な証拠のもとで抵抗するトランプ氏の多数の支持者が、この日に予定された大統領の正式選任手続きを妨害しようと連邦議会議事堂内に乱入して一時占拠するという事件が起きた米国の民主主義史の汚点ともいえる出来事の直後だけに、バイデン氏が米国を正常化に導いてくれるとの期待も高かった。
「米国の傷を癒やす」と宣言して就任したバイデン米大統領は、民主党共和党の支持者のあいだでぱっくりと割れている米世論の断絶を修復する役割を自認しているはずだ。だが、そのための政策運営に逆風が強まりつつある。しかも、バイデン政権の勢いの衰えを立て直す「補助ロケット」のような材料が見当たらないのが気がかりだ。

じじぃの「未来の君たちへ・火星にいつ移住するか!宇宙飛行士に聞いてみた」

Deep Space: The journey through the Universe V

動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=SiulOhtGWds

To deep space

NASA、有人火星探査に月周辺基地利用 2027年に飛行士滞在も

2017-05-15 sorae 宇宙へのポータルサイト
現在NASAは2030年代の有人火星探査を目指していますが、その計画はいくつかの段階を踏んだものになりそうです。
同宇宙局はワシントンDCで開催された「Humans to Mars Summit」にて、有人火星探査計画の最初の2フェーズの内容を明かしました。
https://sorae.info/030201/2017_05_15_nasa-2.html

宇宙飛行士に聞いてみた! 世界一リアルな宇宙の暮らし Q&A - 日本文芸社

ティム・ピーク(著)
●ティム・ピークってどんな人?
イギリス陸軍航空隊を経て、欧州宇宙機関ESA)所属の宇宙飛行士へ。
2015年、国際宇宙ステーションISS)第46/47次長期滞在クルーとしてミッションを遂行し、船外活動でも活躍。
国際宇宙ステーションからロンドンマラソンに参加したり、SNSISSや宇宙の様子をリアルタイム配信したりと、
宇宙を身近に伝えて大人気となっている宇宙飛行士です。

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『宇宙飛行士に聞いてみた!』

ティム・ピーク/著、柳川孝二/訳 日本文芸社 2018年発行

エピローグ 未来の君たちへ より

Q 次のミッションが国際宇宙ステーションじゃなかったら、違う訓練を受けるのですか?

この本を締めくくるのにぴったりの質問だ。これからも有人宇宙飛行や宇宙探査の可能性は広がり続ける。そんな希望に満ちた未来に思いをはせてみよう。
まずこの質問にひと言で答えるならば、イエスだ。
任務地が国際宇宙ステーションISS)以外となると、訓練内容も多少変わってくるだろう。将来的にはISSでのミッションのための訓練も大幅に変わる可能性がある。
宇宙飛行へ向けての準備が、どのように変わっていくのか。そのヒントとして、近い将来、宇宙飛行士が乗る宇宙船と宇宙ステーションについて話をしよう。

月周回軌道に小型宇宙ステーションができる

各国の宇宙機関は、低軌道における商業用宇宙ステーションへの移行を支持しているが、それは、自らのかぎられたリソースを次なる太陽系探査に集中させたいからだ。この流れを受けて生まれたのが、次世代を担うNASAの超重量物運搬ロケット、スペースローンチシステム(SLS)で、アポロ計画で使用されたサターンVよりも巨大でパワフルだ。
SLS打ち上げの最初の3回は、月周回軌道に深宇宙探査ゲートウェイを組み立てることを予定している。つまり、電気・推進モジュール、居住モジュール、補給モジュール、エアロックモジュールを備えた小型宇宙ステーションになる。
2019年にはじまるこのミッションは、深宇宙での科学研究の道を切り開くだけでなく、
人類が再び月面を探査する機会にもつながり、さらには火星探査への足がかりにもなるだろう。まずSLSの無人試験飛行を行い、その後、4人のクルーを乗せたオリオン宇宙船が打ち上げられる。クルーは最長6週間滞在し、深宇宙探査ゲートウェイの組み立てにあたる。2026年の完成予定だ。
宇宙飛行士はこの新しい宇宙ステーションで数週間のミッションを行うが、年間を通して滞在することはない。この構想はNASAが主導しているが、実現には他国の宇宙機関や学術機関、民間企業との強力なパートナシップが求められる。欧州宇宙機関ESA)は、オリオン用の欧州サービスモジュールを開発する重要な役割を担っている。

火星探査を視野にさまざまな計画を始動している

1969年7月20日ニール・アームストロングが月面着陸して以来、太陽系の有人探査の次の目的地として注目されたのは火星だった。そしてついに、この長年の大望を叶えるための道筋が明らかになった。2027年までにSLSによって深宇宙輸送機を打ち上げ、深宇宙探査ゲートウェイを組み立てる予定だ。月近傍での補給モジュールと1年間の有人ミッションに続いて、重量41トンもの深宇宙輸送機で4人の宇宙飛行士を火星探査に送り込み、2033年に帰還する計画になっている。
3年も続くミッションでは火星に着陸せず、火星の周囲をまわって深宇宙探査ゲートウェイへ戻ってくる。ミッションから得られる収穫は、火星の地を踏むという究極の目標を達成する礎(いしずえ)となり、ほかの惑星へ移住するための一歩を踏み出すことにもつながる。
太陽系探査を推し進め、火星へ進出しようと画策しているのは、各国の宇宙機関だけではない。スペースX社のCEOであるイーロン・マスクはその野望を臆することなく明言した。
「火星に移住し、人類を単なる地球人からもっと広範囲の惑星人にしてみせる」と。
これは夢物語ではない。スペースX社は惑星間輸送システム(ITS)の実現に向け、メタン燃料搭載のロケットエンジンラプターをすでに開発し、テスト運用している。
    ・
宇宙飛行にかかるコストを削減し、有人探査の境界を広げようとしているのは、大富豪がCEOのスペースX社だけではない。AMAZON創設者のジェフ・ペゾスは、ブルー・オリジンという航空宇宙企業を立ちあげた。再び月面着陸を目指し。太陽系における人類の足跡を拡大するべく、次々と新しいロケットの開発に乗り出している。
さらにドリームチェイサー宇宙船の開発を続けているシエラ・ネヴァダ・コーポレーション(SNC)は、2016年にNASAと契約し、2019年から2024年の間にISSに商用補給を6回以上行うことになった。
またヴァージン・ギャラクティック、ブルー・オリジンといった企業は、近い将来、何百人もの民間人が夢のような宇宙飛行を体験できる技術を開発中だ。今後、有人宇宙飛行への関心はますます高まることだろう。
こうした新時代の宇宙開発競争は数年前にははじまった。企業間の競争が生まれたり、持続可能性の向上や宇宙飛行のコスト削減が進められただけでなく、新たな連携や国境を越えた協力関係を通してすばらしい機械が得られるようになった。
競争は激しさを増し、宇宙探査の新たな夜明けが近づいている。

今、問われているのは、「月と火星に移住できるか」ではなく「いつ移住するか」なのだ!

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じじぃの「歴史・思想_537_日本の論点2022・世界半導体戦争・TSMC」

習近平の台湾侵略の目的の一つはチップ TSMCとし、SONYと協力熊本県チップ製造工場を建設!!

動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=zy3gfCcI7Ec

半導体の主要技術は米国と台湾が握る 図表2

世界最強TSMCも誘致、米国がアリゾナから狙う「半導体覇権」

図表2 半導体の主要技術のほとんどは米国が握る(分野別市場シェア)
https://business.nikkei.com/atcl/gen/19/00393/113000001/?SS=imgview&FD=55062768

2022年の中国経済に押し寄せる「国産化」という排外政策の大波

もう日本製品には見向きもしなくなる
2022.01.11 近藤大介
●キーワードは「国産化
「2022年の中国はどうなりますか?」――。
年が明けてから、こんな質問をよく受ける。34年目に入ったチャイナ・ウォッチャーの私としては、2022年の中国を特徴づけるキーワードは、ずばり「国産化」だと見ている。
一言で言えば、中国はこれまで舶来品に頼っていたものを、どんどん国産品に乗り変えていくということだ。それだけ国粋主義的になっていく。この趨勢によって、日系企業にも少なからぬ影響が及んでくるだろう。
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/91307

『これからの日本の論点2022』

日本経済新聞社/編 日経BP 2021年発行

世界はこれからどうなる

論点17 半導体戦争が世界を引き裂く より

【執筆者】大田泰彦(論説委員編集委員

2つの技術圏に分断されてしまうのか

技術をめぐる覇権競争は激しくなる一方だ。米国のバイデン政権と中国の習近平政権は、それぞれ自分の国の国境線の内側に半導体の技術を囲い込もうと走り出した。その目的のために、あらゆる政策手段を総動員するのは間違いない。行き着く先にあるのは、相容れない2つの技術圏が併存するゆがんだ世界である。
トランプ前政権は、次世代通信規格「5G」の設備を通したスパイ行為があるとし、中国の華為技術(ファーウェイ)への輸出入を禁止した。対象は米国企業だけでなく、日本、欧州、オーストラリアなどの同盟国も歩調を合わせた。その禁輸措置はバイデン政権に移行した後も解かれていない。
中国の技術封鎖は、党派を超えたワシントンのコンセンサスなのだ。
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米国の標的は、一見すると5G機器でシェアを握るファーウェイ本体だが、同社の技術を舞台裏で支えているのは、子会社の海思半導体(ハイシリコン)である。この分野にくわしい日本の技術者や研究者に聞くと、高機能のチップを設計するハイシリコンの技術陣の実力は圧倒的で、中国14億人から人材を選りすぐった最強の頭脳集団だという。
米国の制裁でファーウェイは大幅な戦略の見直しを迫られたが、ハイシリコンだけは一切リストラをせず、むしろ研究開発を加速させている.技術力で米国に負けないという、中国の国家としての執念を見た気がする。本丸であるハイシリコンに打撃を与えない限り、中国にデジタル覇権を握られる恐怖から米国は解放されない。

切断されるサプライチェーン

そこで米政府は、「半導体サプライチェーンを切断する」という荒業に打って出た。ハイシリコンは半導体メーカーだが、実際には量産工場を持たない。多くの米国のファブレス企業と同じように開発や設計に特化し、生産のほとんどを、世界最強のファウンドリ―である台湾積体電路製造(TSMC)に委託している。
この構図を米国から見ると、TSMCに中国との貿易をやめさせれば、ハイシリコンを干上がらせることができる。ハイシリコンの息の根を止めれば、中国のデジタル技術は停滞するだろう。中国がもたつくあいだに、米国は一気に技術力で差をつければいい。
稼げる時間は、おそらく3~4年である。ワシントンの対中戦略の黒子たちが、表舞台でわめき散らすトランプ氏を利用するかたちで繰り出したのが、ファーウェイへの禁輸措置だった。その真の狙いは、技術力で中国を引き離す「時間差攻撃」にある。

台湾に集結する半導体産業

米欧はいったい何を中国から守ろうとしているのか。その目的の1つが「半導体サプライチェーン」だと考えるとわかりやすい。
デジタルトランスフォーメーション(DX)が進めば進むほど、経済を支える情報通信技術(ICT)産業の戦略的な重みは増す。データ社会のインフラに欠かせない部品が半導体であり、その半導体の最大の生産地が台湾である。米欧が血相を変えて守ろうとしているのは、台湾の人民だけではなく、南シナ海の北端に集結する半導体産業なのだ。
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もし、米軍の制海権、制空権に隙ができれば、台湾は丸裸で中国軍の脅威にさらされてしまう。新竹(台北と台中の中間に位置し、「台湾のシリンコンバレー」と呼ばれるIT都市)が陥落すれば、世界の半導体サプライチェーンは崩壊する。米欧が色めき立つのは当然だろう。習政権が力ずくで香港を弾圧した光景を、目の当たりにしているからだ。
中国は台湾を自国の一部として扱っており、その意味では香港と台湾は同じ位置づけである。さらにいえば、台湾は、中国が領有を主張する九段線の内側にある。習政権にしてみれば、外国による「内政干渉」を許すわけにはいかない。中国軍が台湾に侵攻するかどうかは予断を許さない。

生産力を国内に抱え込もうとする米国

とはいえ、米国が武力をちらつかせながら新竹を守るのは危険なゲームだ。おいそれと挑発して軍事紛争を誘発するわけにはいかない。そこで米政府は、米国内への工場進出をTSMCに働きかけた。世界最大の半導体の生産能力を腕のなかに抱き込んでしまえば、遠路はるばる軍艦を送り込まなくても、安全な場所でサプライチェーンを完結できるからだ。
半導体製造の製造プロセスを子細に見ると、ファウンドリー以外の分野では米企業が支配的が支配的であることがわかる(図表2 画像参照)。ファブレス化が進んだ米半導体産業で、唯一欠けているパズルのピースが、ファウンドリーだった。すなわちTSMCである。
2022年には、アリゾナ州フェニックスで、TSMCの工場建設が本格化する。総投資額は120億ドル(約1兆3000億円)にのぼり、その相当部分を米連邦政府地方自治体が負担すると見られている。
TSMCは、アップルやアドバンスト・マイクロ・デバイスAMD)、クアルコム、エヌビディアなどから製造を受注するが、必ずしもこれら米企業の下請けとはいえない。むしろ、TSMCの圧倒的な製造技術がなければ、これらのファブレス企業は製品を市場に送り出せない。世界の半導体メーカーのほうがTSMCに依存する構図である。
巨額の助成金という「餌」に引きつけられて米国に工場進出するという面もあるが、米政府の誘いは、むしろ「圧力」と呼ぶほうがふさわしいかもしれない。先述したとおり、台湾と中国の軍事バランスを考えれば、守護神である米国に従わないという選択肢は台湾にはない。
米軍に守られ、米国に頼ると同時に、「米軍が手を引いたらどうなる?」と脅迫されているようなものだ。TSMCにできることは、工場立地で米政府から少しでも多くの補助金を引き出すことくらいしかない。米政府との調整が長引いているのは、言われるままにアリゾナに進出するのではコスト勘定が合わず、事業計画を描けないからだろう。

じじぃの「骨粗しょう症・ISSで6ヵ月過ごした場合の体の変化!宇宙飛行士に聞いてみた」

骨粗しょう症薬で結石予防 長期滞在の宇宙飛行士

骨粗しょう症薬で結石予防 長期滞在の宇宙飛行士で検証

2022/1/13 毎日新聞
無重力状態の宇宙に長期滞在する宇宙飛行士に多い尿路結石を、骨粗しょう症治療薬「ビスホスホネート」で予防できる可能性があると、名古屋市立大や宇宙航空研究開発機構JAXA)などのチームが米科学誌「JBMRプラス」に発表した。
閉経期の女性や寝たきりの人など結石ができやすい人への応用が期待される。
https://mainichi.jp/articles/20220113/ddm/016/040/011000c

宇宙飛行士に聞いてみた! 世界一リアルな宇宙の暮らし Q&A - 日本文芸社

ティム・ピーク(著)
●ティム・ピークってどんな人?
イギリス陸軍航空隊を経て、欧州宇宙機関ESA)所属の宇宙飛行士へ。
2015年、国際宇宙ステーションISS)第46/47次長期滞在クルーとしてミッションを遂行し、船外活動でも活躍。
国際宇宙ステーションからロンドンマラソンに参加したり、SNSISSや宇宙の様子をリアルタイム配信したりと、
宇宙を身近に伝えて大人気となっている宇宙飛行士です。

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『宇宙飛行士に聞いてみた!』

ティム・ピーク/著、柳川孝二/訳 日本文芸社 2018年発行

第6章 地球への帰還 より

Q 地球へ戻ってくるまで、どれくらい時間がかかりますか?

国際宇宙ステーションISS)から地球への帰還はあっという間の旅だ。
2016年6月18日、午前5時46分(グリニッジ標準時GMT)。私と仲間にとってのISSでの半年の生活は、ソユーズがアンドッキング(離脱)したこの瞬間におわった。
同日の午前9時15分(GMT)、186日前に飛び立ったところからそう遠くないカザフスタンの大草原に降り立った。地球に戻るのにかかったのはわずか3時間半! ロンドンとモスクワ間のフライトよりも短い。ほんの24時間前には宇宙でいつもどおりも朝を迎え、作業していたのに、地球に戻ってきていることがなんとも奇妙に思えた。
前日にはISS外に数ヵ月放置された日本の実権で大忙しだった。菌類などの微生物が厳しい環境下でいかに生きのびるかについての興味深い研究だ。それに加え、ベタベタとしたエアロゲルの中から、有機物を含有する極小隕石を見つける仕事もあった。このサンプルは惑星間での生命移動の可能性を評価するのに役立つ。
きぼう(日本の実験棟)のエアロック(気圧の異なる場所を人や物が移動するときに、隣り合う室内の圧力差を調節する機能を持った出入り口として使用する小部屋)から実験機器を回収したあと、ジェフリー・ウィリアムズと私はフル装備の保護服を着て、細心の注意を払いながら、貴重な科学サンプルをせっせとはずした。昼頃、作業はおわった。「さ、そろそろ荷物をまとめて帰り支度でもするか。いよいよ、あと数時間でここを離れるのか」。
地球低軌道からは早く帰還できる。緊急時、ソユーズ宇宙船は究明ボートとなり時間単位で地球に戻ってくる。
簡単そうに聞こえるだろう? 実際は宇宙飛行のすべての段階と同じく、宇宙船が地球へ下降するまでのプロセスも非常に複雑で、厳密に計画されている。そしてもちろん危険をともなう。人生でもっともスリリングな経験だろう。私にとってはまさにそうだった。

Q 宇宙飛行による健康への長期的な影響はありますか?

これは重要な質問で、宇宙飛行士ならだれしも考えることだろう。
宇宙飛行が「薬」だとしたら、それによって起こりうる「副作用」が宇宙に行きたいという気持ちに水を差してしまうかもしれない。
ISSで6ヵ月過ごした場合、どのような影響があるか見てみよう。

骨の衰え

症状 骨はかかった力の強さに応じて形成される。骨が簡単に折れないのは、骨を溶かす吸収作用(破壊)と、骨を作る形成作用を繰り返し、たえず生まれ変わっているからだ。リモデリングと呼ばれる。
 だが無重力では骨への負荷が減るため、リモデリングのバランスが崩れる。ISSではひと月あたり約1.5%の骨量が減少するが、これは高齢者の年間減少量と等しい。
 特に症状が出やすいのが骨盤部と背骨の下部で、骨粗しょう症が見られる場合もある。さらに骨密度が低下し、体に再吸収されるため、血液中のカルシウム濃度が上昇して、軟部組織の石灰化や腎結石のリスク増加につながる。
 問題はそれだけではない。無重力下で新しい骨組織が形成されると、骨の構造そのものが変化し、地球に帰還した際に骨折リスクが高まる。
予防と対策 運動が有効だ。骨格筋を鍛えて骨に力学的負荷を与え、新しい骨組織を作る骨芽細胞を刺激するのだ。ただ骨には筋肉と同じように、運動が有効な部分もあれば、そうでない部分もあるので、運動だけでは骨の衰えを防ぐことはできない。
 宇宙飛行士は普段の食事で十分な量のカルシウムを摂取するほかに、サプリメントビタミンDを毎日摂取し、健康な骨づくりを心がけている。
 また塩分摂取量を控えることも骨量減少を抑える。NASA宇宙食のナトリウム含有量を減らすべく、80品目以上を変更した。一方で骨粗しょう症の治療に使われるビスフォスフォネート(骨の吸収を防ぐ医薬品)が、宇宙飛行での骨量の減少を抑えると研究で明らかになった。
 私はISS滞在中に大腿骨頸部と腰椎の骨量が大幅に減ってしまったが、帰還してわずか半年後には、減少した量の50%が回復していた。たいていの宇宙飛行士は、帰還から1~2年以内を目途に骨量の完全回復を目指すが、私もそのくらいを想定している。
 ISSでは骨密度の減少について多くの研究が進められている。こうした研究は長期滞在ミッションに携わる宇宙飛行士の骨量減少を抑えるだけでなく、地上での骨粗しょう症治療薬の開発を進める上でも役立っている。

じじぃの「歴史・思想_536_日本の論点2022・コロナ禍を乗り切る」

【公式】東京ディズニーリゾートの健康と安全のための取り組み

東京ディズニーリゾート
政府の「新型コロナウイルス感染症対策の基本的対処方針」を踏まえて作成された「遊園地・テーマパークにおける新型コロナウイルス感染拡大予防ガイドライン」に沿った対策を講じることに加え、行政機関からの指導のもと、ゲストの皆さまとキャストの健康と安全の確保を最優先に運営します。
https://www.tokyodisneyresort.jp/topics/info/safety.html

『これからの日本の論点2022』

日本経済新聞社/編 日経BP 2021年発行

日本企業はこれからどうなる

論点15 変わる消費、コロナ後に戻るもの、戻らないもの より

【執筆者】田中陽(編集委員。流通経済部)

唯一無二の世界観がカギ

コロナ後に戻るものと戻らないもの。その差は何か。デジタルを活用して既存の非効率な慣習などを取り払い、受容を創造する力が大切だ。加えて、コロナ前と後での、価値観や生活スタイル、働き方の変化も見逃せない。そうしたなかで「唯一無二の世界観」を持っている商品やサービスは根強い。
東京ディズニーリゾートTDR)を運営するオリエンタルランド。7月に公表された2021年度の通期の見通しについては「現時点で合理的な業績予想の算定が困難」として記載を見送った。前期に比べると赤字幅は大幅に縮まったが、厳しい経営状況は変わらない。コロナ禍で目も当てられない決算だが、株価はブッキング・ホールディングスのように底堅い
全国の学校が休校になるなど混乱を極めた2020年3月、同社の株価は急落したが、3月12日に1万2070円の安値(終値)をつけてからは上昇に転じ、TDRが休園を余儀なくされた同年6月にはコロナ前の水準にほぼ戻している。2021年2月28日には1万8640円の高値をつけた。足元は調整局面にあるが、それでも1万5000円をはさむ値動きだ。
コロナが収束した暁には、コロナ前よりも多くの入場者がTDRに押し寄せ、業績が飛躍的に改善する。市場からはこんな期待が読み取れる。「夢の国」といわれるディズニーは、そこに行かなければ味わえないリアルで独特な雰囲気に包み込まれている。やはりここでも、唯一無二が強みとなる。
コロナ禍でTDRへ行けないため、「行きたい」という渇望のマグマはたまっている。コロナ禍で再認識したのは、「『人と人との触れ合い』がもたらす『幸福』の尊さ」(上西京一郎前社長)だ。TDRは「ハレ」消費の典型で、実際に米ディズニーランドには客が戻ってきた。
ラグジュアリーブランドの世界では、コロナ前の水準を上回るところも出はじめた。LVMHモエヘネシー・ルイヴィトングループ(LVMH)の2021年1-6月期(上半期)の決算によると、売上高は286億6500万ユーロ(約3兆7278億円)で前年同期比56%増、コロナ前の2019年上半期に比べても14%増となった。
純利益に至っては52億8900万ユーロ(約6878億円)で、前年同期比で約10倍、2019年上半期と比べても62%増となった。

変わる消費者行動

飲食業界ではいま、「法人個人消費の消滅」という隠語がじわじわと広がりはじめている。
法人個人消費とは何か。法人と個人という、まったく別のものが組み合わさった造語だが、種明かしをすれば、交際費や接待費など、会社のカネで飲食するような消費だ。コロナ禍で会食が制限されると、接待は事実上、難しくなる。出張もそうだ。リモートでの打ち合わせで、多くの仕事がこなせてしまう。新型コロナの感染拡大が収束しても、接待や出張が以前のように戻るとは思われない。
高級フランス料理店や婚礼事業、日本料理店、ホテル事業などを手がける、ひらまつは、ゴルフ場などを運営するマルハングループの太平洋クラブマルハン太平洋クラブインベストメントを引受先とした第三者割当増資と新株予約権の発行により、74億4100万円を調達すると発表した。法人個人消費に頼ることなく、人気が戻りつつあるゴルフ場の飲食部門などへの出店を通して再生を図ると見られる。
コロナ禍は、日常の買い物行動も変えた。ネット通販の利用だ。経産省が2021年7月末に発表した「電子商取引に関する市場調査」によると、2020年の物販系分野の市場規模は12兆2333億円となった。前年比2兆1818億円(21.7%)増だ。物販全体に対する電子商取引の割合(EC比率)は8.08%。2020年の米国の物販部門のEC比率は14.0%(商務省調べ)で、日米ともにネット通販の伸びしろは大きい。
分野別に見てみよう。巣ごもり消費をとらえた食品や飲料、酒類は、2兆2086億円(前年比21.1%増)。これは、日本最大の流通グループ、イオンの中核企業で総合スーパーを運営するイオンリテールの2020年度売上高を約1200億円上回る規模だ。生活家電やAV機器、テレワーク向けのPC・周辺機器などは、2兆3489億円(同28.8%増)。これも、家電量販店大手、ヤマダ電機の売上高をはるかに凌駕する。家のなかで快適に過ごすための生活雑貨や家具、インテリアは、2兆1322億円(同22.4%増)。家具チェーン最大手、ニトリホールディングスの3倍近い規模だった。
ネット通販が注目され、リアル店舗の苦境が伝えられるなかで、意外な店が健闘している。それは地方の百貨店だ。特に関東圏にある地場百貨店の売上高が堅調だ。もともとコロナ前からインバウンド消費の恩恵をあまり受けておらず、インバウンド消費が蒸発しても影響が少なかった。加えて、地方にいる高齢な富裕層が、都心にあるメガ百貨店での買い物を敬遠し、地元の百貨店で高額品を購入しているという。
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コロナ禍で浮かび上がった、さまざまな消費の実像。そこから何を学び取るか。ローソンの竹増貞信社長は「コロナ禍を乗り切れば、ローソンはもっと強くなれる。そうならなくてはいけない」と語る。資生堂の魚谷雅彦社長は「いろんな気づきがあった。それをどう生かすかだ」とコロナ後を見据える。より多くの消費者に戻ってもらうための価値創造の知恵比べが始まっている。