じじぃの「歴史・思想_539_日本の論点2022・習近平・2035計画」

台湾”融合”の計画案 習近平氏が描く未来図から読み解く【元特派員ヤマグチ 中国「ここだけ」極秘録】(2021年12月23日)

動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=I_8k_oRVhZk

【“2050年世界一流の軍隊へ” 「米軍並みの軍事力」習近平氏の野望とは・・・】報道1930 まとめ20/12/23放送

動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=veBY9lPup9Y&feature=emb_title

アジア映画で唯一ランクインしている作品。それが『戦狼/ウルフ』

大ヒット愛国映画『戦狼』に見る中国の拡張主義

2018年1月20日号 週刊東洋経済プラス
●アフリカを重視する中国政府の姿勢が如実に見える一方でほころびも。
世界の歴代映画興行収入トップ100に、アジア映画で唯一ランクインしている作品。それが『戦狼/ウルフ・オブ・ウォー』(原題は『戦狼2/Wolf Warrior II』)だ。日本最大のヒット映画『千と千尋の神隠し』の3倍超に達している。
https://premium.toyokeizai.net/articles/-/17311

『これからの日本の論点2022』

日本経済新聞社/編 日経BP 2021年発行

世界はこれからどうなる

論点19 習近平氏が毛沢東になる日はくるのか より

【執筆者】中澤克二(編集委員

米中関係は歴史的な転換点に

米中関係はいま、歴史的な転換点に立っている。50年という単位で両国の向き合い方を考えるなら、変質は避けられない。
ここで思い起こすべきは、半世紀前に世界を驚愕させた「ニクソン・ショック」である。それは1971年7月15日に始まった。当時の米大統領ニクソンは、大統領補佐官だったキッシンジャーの派遣による秘密交渉を明らかにし、国交のなかった中華人民共和国への訪問を予告した。それは翌72年2月21日、北京に降り立ったニクソン中南海で主席の毛沢東と握手したことで完結した。
このときの裏の主役はソ連である。ソ連への対抗という目的で一致した米中は、政治体制の根本的な相違などに目をつぶって国交正常化に突き進んだ。経済的に見れば中国はとるに足りない存在だった。ソ連ニクソン・ショックの20年後、1991年にあっけなく崩壊する。それから30年。今度は、矛盾に目をつぶって手を組んだ中国が、経済・軍事両面で米国の最大の脅威になっている。
実際、習近平政権は、2035年までに経済面で米国に追いつき、追い越そうとする具体的な目標を掲げている。軍事面も同じで、ここに米中両国の技術覇権争いが絡んでくる。米国側から見れば、自ら育てた中国が今度は米国を標的にしはじめたのを見過ごすわけにはいかない。これが米中「新冷戦」といわれる構造だ。
米国超えを視野に入れた習近平政権による「2035計画」の内容が明らかになったのは、2017年の中国共産党大会だ。この方面の勘に優れた前米大統領のトランプは、習近平政権が掲げはじめた、かつての中国とは異なる種類の野望に比較的早く反応し、一気に対中強硬路線に傾斜してゆく。
米中の力の接近を背景にした対立激化はある程度、予想できたが、それが前倒しで進んだ背景には、中国政治の抜本的な変化がある。とりわけ、2018年の憲法改正で、対外強硬路線をとる習近平政権が長く続くことに気づいた米側の動きは早かった。
追い打ちをかけたのが、2019年に香港で起きた容疑者の中国移送を可能にする逃亡犯条例改正案に反対する大規模デモへの対処と、その翌年、香港立法府の頭越しに香港国家安全維持制定を決めた手法だった。中国が国際的に公約した香港の高度の自治を保障する「一国二制度」は事実上、崩れた。
そして2021年には言論弾圧が加速し、香港民主派を支持する唯一の主要な香港紙「蘋果日報」(アップル・デイリー)が廃刊に追い込まれた。創業者の黎智英(ジミー・ライ)が抗議活動に絡む実刑判決で服役中の出来事だった。警察は本社を捜索し、記者や編集者のパソコンも大量に押収、メディアグループ幹部を相次ぎ逮捕した。
多くの著名な民主活動家も収監されたままである。

緊迫する台湾問題

いまや情勢は一変している。2035年までに経済・軍事両面で中国が米国に追いついてくるなら、台湾の武力統一にも現実感が出てくる。しかも、香港の「一国二制度」は事実上、崩壊した。そもそも香港の平和統一のために編み出した「一国二制度」を自ら葬り去ったということは、対台湾でも強硬手段をとるという選択肢が現実化しかねない。
習近平自らも共産党創立100年の記念式典での演説で「台湾統一は中国共産党の歴史的な任務」と強調した。これは米側で台湾武力侵攻について「6年以内」という予測が出回るなかでの発言だった。バイデン政権は一段と警戒レベルを高める必要があった。台湾に米軍輸送機が頻繁に着陸する事態もこれを受けたものだ。
さて、習近平にとって台湾武力侵攻は本当に必要なのか。習には「反腐敗」運動の成功以外、これといった政治的な実績はない。毛沢東、鄧小平に続く3人目お偉大な人物として中国共産党史に名を残すにはどうすればよいのか。党が言い続ているのに実現できていない台湾統一問題を自分が解決する。だから時間をくれ、としか言うしかない。台湾統一問題は、習が目指す内政上の目的を達成する手段になる可能性もある。
同じことは、習政権の外交政策全般にいえる。問題は、いわゆる「戦狼(せんろう)外交」と呼ばれる強硬な対外姿勢の原因が内政にあることだ。
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裏を返せば、共産党100年でも示された強硬な対外姿勢を修正する重大な決断は、習近平にしかできない。しかし、それは、かなり難しい。習とすれば、自らの政策の失敗が明確になるような方向転換はできない。2022年秋の共産党大会で長期政権を目指すなら、米中関係が一定の範囲で緊張しているほうが有利という場合さえありうる。

「この難局を乗り切るには、あなたしかいない」。党内からそんな声が湧き出るようなら一気に勝負は決まる。すべては内政もにらんだ微妙な判断になる。