じじぃの「豚インフルエンザの患者数が最も多い国は?日本が世界一のランキング事典」

【識者の眼】「新型コロナウイルス感染症SARSに類似(2)─インフルエンザに比べはるかに重い疾患」

2020年02月29日 菅谷憲夫(神奈川県警友会けいゆう病院感染制御センターセンター長)
●COVID-19と2009年ブタインフルエンザ(H1N1pdm09)
死亡率は現時点で、中国全体では2%程度であるが、湖北省を除いた中国では、0.2%と10分の1程度に低下する。2009年のブタインフルエンザのパンデミックで、日本では2000万人以上の患者発生があったにもかかわらず、わずか200例の死亡者しか報告されていない。
死亡率は0.001%、10万人に1人に過ぎない。湖北省を除いた中国のCOVID-19の死亡率0.2%は、2009年のH1N1パンデミック時の日本の死亡率に比べて200倍高い。
https://www.jmedj.co.jp/journal/paper/detail.php?id=14034

『日本が世界一のランキング事典』

伊藤賀一/著 宝島社新書 2020年発行

日本の病院数は世界一 より

世界的に突出して多い病院数 誰でも医療が受けられる安心の国

経済協力開発機構OECD)の公表しているデータによると、2017年の世界の病院数1位は日本で、8412ヵ所の病院があります。
日本の場合、医療法で病院の定義は「入院施設としてベッド数が20床以上」と定められていて、それ以下の床数は一般診療所とされています。ちなみに厚生労働省の調査によると、一般診療所は2018年2月の時点で10万1777施設ありました。
日本は世界一の病院数と国民皆保険制度のおかげで、誰でも、いっでも、どこでも医療機関にかかることができます。

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どうでもいい、じじぃの日記。

豚インフルエンザの患者数が1番多かった国は?

今度は中国で飼育されている豚の間で、人に感染しうるインフルエンザウイルスが広がっていることがわかった。
2009年に、この豚インフルエンザの患者数が世界中で1番多かった国はどこか。
WHOが世界中からデータを集めて、国別の患者数を出した。
それによると、日本の患者数が1番多かったのです。
その理由は、日本の健康保険制度にあります。
メキシコやアメリカでは医療費が高額でちょっと熱が出たくらいでは病院に行かないのです。
日本では熱が出ればすぐ病院に行き、お医者さんにかかり患者と認定されるので、結果的に新型インフルエンザの患者数は日本が世界で1番になるのです。
とか。

じじぃの「歴史・思想_246_シルクロードの古代都市・ゾロアスター教以前の宗教」

Ancient Persia 3000 BC TO 10000 BC Old City Jiroft Civilization 7000 years old human skeleton Tehran

動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=tyEPPpdQtJM

Ancient Persia BC 10000~3000

The Lost Civilization 3000 BC TO 10000 BC Old City Jiroft IRAN Ancient Persia First PYRAMID On Earth

https://www.pinterest.jp/pin/845269423796766054/

シルクロードの古代都市――アムダリヤ遺跡の旅』

加藤九祚/著 岩波新書 2013年発行

【原ゾロアスター教

アケメネス朝(前550年~前330年)以前およびアケメネス朝時代の中央アジアの住民は、ほとんど全面的にイラン系の言語を話す人びとであった(ごく一部に島のように非イラン系言語の住民が残っていた)とされる(リトヴィンスキー、1988年)。それにはバクトリア人、ホラムズ人、ソグド人、パルティア人、フェルガナたタシケントーオアシスの住民が含まれる。中央アジアの山地や草原で遊牧を含む牧畜をしていた人びとはサカとよばれ、広い意味でスキタイ系の文化を担っていたが、彼らもほとんどがイラン系言語の人たちであった。
イラン系住民の信仰は古代のインドーイラン人の宗教的・神話的・神話的世界に属していたが、これは後代のゾロアスター教が成立した基盤であり、いわば「原」ゾロアスター教とも言えるものであった。これまで見てきた青銅器時代マルギアナ(マルゲシュ)のトゴロク21号やバクトリアのジャルクタンの神殿は、「原」ゾロアスター教的文化の遺跡とされている。
後代のゾロアスター教はこの「原」ゾロアスター教を基盤として、イラン系予言者ツァラトゥストラギリシャ人はゾロアスターと称した)によって、前7世紀頃に開かれたとされている。時代が下がってクシャン時代にインドからバクトリアに仏教が伝来し、住民の一部が仏教徒になったことは考古学的にも明らかである。しかしリトヴィンスキーによると、バクトリアの「現地住民の大部分はゾロアスター教を信じていたし、仏教やマニ教キリスト教に改宗した現地住民、その世俗の人たちの宗教的意識や宗教的実践の一部において、伝統的なゾロアスター教的観念と儀礼が重く残っていたこと充分に考えられる」(リトヴィンスキー、前掲書)。これまで発掘調査されたクシャン時代の仏教遺跡において、仏教とゾロアスター教の共存を示す証拠がいくつも発見されている。タフティーサンギン遺跡についても、リトヴィンスキーは基本的に拝火を基盤とするゾロアスター教的神殿であると主張している。
ゾロアスター教については、日本でも伊藤義教ほかの研究者によって多数紹介・研究されっているが、ここでは主としてロシア語文献によってあらましを紹介する。ただし複雑難解な教義については深く立ち入らず、教祖とされるツァラトゥストラゾロアスター)の生涯を中心にして記述する。
しかし繰り返しになるが、まずつぎのことを知っておく必要がある。

すなわち、ツァラトゥストラゾロアスター教の教祖というよりはむしろ宗教改革者であり、前7世紀頃に生きた彼以前の数千年間にわたる古代イラン人の宗教的伝統を受け継ぎ、その一部を変革した人だということである。

ツァラトゥストラ以前のイラン人の宗教】

ツァラトゥストラ以前のイラン人宗教の特徴はなにか。それはまず人間が蝕知できないもの(たとえば勇気、喜び、力、契約など)にも神がいるとしたことである。火、水、天、地、太陽、月、風、雨雲などの神があり、金星の神は「天上の楽士」であった。「契約の神」はミトラであり、「真理」の神はアシャと呼ばれた。ゾロアスター教聖典は『アヴェスタ』であるが、これらの神々はこの聖典に登場している。
「雄牛の創造者」(『アヴェスタ』ではゲウシューウルワンと呼ばれた)という神もおり、古代イラン人は家畜をいけにえとしてこの神に捧げた。家畜のいけにえによってこの神は強くなり、人間にとって有益な繁殖を助けると考えられた。しかし改革者ツァラトゥストラは家畜をいけにえにすることを禁じ、結果的に民衆の生活を助けた。
もうひとつ知っておくべきことは、はるかな昔、古代イラン人と古代インド人が「兄弟」(インドーイラン人と呼ぶ)だったことである。この兄弟は前2000年紀の初めにインド語(サンスクリット)群とイラン語群に分かれることになった。インド人の宗教の聖典は『リグヴェーダ』であるが、これとイランの聖典『アヴェスタ』では、同じ神の名でありながら、意味内容が正反対である場合も少なくない。ツァラトゥストラが意識的にそうしたと思われるような場合もある。つまり「おれたちは違うのだ」と言いたいのであろうか。しかしツァラトゥストラの死後、元通りに、つまり彼以前の状態に戻った部分もある。

じじぃの「風をよむ・あの香港はどこへ・中国をとるか・アメリカをとるか?中国の行動原理」

サンデーモーニング】香港で“100万人デモ”

動画 dailymotion
https://www.youtube.com/watch?v=b6YsmCN-FEU


サンデーモーニング

2020年7月5日 TBSテレビ
【司会】関口宏 【サブキャスター】橋谷能理子 【パネリスト】寺島実郎、元村有希子、薮中三十二、安田菜津紀青木理
九州を襲った記録的豪雨…なぜ被害 ... なぜ被害拡大▽東京の感染130人超の衝撃▽香港ゆらぐ自由▽プロ野球Jリーグ再開▽久保が孤軍奮闘▽池江復活へ▽高校野球▽「風をよむ」

【風をよむ】 「あの香港はどこへ」

香港の中国返還から23年となる7月1日を前に、香港での反政府的な動きを取り締まる中国の「香港国家安全維持法」が6月30日施行された。違反者は最高で無期懲役が科される。
「50年変わらない」はずだった香港。あと27年を残し、「一国二制度」は失われようとしている。
香港の政治団体「香港衆志」(デモシスト)からの脱退を表明した幹部の周庭(アグネス・チョウ)氏(23)は6月30日、SNSで、
「私、周庭は、本日をもって、政治団体デモシストから脱退致します。これは重く、しかし、もう避けることができない決定です。絶望の中にあっても、いつもお互いのことを想い、私たちはもっと強く生きなければなりません。生きてさえいれば、希望があります」
と語った。
寺島実郎、「中国は大中華圏のネットワークのつながりを深めることで成長軌道を走ってきた。具体的に言えば、中国は華僑・華人圏の香港、台湾、シンガポールの資本と技術を取り込みながら、成長のエネルギー源にして吸収し、同時にその華僑・華人圏を飛躍のためのジャンプボードとしてたくみに利用することで成長してきた。香港での一国二制度が失われることで人材や資本が香港から出ていくことが中国にとって大きなマイナスになる。本当に中国は賢いのか」
https://www.tbs.co.jp/sunday/

『中国の行動原理-国内潮流が決める国際関係』

益尾知佐子/著 中公新書 2019年発行

中国人を規定する伝統的家族観 より

同じアジアのなかで隣り合う日本と中国であるが、いままで見たように、社会組織の構造はかなり異なる。そこから派生し、人々が暗黙のうちに想定する社会秩序はまったく違うものになる。この節では、前節の組織構造を踏まえ、また筆者の体験など身近なエピソードを交えながら、中国の社会秩序の特徴をイメージしやすいようにまとめてみよう。
第1に、権威が最高指導者に一点集中する点である。
あるとき筆者は授業で、各国から来た学生に「リーダーと聞いてどんな人を創造するか」と尋ねた。日本やヨーロッパの学生たちは、「多くの人の利害に配慮して、それを調整しながら新しいものが作れる人」などと答えた。ところがある中国人学生は中国語の「領導(リンタオ)」(指導者)を想像したようで、「他人に言うことを聞かせる力を持つ人。でも怒らせると怖くて、みんなに嫌われる人」と答える。
中国人の家族のなかでは、家父長は愛される存在ではなく、極度に敬われ恐れられる存在である。しかし他方で、そうした家父長がいなければ、組織はしっかりと回らない。他人に畏敬の念を持たせることができるかどうかは、トップに立つ者の根源的な資質である。中国の組織は、部下たちが「この人を怒らせると怖い」と感じるようでなければ機能しない。中国の指導者に笑顔や親しみやすさは不要である。
第2に、中国では組織内分業について、ボスが独断で決める。
日本の組織内分業は、組織の階層構造のなかで、年齢や性別などの個人の属性によって自然に決まる。これと対照的に、中国では有能なボスが、個人の特性を踏まえながら適切に人材を配置し、組織全体を管理していく。

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『逆説の世界史 1 古代エジプト中華帝国の興廃』

井沢元彦/著 小学館 2014年発行

中国文明の力量と停滞 より

朱子学(Cheng-Zhu school)は哲学だと中国人は主張する。つまり宗教ではないという意味だ。しかし、実際は極めて強烈な宗教であることを、これまでの記述で読者は納得していただけたと思う。
まず、あらゆる道徳の中で親に対する忠節である「孝」を極端に重んじること。そして、人間を朱子学を身につけているかいないかで厳しく峻別する身分制度を生むこと。また、王者の条件を「徳」の有無によって決定するから王朝交代を可能とする副作用もある。
「孝」を重んじるという特質は、朱子学以前の儒教から重要視されていたが、儒教の祖である孔子(BC552?~479年)は身分制度について朱子(または朱熹 1130~1200年)よりはるかに寛容であった。人間には優れた人間と劣った人間がいることは認めていたが、それを身分制度で固定しようという発想は孔子にはなかった。
もう1つ、孔子になく朱子学以後の儒教に明確にあるのが、独善性と排他性だ。これが中国こそ世界一で他に国は無いという、古来から存在した独善的な中華思想を、より強める結果になった。なぜそうなったかは、既に詳しく述べたところだが、やはり靖康(せいこう)の変(1126年)の影響が極めて大きいと思う。今の中国人はこの「変」のことを意識していない人がほとんどだ。知識人でもよほど歴史に詳しい人でない限り、この「変」のことは忘れている。
しかし、私のように中国全体を外から見た人間が、かつて人類文明の最先端を進み、中華思想はあったものの周辺の民族には寛容であった中国人が、なぜ進取の気性を失い他民族に対して極めて排他的な考えを持つようになったのか、その淵源を辿っていくと、この靖康に突き当たるのである。
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では、なぜ彼らは「儒教は宗教ではなく、儒学という哲学だ」と言いたがるのか?
儒教の開祖孔子は「怪力乱神を語らず」と宣言した。つまり私の考えでは神霊的存在とか超自然現象とかは扱わない、ということだ。中国人に言わせれば、開始が「怪力乱神を語らず」と宣言しているものがなぜ宗教か、哲学ではないか、ということになる。
士農工商の身分区別についても、既に述べたような合理的な考えによるもので、神秘的要素は一切ない。その証拠に、たとえ商人の子に生まれても、本人が努力して勉学すれば、科挙に合格し官僚つまり「士」になることもあり得る。本人の努力の結果を試験という平等で客観的な物差しで測るわけだから、これもまったく合理的で神秘的な要素など一切ない、だから孔子の教えも、それを発展させた朱子の教えも、宗教ではなく儒学という哲学だ、ということのなるわけである。
そして、こういう考え方からすれば、むしろ法の下の平等だとか、一人一票などという考え方は馬鹿げているということにもなる。人間には高潔な哲学者もいれば、人を殺す犯罪者もいる。有能な官僚もいれば、計算すらまともに出来ない人間もいる。だから平等などという考え方はおかしい。むしろ合理的な基準で高潔で有能な人間を選び、その人間集団が愚かな民衆を統治していけば良いではないか、ということにもなるわけだ。
これは古代から近世まで、中国という1つの帝国を支える基本思想であった。
そういう考え方が土台にあったからこそ、近代になって中国は、少数の選ばれたエリートが多くの民衆を支配指導するという共産党独裁制にはたやすく移行することが出来たが、すべての人間は平等だと考える民主主義は未だに根付かないということにもなった。
お気づきのように、これが現代中国の抱える最大の問題点である。

じじぃの「歴史・思想_245_シルクロードの古代都市・ゾロアスター教」

The Religion that Shaped Ancient Iran

動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=H9pM0AP6WlM

バクトリア

ウィキペディアWikipedia
バクトリア(Bactria)は、バクトリアーナ(バクトリアナ)、トハーリスターン(トハリスタン)とも呼ばれ、ヒンドゥークシュ山脈とアム(オクサス)川の間に位置する中央アジアの歴史的な領域の古名。
現在はイランの北東の一部、アフガニスタンタジキスタンウズベキスタン、および、トルクメニスタンの一部にあたる。かつてその領域にはグレコバクトリア王国などが栄えた。
ゾロアスター教の中心地】
ペルシア文明に大きな影響を与えたゾロアスター教の開祖であるゾロアスターは、古くからバクトリアの人だという伝説がある。
この点については諸説あって不明だが、少なくともアケメネス朝時代にはバクトラがゾロアスター教の中心地の一つであったことは明らかである。また、ゾロアスターの年代についても諸説あるが、古いペルシアの伝説では、ゾロアスターアレクサンドロスの侵入より258年前の人だとされている。彼は70歳で死んだといわれているので、もしこの伝説をとるならば、紀元前6世紀ごろの人物であるといえ、この時代はちょうどアケメネス朝の初期にあたる。

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シルクロードの古代都市――アムダリヤ遺跡の旅』

加藤九祚/著 岩波新書 2013年発行

1 拝火と酩酊の教え より

【火の信仰】

リトヴィンスキーは書いている。
「確信をもって言えることは、アケメネス朝と初期ヘレネズム時代のバクトリアゾロアスター教の国であったことである。少なくとも、すべての歴史的、考古学的資料はこの見解に矛盾しない」(リトヴィンスキー、2000年)
この研究者はゾロアスター教的立場から火と水をつぎのように理解している。まず火神の信仰である。
火の信仰はインドーヨーロッパ人の間で広範に広まっていた。古代インドの『ヴェーダ』では、火の神アグニは諸神の王にして全宇宙の王であるインドラ神に次ぐ神であった。
アグニ神は太陽と天の水(つまり雲)から生まれた。火と水の対照とその結合は、太陽が東の大海から昇り、西の大海に沈む、つまり「天空で生まれた男性の火が女性の水に沈む」ことに示されている。世界の多くの文化で、火は最も重要な神の1つとされている。インドーイラン人の伝統でもそうであるが、しかし相違もあった。
インドの信仰で火はほとんど例外なく「いけにえ」的要素で、儀礼におけるその役割は象徴的・根源的役割を果たしている。イランでは、火は神聖は基体で、他のものとの接触によって穢してはならない「清浄な」要素であった。イランでは火による清浄化の儀礼が発達した。ゾロアスター教聖典『アヴェスタ』における火の信仰は、多くの場合(全部ではない)は古代インドの宗教におけるアグニ(火)と対置できる。しかし『アヴェスタ』ではアグニ神はなく、別の神に変わっている。
『アヴェスタ』における火(atar アータル)は火一般を意味すると同時に、ゾロアスター教最高神アフラーマズダの「息子」である火の神アザタでもある。『アヴェスタ』におけるアータルは力強く、敬虔なゾロアスター教徒を助け、幸せをもたらすとされている。そのゾロアスター教の暦では、毎日のほかに、1年のうちの9月と毎月の9日は火の神アータルに献げられた月と日であり、つぎの10月と毎月の10日が水の神アパムに献げられている。『アヴェスタ』によると、天・地・植物・動物・人間に火が分与されている。
前1世紀のギリシャの地理・歴史学者ストラボンはゾロアスター教の聖なる火の神に捧げる儀礼について書いている。「祭司は毎日拝火神殿に入り、聖火の前で1時間ほども神秘的な歌をうたう。そのとき祭司は手に小枝を束を持ち、フェルトの被り物をかぶり、それを両頬から唇まで垂れ下げた」(ハキモフ『タジク人の音楽文化』)。この記述は後述のタフティーサンギンのオクス神殿で発見された祭司の肖像につながる。ロシアの考古学者ベレニツキー(A.M.Belenitskii,1904-93年)が、「馬信仰」が火の信仰と密接に結びついていると言うのも興味深い。リトヴィンスキーは、グルジアの銀皿には祭壇の前に馬が描かれていることを伝えている。
古代北方ユーラシアのスキタイやサカもイラン系民族であったことが定説になっている。とくにアジア側に住んだサカ族が火を崇敬したことはよく知られている。彼らの葬制には土葬のほかに、祭礼に用いた用具の焼却と火葬があった。こうした儀礼の痕跡はパミールアラル海沿岸のサカ族の墓によって知られている。最もめざましい資料はカザフスタンセミレチエで発見された。巨大な盛土のあるスペシャティル1号墳である。これは直径104メートル、高さ17メートル、外周は94基の環状石(ストーンサークル)によって取り巻かれていた。発掘の結果、かつて各環状石の環内で火が燃やされたことが分かった。祭礼のある時点で火が燃やされ、死者は多数の焚火に囲まれて死者の世界へ送られたと考えられる。
リトヴィンスキーは、火の環がふたつの役割を果たしたと考えている。第1には、死者の霊が生者の世界に戻ってこないようにすることであり、第2には、燃え上がる焚火の炎によって、死者の霊が神の住居である天に容易に昇れるようにすることであった。これもまた拝火と結びついていることは明らかである。

じじぃの「目に見えないものこそ・メルヘン調の点描画!絵本『うみべのいす』」

nakaban: note: 2014/03

「うみべのいす」
https://nakaban.blogspot.com/2014/03/

読書メーター:『うみべのいす』|感想・レビュー

白い浜辺に置かれた青い椅子。静かに波が寄せる波の音。
その椅子に座る人の心模様で、浜辺、海の色、空の色までが変わる、とても素敵な本でした。私がこの椅子に座ったら、どんな海の色になるのかなと思いながら、絵本を閉じました。内田麟太郎の優しい詩と、これまで見たことのない、nakabanさんの点描画が、とてもマッチしていました。お父さんの乗っている船の絵と、うみぼうずが、うたっている絵がいいなぁ。いつもながら、絵に引き寄せられました。
https://bookmeter.com/books/8042476

『人生の1冊の絵本』

柳田邦男/著 岩波新書 2020年発行

目に見えないものこそ より

画家・東山魁夷(かいい)氏の画集『白い馬の見える風景』(新潮社)を、時折開いて、あれこれ想像の世界で遊ぶことがある。北欧か北ドイツか、そんな異国情緒のあふれる自然や町を幻想めいた淡い日本画のタッチで描いているのだが、どの風景にも、なぜか白い馬が現れる。
たとえば「緑響く」(1982年)という作品。ミルキーがかったブルーグリーンで森が描かれている。手前は湖で、さざ波ひとつない鏡のような湖面に、森の木々が逆さにくっきりと映っている。静寂そのものだ。ただそれだけだったら、すがすがしい朝の湖畔の風景として、《美しい》と感じるだけで終わってしまうだろう。ところが、向こうの岸辺に1頭の白い馬が静かに歩く姿で小さく描かれているのだ。
その白い馬の姿も、湖面に映っている。絵の中央にくっきりと横に区切る岸辺の線を境にして、森と白い馬が完璧なまでに上下対称(シンメトリック)に描かれた構図は、見る者をメルヘンの世界へ誘う魅力に満ちている。つまり、1頭の白い馬が登場することで、森と湖の風景が突然、見る者の想像力を刺激して、1篇の物語を生み出していくのだ。
画集『白い馬の見える風景』に編集された様々な季節の風景の一点一点に、このような不思議な白い馬が登場するので、私は一点ごとにじっと見入っては、空想に耽るのだ。
こんな話を持ち出したのは、絵本の世界でも、同じように1頁ごとの絵に想像力を働かせて空想世界の遊びに誘う作品が可能だということを言いたかったからだ。詩人で絵本作家の内田麟太郎さんの発想による『うみべのいす』は、そのような想像力を引き出してくれる。
 <しろい はまべに、 いすが ひとつ>という言葉どうりの絵で始まる。
絵の描き方は、19世紀フランス新印象主義のスーラなどが取り込んだ点描画の手法を全面的に使っている。ただ、光が生み出す多彩な色を示す点がスーラの手法ほど細かくはなく、やや大胆に大粒になっている。絵本としては異色だが、麟太郎さんのコンテクストにうまく合っている。本格的な風景画にしてしまうと、絵が少し重たくなり、大人も子どもも一緒になって想像する軽やかな楽しさを抑えてしまうだろう。
椅子には、誰も座っていない。頁をめくると、<すわっているのは、だれかしら>と問われ、絵を見ると、白ネコが座って海を見つめている後ろ姿が描かれている。風景は色とりどりの光の粒で描かれているが、白ネコは白で塗られ、淡いブルーの影がつけられているので、くっきりと主役の印象が強くなる。
白ネコは何を感じ、何を想像しているのだろう。飼い主はどこにいるのかな。ひとりさびしい女性かな、などと想像する。ところが、頁をめくると、トビウオが飛んでいて、白ネコは<おいしそう>とつぶやいているのだ。それでも《なあーんだ》とがっかりしそうなところを踏みとどまらせてくれるのは、メルヘン調の点描画ののどかさだろう。
このあと、<すわっているのは、だれかしら>の問いに対し、クマだったり、少年だったりと、主役が替わっていき、見つめる対称もバラエティに富んで面白い。途中には、<だれも いない うみ だれも みてない うみ>も挿入されて、変化をつけられている。
こういう絵本は、頁をめくるのを急がずに、椅子に座る人物あるいは動物を、あれこれ想像してから、麟太郎さんが出してくる答えを見るという楽しみ方をするのがいいだろう。自分の想像力がどれくらい新鮮でみじみずしいかを試してみるいい機会になるだろう。
絵本というものは、ほかの表現ジャンルにない可能性を秘めていると思う。見えないもの、見えない世界を、想像力・空想力で可視化するのを簡単にやってのけることができるのも、絵本ならではの不思議な力と言える。
井上コトリさんの絵本『まちの ひろばの どうぶつたち』は、見えるものと見えないものとが混在する街を、ユニークなかたちで表現した作品だ。5匹の動物たち――ゾウ、キリン、サル、コトリ、ライオンの子どもは、透明なので、街のなかを歩いていても、誰も気づかない。

じじぃの「歴史・思想_244_シルクロードの古代都市・フロルの遺宝」

Hidden treasures revealed in Afghanistan

動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=aHx3k9NhIEM

アムダリヤ遺跡 フロルの遺宝

Afghanistan: Hidden Treasures From The National Museum

https://www.pinterest.cl/pin/818036719790758508/

第二章―アジア源流「〝幻の河オクサスから世界は始まった〟という物語」 その9

 LAIT
●BMACはプロトゾロアスター教:「アーリア人の故地」か?
そして今、ここで世界の考古学者、歴史学者言語学者らを巻き込んで、紀元前二千年前に遡り、世界史の始まりに関わると注目されている遺跡の発掘が行なわれている。
バクトリア・マルギアナ考古学複合」(BMAC)と呼ばれている。インドでバラモン教(のちのヒンズー教)社会を構成したインド・アーリア人及び東イラン(今のアフガニスタントルクメニスタンウズベキスタン)でゾロアスター教を形成したイラン・アーリア人がまだ一緒に生活していた時代「インド・イラン共通時代」、「アーリア人の故地」に関わる遺跡群ではないかとして注目されている。
ラピスラズリ「錫」の道
今、ヒンズークシュ北部、アムダリア川流域で二つの遺跡が注目されている。
シルクロードの古代都市」に紹介されているが、一つ目がアムダリア川の上流、コクチャ川とピャンジ川の合流する辺りで発見されたショルトウガイ遺跡と、二つ目がアムダリア川に注ぐクンドゥス川のバグラン付近で発見されたフロル遺跡である。ショルトウガイ遺跡は、ハラッパ―遺跡と関わり深いインダス文明の最北の都市遺跡。

フロル遺跡は、大量の金、銀を出土したバクトリアの富裕層の墓で、器面図柄からシュメール人のウル第三王朝末期に関わる遺物とされ、また同じバクトリアでは流出文化遺産として、典型的なシュメール文明の風俗画が描かれた金器も発見されていたことが紹介されている。

https://www.lait.jp/serial/serial_asiaseye415.html

シルクロードの古代都市――アムダリヤ遺跡の旅』

加藤九祚/著 岩波新書 2013年発行

砂漠の風に消えた古代遺跡群――青銅時代のアムダリヤ流域

4 ハラッパ―文明とメソポタミア文明 より

[フロル]

アムダリヤ(アラル海に注ぐ中央アジア最大の川)の岸辺から少し離れるが、アムダリヤ本流からそう遠くない地域でメソポタミア文明の遺物が発見された。1966年7月5日、アフガニスタン北部、バグランの南に位置するフロル村の郊外2キロメートル、ソヒ-アゾル渓流の流れる山中で現地農民たちによって金銀の容器が発見された。これは「フロルの遺宝」とよばれる。農民たちはこれを等分に分配するために、一部の容器を手斧で打割した。しかしこの噂は瞬時にして広まり、一部の理解者によって行政当局に報告され、バグランを通じてカーブル博物館に伝えられた。博物館からただちに専門員がフロル村へ派遣され、フロコシュータバという丘の上で、黄金遺物が出たとされる14x8メートルの墓を調査した。人骨は頭を北にして屈葬されていた。他の細かい遺物も見つかった。その結果、黄金違宝はバクトリア貴人の墓の埋葬品であったと考えられている。
専門員がここで入手したのは金器5個と銀器7個であり、重さにして金器が940グラム、銀器が約2キログラムであった。容器の表面は十字形などの幾何学的文様と雄牛、イノシシ、樹木、鳥、ヘビの図文が彫刻、叩き出しなどの技法でレリーフされていた。雄牛の一部は人間の顔をして、長いひげを生やしていた。
この発見は専門家たちの間で大きな論議を呼んだ。2007年にアフガニスタン政府の協力のもとにフランスのギメ博物館が主催した「隠されたアフガニスタン」(Hidden Afghanistan)と題する展覧会のカタログに寄せたジャリジ(Jean-Fransios Jarrige)の論文には大要つぎのように書かれている。5個の黄金のボウル(椀)のうち3つが再発見され、今回その全部が展示された。銀製ボウルの現在の所在は不明である。アフガニスタン国立博物館によれば、その1個は文化・情報省にあり、他はロンドンのアート・マーケットに出された。
パネルにある十字形の幾何学文様はバルチスタンのクエッタ、パキシタン、トルクメニスタンナマズガ3号、とりわけアフガニスタン西部ムンディガク遺跡出土の前2700ー前2600年の土器の図文に見られるという。クエッタ様式に似た一部の幾何学文様はテペーフロル発見の他の円筒形の小さなボウルに見られる。一部の研究者は、このような類似によって、テペーフロルのボウルの一部が前2500年よりもわずかに前であることを示すという。
しかし今ではこれらが前2200ー前1800年の年代枠に入ることが明らかになった。これは主なイラン人の移住の次の時期である。研究の結果、今ではこれらの文化的接触がウル三期やイシンーラルサ朝(前2010年頃)におけるメソポタミアの経済的繁栄と関係のあることがわかった。

アムダリヤ流域やインドとイランの国境地域における富裕グループの出現は商業的、文化的交換のネットワークの結果であると解すべきとされる。

じじぃの「新コロナ後の日本経済再生・ファーウェイ排除・脱中国は可能か?プライムニュース」

5G・CHINA: Chinese 5G and tech companies are impacting on our daily lives

動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=W9xRS2ZMDYM

China has been a pioneer next generation mobile network.

プライムニュース 「脱・中国は可能か 米圧力&香港で包囲網 日本の経済安保戦略は」

2020年7月3日 BSフジ
【キャスター】長野美郷、反町理 【ゲスト】斎藤健(元農林水産大臣 自由民主党衆議院議員)、細川昌彦(中部大学特任教授)、朱建榮(東洋学園大学教授)
トランプ政権による“ファーウェイ排除”の規制強化など、世界的なコロナ禍の中でも厳しさを増す「米中対立」。アメリカによる安全保障上の懸念を理由とする“中国外し”は、軍事面のみならず中国のハイテク産業など幅広い業種へと広がりを見せ、日本を始めとする西側諸国に連携を求める圧力も高まっている。
新型コロナウイルスの感染拡大で分断された、サプライチェーンの再構築を図る上で、日本は「経済安全保障」という新たな観点を、どのように国家戦略として組み込むべきか?経済再生と両立し得る【脱・中国】の方策を検証する。
●「香港国家安全法」の波紋 習近平の思惑×国際的圧力
今週水曜日、中国が香港国家安全維持法を施行し、現地の混乱ぶりなど国際社会の注目が集まっている。

香港国家安全維持法をめぐる動き

6月18日 中国・全人代常務委員会が法案審議を開始。ここから国際社会で懸念する動きが続く。
  25日 米国議会上院が対中制裁法案を全会一致で可決。法案には資産凍結や金融取引の規制などが盛り込まれ、下院での修正を経て改めて全会一致で成立。
  26日 米国政府が中国当局者へのビザの発給制限を発表。
  29日 米国政府が香港に向けた軍民共用の技術輸出に関する特例措置を停止。
  30日 日本、英国、フランス、ドイツなど27ヵ国と国連が「一国二制度を脅かす法案について再検討を求める」という共同声明を発した。中国・全人代常務委員会が全会一致で法案を可決。
7月1日 中国は国家安全維持法を施行し、新法適用で逮捕者が出ている。
朱建榮、「去年10月の時点で中国は法を制定しようと四中全会で検討した。恐らく3月の全人代で制定しようとした。コロナの影響で全人代が5月末にずれ込んだ。今年9月に立法会の選挙があるが、香港の去年後半からの混乱がさらに続くと中国はどうすればいいのか。今の香港の警察は力が弱い。去年後半から地下鉄、民用施設、空港の占拠をやった時に最後に中国自身が武装警察などを出さざるをえない。法がないまま出すとなるとロシアのクリミア占拠以上に世界各国から批判される。それだったらそれより前に批判は覚悟の上で法律を先に作って予防線を引いた。民主化を叫ぶのだったら許せるが独立の旗を掲げるのは許せないとなった」
細川昌彦、「民主化を叫ぶ彼らは中国人としてではなく香港人として行動をとっている。これからは香港の優秀な人材が海外に移ってしまうのではないか」
●トランプ圧力×習近平戦略 日本「脱中国」の現実味は

米国の”新たな制裁”

6月30日、米国・ポンペオ国務長官は「トランプ大統領の指示に基づき、香港に特別に与えてきた措置を一部の例外を除いて廃止していく」と発表。
7月1日、新疆ウイグル自治区において17の産業分野で強制労働を確認し、これらの製品(電子部品、繊維、アパレル、食品など)に関与しないよう求めた。
朱建榮、「米国以外にヨーロッパなどが同じことをやっているかというとやっていない。おそらく中国も覚悟の上でやったと思う」
細川昌彦、「6月29日に米国が香港への軍民共用の技術輸出に関する特例措置を中国本土並みにするというのは相当きつい話。よく香港経由の輸出入が大した量ではないという報道があるが本質を見ていない。量の問題ではなく、そこを通じてハイテクの製品、技術の調達拠点になっている機能を忘れてはいけない。技術の調達拠点が失われることは大きい」
●米中「攻防激化」の主戦場 半導体めぐる攻防に日本は
昨年からトランプ政権が制裁対象としていた中国の通信機器メーカー・ファーウェイについて、今年5月に新たな制裁拡大の動きがあった。

半導体めぐる動き

米国商務省は5月15日、第三国が米国製の設備で製造した半導体を輸出管理措置の対象に追加すると発表。
これを受けて、ファーウェイに主要な部品を提供していた台湾の半導体メーカー・TSMC(台湾積体電路製造)はファーウェイからの新規受注をストップすると発表。さらに、米国での新工場設立を発表。
細川昌彦、「半導体が米中の対立の主戦場になっている。通信を支えるものは半導体なのです。中国自身もそれを分かっているので、『中国製造2025』の中でも10大産業で一番クリティカルなのは半導体半導体自給率を2020年には40%、2025年には70%に高めていこうとしたのは一番クリティカルな部分を米国に依存していることに対する危機感を中国は持っているから。このコロナ騒ぎでも武漢にある半導体工場だけはストップさせなかった」
反町理、「台湾・TSMCは米国の製品を使っているから米国の規制対象になるのではないか」
細川昌彦、「ファーウェイに納品しているのは対象になるが、汎用品は対象にならない」
●米中対立で岐路に立つ 日本の「経済安全保障」
半導体をめぐる中国と米国の攻防について聞く。
細川昌彦、「米国がファーウェイに対して部材を売らないことにした法律があるが抜け穴があるという指摘がある。TSMCからファーウェイに行っている。その規制の仕方を喧々諤々議論した。米国の部品やソフトウェアを全体の25%以上使ったら米国の規制がかかるという法律だったが、25%までなら使っていいんだということが抜け穴になっているから10%に下げようかという議論もあった。それはダメだとトランプ大統領も拒否した。違うやり方として今回工夫して米国の設備を使ったもの、米国のソフトウェアを使ったものは米国の直接的な製品とみなして規制するという法律になった。法律を出した時に、これまで発注したものはいいということで、90日猶予されている。ファーウェイもこの動きを察知していたので、ものすごい駆け込み発注をしている。米国の法律は台湾・TSMCだけが対象になっているのではなく、韓国・サムスンも規制対象になっている」
朱建榮、「米国は韓国や台湾に相当厳しくしようとしている。しかし皆がその通りに米国の話を聞くかは別」
細川昌彦、「論理的にはTSMCなどに連なって間接的に影響を受ける部分と、直接的に他の部材、ファーウェイの供給で影響を受ける部分と2つあるということで日本のメーカーは必死にチェックして、経営問題になるのでこれに少しでも抵触すると米国に虎の尾を踏むことになりかねないと危機感を持って社内をチェックしていると思う」
斎藤健、「トヨタで事故があってリコールがあった時、相当米国のライバル会社に仕掛けられた。そういう事が往々にしてある。競合している米国の会社を使って日本を叩こうと思って細かくこうすれば引っ掛けられるというようなことをやっている可能性もある」
細川昌彦、「今の状況は製造設備1つとっても日本、米国、ヨーロッパのメーカーが棲み分けをしている。かつてのように日本を叩いておいて俺たちが取るというような構図には今の所なっていない。日米欧の連携が取れることの方が大事。ヨーロッパも大事なプレイヤー」

半導体産業のエコ・システム

エコ・システムとは、設計、製造、部料、設備を含め、全てを国産でまかなうサプライチェーンのことを指す。
半導体を作る半導体の製造設備は日本、米国、ヨーロッパに依存しているが、中国はこのエコ・システムを国産する方針に変えて莫大な投資をし始めている。
朱建榮、「ヨーロッパというのは5G、半導体を含めて日本、アジアと米国に遅れた。米中の争いは今日本にとってチャンス」
細川昌彦、「今のヨーロッパは相当対中警戒が強くなってきている。半導体の製造設備を見ればオランダも協力的にやっていると米国も評価していると思う。中国は今お金をかけて半導体の製造設備に3.2兆円の基金を作って投資していくと決めた。米国は半導体の製造について研究開発、設備投資を支援するため1兆円、2兆円規模の支援をする」
●「ファーウェイ製品排除」 米国主導対中戦略の足並み

米国政府が認定した“クリーンな通信会社”

日本:NTT 英国:O2 フランス:オレンジ 豪州:テルストラ 韓国:SKテレコム・KT インド:ジオ。
斎藤健、「中国に対して危機感を持っているということ、仲間を総動員して封じ込めようという強い姿勢の現れではないか」
細川昌彦、「米国らしい手法で、ファーウェイ製を使っていないと言う単純な割り切りでリストアップされた。これがどういう効果を発するかということは今明確ではない。信頼できるパートナーという概念を全面に出して色分けしていくということ」
朱建榮、「他の国を巻き込んで脅しもかけて中国を孤立させようとする。中国はなんとか他の国と組んで、特にヨーロッパ、日本、韓国を含めて、そこの争奪戦は続くと思う」
斎藤健、「この名前に挙がらなかったところはどうしたらいいのか考えるし、挙がったところは今後ファーウェイとは組みにくい」
細川昌彦、「5Gのファーウェイの戦いと半導体とはだいぶ構造が違うのは事実。半導体でいえばアドバンテージは日米欧連合にあり、それに対する焦りが中国にあるのは確か。日本は技術の強みがあるうちに中国との付き合い方、米国との付き合い方を初めてプレイヤーとして参加ができる」
サプライチェーン再構築へ 安倍政権の経済対策は
安倍首相の発言(3月5日・未来投資会議)「中国などから日本への製品供給が減少しサプライチェーンへの影響が懸念されている」「1国への依存度が高い製品の生産拠点について国内回帰やASEAN諸国などへの多元化を図る」。
緊急経済対策(20年度第1次補正予算)日本国内での生産拠点整備の補助金2200億円、ASEAN諸国での生産拠点複線化235億円。
斎藤健、「こういうリスクに備えて多元化していくことは当然の流れ。日本はぎりぎりまで在庫を持たない経営をしている。突然のリスクに備えてサプライチェーンだけでなく在庫問題も含めて企業も対応していかなくてはいけない時代になるだろう」
細川昌彦、「今回コロナで問題になったのは自動車部品、こういう日本にとって重要産業である自動車産業サプライチェーングローバル化して経済効率とリスク分散のトレードオフの関係の中にある2つの中で経済効率にウエイトを置きすぎていた。企業の見直しの中で今回の政府の補助金も背中を押す意味で大きな一歩。こういうものと、安全保障上のものについてどう確保するのかと。中国が経済的手段で外交安全保障を達成しようと繰り返しやっている、何らか安全保障上の手当をしておかないと危ない。輸入に頼る戦略物質をいかに日本が安定供給を図るのか。半導体のような戦略物質を有志国のなかでどうやってサプライチェーンを確保するのかと言う観点も大事。いま3つのカテゴリーを申し上げたがこれは全部物によって違う。分野別に戦略を立てて議論するのが今必要な経済安全保障」
●“コロナ後”世界経済の行方 米中「切り離し」攻防の波紋
朱建榮、「チャイナプラスワンと言う議論は10年、20年前から始まっている。医療物資や医薬品製造などは国内で優先にすることはよくある」
細川昌彦、「日本の韓国の措置についていえば、論拠を示した上で法治国家として法律に則ってやっていると共に国際的な輸出管理のルールに従ってやっている。それに対してレアアースは日本も提訴したが、明らかにWTO違反で日本は勝った。明らかに違反なことを堂々とやるというのは明らかに意味が違う。今の中国のやり方を見ていると全く関係のない物を持ち出している事が問題。中国マーケットの大きさは日本企業においても大事だが、分野を頭に置かなければいけない。分野をごちゃまぜにして議論せず安全保障上で機微に渡る分野は限られている。経営者自身も仕分け作業を安全保障の感覚を研ぎ澄ませて持たなくてはいけない」
斎藤健、「ルールをきちんと作っていくことが重要。ルールがないまま大きな国がやりたい放題やった結果として第二次世界大戦に行ってしまった。もう一度国際的にルールを守って秩序ある貿易秩序を作りましょうと。それを出来るのは日本だと思っていて安倍首相はそれをやろうとしている」
●米中対立で岐路に立つ日本の経済安全保障
細川昌彦、「米中がやりたい放題やっている中で、ミドルパワーの国、日本がヨーロッパ、オーストラリア、インド、カナダ、こういうところと価値観を共有するタッグを組んでルールメイキングで主導権を発揮することは大事な1つの領域。これをやりながら日本は日本としての安全保障の観点で、キラー部材を常に持ってレバレッジをきかせるなど、存在感を持って重要な戦略物質の中で互してやっていくプレーも合わせてやっていかなければいけない。備蓄を増やしたり国内回帰もやっていかなければいけない。この両方を持っていないとルールメイキングで主導権を発揮することができない」

【提言】 「日本がとるべき中国との距離感」

斎藤健 「筋と環」
 日本はきちんと主張する国であること。仲間作りをしながら中国と向き合う。
朱建榮 「永遠の隣人」
 これは安倍総理が去年のG20で言った言葉。
細川昌彦 「ミドルパワーの連携」
 日本がヨーロッパ、インド、カナダなどと連携していくことが大事。
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