じじぃの「カオス・地球_60_習近平独裁新時代・台湾統一の準備」

【「台湾侵攻」なら】自衛隊にも被害…アメリカがシミュレーション 阻止には「日本が要」ナゼ?

動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=nHQ1lnmu9QE

中国 台湾武力統一シナリオ (2021年10月 日曜スクープ)


中国軍機が台湾防空識別圏に… 統一シナリオの中身

2021年10月10日 日曜スクープ
中国軍機が台湾の防空識別圏に、過去最大規模での進入を繰り返しました。
中国の習近平国家主席は改めて「統一は必ず実現」と明言しています。2021年10月10日の『BS朝日 日曜スクープ』は、中国軍機侵入の状況を分析し、中国が描く統一シナリオを分析しました。
https://www.bs-asahi.co.jp/sunday_scoop/interview/94/

習近平「独裁新時代」崩壊のカウントダウン

【目次】
序に代えて――歴史の分岐点となった第20回党大会
第1章 江沢民の死と白紙革命

第2章 習近平「平和外交」の正体

第3章 コロナ政策転換でも光が見えない「新時代」経済政策
第4章 全人代から始まる新たな粛清
最終章 習近平「独裁新時代」崩壊のカウントダウンのボタン

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習近平「独裁新時代」崩壊のカウントダウン』

福島香織/著 かや書房 2023年発行

第2章 習近平「平和外交」の正体 より

すべての外交アクションは「台湾統一」を念頭に

習近平の「平和外交」が成功か不成功かは、ロシア・ウクライナ戦争がどのような形で決着するかによって決まる。それによって、おそらく習近平「独裁新時代」の命運も決まるだろう。可能性として考えられるパターンを、5つほど考えてみたい。

1、中国が再びロシアを見限り、ロシアに対して圧力をかけ、ウクライナの要求を満たす形で停戦する。ロシアの完全敗北という形で終わり、プーチンが戦犯として責任を追及される。習近平が目的としていた「プーチンを守る」ための「和平調停」は失敗、だが、国際社会は少なくとも当面は中国に対して感謝、評価を示し、中国共産党政権としてはむしろ「グローバルリーダーの地位」に一歩近づくことになるだろう。
このとき、懸念すべきは、中国はロシアを見限るバーターとして、台湾有事の際の対中制裁に参与しないなどの条件をEUに飲ませ、欧米分断に成功し、台湾統一準備の環境を整えるのではないか、ということだ。

2、中ロが軍事同盟化に舵を切り、ロシアの戦争を中国が本格的に支援する。このとき、台湾有事が並行して勃発する可能性もあり、まさに第三世界大戦への導火線となる可能性がある。習近平の「平和外交」は失敗ではなく、新たな戦争準備のための時間稼ぎ、目くらましであったということになる。

3、中国はロシアを懸命になだめるも、プーチンは中国を信用せず、核兵器を使用し、習近平の面子をつぶす。習近平の平和外交は完全に失敗となり、プーチンに肩入れしすぎた習近平は道連れとして権力を失う可能性もある。

4、「和平外交」が特に成果もあげないまま、米国大統領選を迎え、米政権が交代する。かりにトランプが大統領になったならば、民進党政権とウクライナ政府との癒着などスキャンダル暴露とともに、米国自体が戦争から手を引くこともありうる。米国の支援がなければウクライナの戦争が継続できないので、停戦、あるいは休戦状態に入る。
だが、米共和党政権はウクライナ支援から手を引く代わりに、台湾有事対応への体力温存準備に切り換え、米中対立は一層先鋭化するかもしれない。和平外交の成功ではなく、次の戦争・台湾有事の始まりにつながる可能性があるということでもある。

5、中国の説得で、ウクライナがクリミアをあきらめて停戦合意。2022年2月以前の状況に戻る。ロシア・プーチン体制は維持され、習近平はロシアに大きな貸しをつくる。同時に、ロシアが弱体化そ対中依存を深め、ウクライナの復興計画の主導権を中国が握れば、習近平の「平和外交」は成功との評価を受けるし、ユーラシアの安全保障枠組みは習近平に有利に再構築される。中国をめぐる国際情勢が中国の有利な方向で変化し、習近平独裁時代の長期化に利するかもしれない。
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この章で習近平3期目の平和外交路線を振り返ってみて、1つの納得いく結論は、習近平2期目までは「戦狼外交路線」で、それが「平和外交路線」に切り換わったわけでないということだ。国際社会の新たな枠組みの再構築を中国主導で行うという目的のために、戦狼の面をかぶるか、微笑の面をかぶるかの違いでしかなく、その仮面の下が恐ろしい独裁者であることに変わりはない。そして、その独裁者が自らの地位を強固とするために絶対必要と考えている重要なプロセスが台湾統一であり、習近平のすべての外交アクションは、今後起きうる台湾統一プロセスを年頭に進められていると言ってもいい。

だが、平和外交イメージを打ち出したところで、国際社会のほとんどの国がその仮面の下が独裁者であることを知っているのだから。台湾も、自ら平和統一によって中国に併呑されたほうがよいと判断することはないと思う。それがたとえ国民党政権になったとしても、だ。
平和統一の可能性は、習近平体制、いや共産党体制が継続する限りゼロだ。とすると、残るは武力統一という話である。

ロシア・ウクライナ戦争は、その予兆、突然の侵攻から、出鼻をくじかれる作戦の失敗、長期化する選局の動き方、国際社会の反応、すべて中国にとっては台湾武力統一時に想定すべき状況の参考になったことだろう。習近平が台湾統一の考えを放棄しない限り、早晩、台湾武力統一は起こりうる。

だが、そうなれば、おそらく習近平「独裁新時代」に終止符を打つ決定的な事件になると私は信じている。少なくとも、ロシア・ウクライナ戦争がプーチン独裁に終止符を打てば、その考えは一層説得力を持つだろう。

そして、たとえ、台湾海峡で戦争が勃発しなくとも、台湾統一ができないことを習近平が認めた時点で、その異例な形では独裁継続は断念せざるを得なくなる。

習近平の平和外交が、どのような紆余曲折をたどるか、まだ先は長いようだが、その先に台湾統一を見ている限り、それは習近平「独裁新時代」の崩壊のカウントダウンと言える。