Deep Space: The journey through the Universe V
To deep space
NASA、有人火星探査に月周辺基地利用 2027年に飛行士滞在も
2017-05-15 sorae 宇宙へのポータルサイト
現在NASAは2030年代の有人火星探査を目指していますが、その計画はいくつかの段階を踏んだものになりそうです。
同宇宙局はワシントンDCで開催された「Humans to Mars Summit」にて、有人火星探査計画の最初の2フェーズの内容を明かしました。
https://sorae.info/030201/2017_05_15_nasa-2.html
宇宙飛行士に聞いてみた! 世界一リアルな宇宙の暮らし Q&A - 日本文芸社
ティム・ピーク(著)
●ティム・ピークってどんな人?
イギリス陸軍航空隊を経て、欧州宇宙機関(ESA)所属の宇宙飛行士へ。
2015年、国際宇宙ステーション(ISS)第46/47次長期滞在クルーとしてミッションを遂行し、船外活動でも活躍。
国際宇宙ステーションからロンドンマラソンに参加したり、SNSでISSや宇宙の様子をリアルタイム配信したりと、
宇宙を身近に伝えて大人気となっている宇宙飛行士です。
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『宇宙飛行士に聞いてみた!』
ティム・ピーク/著、柳川孝二/訳 日本文芸社 2018年発行
エピローグ 未来の君たちへ より
Q 次のミッションが国際宇宙ステーションじゃなかったら、違う訓練を受けるのですか?
この本を締めくくるのにぴったりの質問だ。これからも有人宇宙飛行や宇宙探査の可能性は広がり続ける。そんな希望に満ちた未来に思いをはせてみよう。
まずこの質問にひと言で答えるならば、イエスだ。
任務地が国際宇宙ステーション(ISS)以外となると、訓練内容も多少変わってくるだろう。将来的にはISSでのミッションのための訓練も大幅に変わる可能性がある。
宇宙飛行へ向けての準備が、どのように変わっていくのか。そのヒントとして、近い将来、宇宙飛行士が乗る宇宙船と宇宙ステーションについて話をしよう。
月周回軌道に小型宇宙ステーションができる
各国の宇宙機関は、低軌道における商業用宇宙ステーションへの移行を支持しているが、それは、自らのかぎられたリソースを次なる太陽系探査に集中させたいからだ。この流れを受けて生まれたのが、次世代を担うNASAの超重量物運搬ロケット、スペースローンチシステム(SLS)で、アポロ計画で使用されたサターンVよりも巨大でパワフルだ。
SLS打ち上げの最初の3回は、月周回軌道に深宇宙探査ゲートウェイを組み立てることを予定している。つまり、電気・推進モジュール、居住モジュール、補給モジュール、エアロックモジュールを備えた小型宇宙ステーションになる。
2019年にはじまるこのミッションは、深宇宙での科学研究の道を切り開くだけでなく、
人類が再び月面を探査する機会にもつながり、さらには火星探査への足がかりにもなるだろう。まずSLSの無人試験飛行を行い、その後、4人のクルーを乗せたオリオン宇宙船が打ち上げられる。クルーは最長6週間滞在し、深宇宙探査ゲートウェイの組み立てにあたる。2026年の完成予定だ。
宇宙飛行士はこの新しい宇宙ステーションで数週間のミッションを行うが、年間を通して滞在することはない。この構想はNASAが主導しているが、実現には他国の宇宙機関や学術機関、民間企業との強力なパートナシップが求められる。欧州宇宙機関(ESA)は、オリオン用の欧州サービスモジュールを開発する重要な役割を担っている。
火星探査を視野にさまざまな計画を始動している
1969年7月20日にニール・アームストロングが月面着陸して以来、太陽系の有人探査の次の目的地として注目されたのは火星だった。そしてついに、この長年の大望を叶えるための道筋が明らかになった。2027年までにSLSによって深宇宙輸送機を打ち上げ、深宇宙探査ゲートウェイを組み立てる予定だ。月近傍での補給モジュールと1年間の有人ミッションに続いて、重量41トンもの深宇宙輸送機で4人の宇宙飛行士を火星探査に送り込み、2033年に帰還する計画になっている。
3年も続くミッションでは火星に着陸せず、火星の周囲をまわって深宇宙探査ゲートウェイへ戻ってくる。ミッションから得られる収穫は、火星の地を踏むという究極の目標を達成する礎(いしずえ)となり、ほかの惑星へ移住するための一歩を踏み出すことにもつながる。
太陽系探査を推し進め、火星へ進出しようと画策しているのは、各国の宇宙機関だけではない。スペースX社のCEOであるイーロン・マスクはその野望を臆することなく明言した。
「火星に移住し、人類を単なる地球人からもっと広範囲の惑星人にしてみせる」と。
これは夢物語ではない。スペースX社は惑星間輸送システム(ITS)の実現に向け、メタン燃料搭載のロケットエンジン、ラプターをすでに開発し、テスト運用している。
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宇宙飛行にかかるコストを削減し、有人探査の境界を広げようとしているのは、大富豪がCEOのスペースX社だけではない。AMAZON創設者のジェフ・ペゾスは、ブルー・オリジンという航空宇宙企業を立ちあげた。再び月面着陸を目指し。太陽系における人類の足跡を拡大するべく、次々と新しいロケットの開発に乗り出している。
さらにドリームチェイサー宇宙船の開発を続けているシエラ・ネヴァダ・コーポレーション(SNC)は、2016年にNASAと契約し、2019年から2024年の間にISSに商用補給を6回以上行うことになった。
またヴァージン・ギャラクティック、ブルー・オリジンといった企業は、近い将来、何百人もの民間人が夢のような宇宙飛行を体験できる技術を開発中だ。今後、有人宇宙飛行への関心はますます高まることだろう。
こうした新時代の宇宙開発競争は数年前にははじまった。企業間の競争が生まれたり、持続可能性の向上や宇宙飛行のコスト削減が進められただけでなく、新たな連携や国境を越えた協力関係を通してすばらしい機械が得られるようになった。
競争は激しさを増し、宇宙探査の新たな夜明けが近づいている。
今、問われているのは、「月と火星に移住できるか」ではなく「いつ移住するか」なのだ!
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