プラスチックの海
ツバル
「温暖化で沈む国ツバル」の真相は?島国が直面する温暖化の影響とは
2024/04/30 GREEN NOTE
ツバルという国をご存じでしょうか。
ツバルは太平洋に浮かぶ小さな島国で、温暖化による影響で水没が危惧される国です。
しかし、中には「ツバルが水没するのは温暖化によるものではない」とする意見もあります。
果たしてどちらが正しいのでしょうか。
そこで今回は、ツバルが直面している現実や、温暖化を食い止めるために私たちが取れる簡単なアクションを紹介します。
https://green-note.life/7439/
1章 博士が愛した寄生虫 より
「人新世」に生きる
人新世。「じんしんせい」「ひとしんせい」などと読む。ノーベル賞を受けたオランダの化学者が提唱した。
核実験で生じた放射性元素や石油を燃やした際に生じるすす、プラスチックなどが地質から検出される時代を指す。言い換えれば「人類が環境を大幅に改変した時代」。
頭では理解できてもピンとこないとすれば、それは影響が、まず小さい部分に表れるからだろう。それを静かに始まり、じわじわと広がる。そして多くの人が気づいた時には、取り返しのつかない事態に立ち至る。
南太平洋に浮かぶサンゴ礁の国・ツバルは、そんな最前線の1つだ。
ツバルの国土面積は9つの島を合わせて26km2。平均標高は約2mで、「地球温暖化によって最初に沈む国」とも言われる。いまでも潮が満ちると、サンゴ質の地面からふつふつと湧き出してくる。
この小国に別の危機が迫っていることを、ドキュメンタリー映画「プラスチックの海」で知った。
ツバルにはごみ処理施設がない。第二次大戦中、米軍が滑走路を造るための建材としてサンゴを掘り出した巨大な穴がごみ捨て場だ。生活ごみからバイク、家電まで、あらゆる廃棄物がここに放り込まれる。
映画では、汚水か海水か分からない水たまりに膝までつかりながら、子どもたちがごみで遊ぶ光景が映し出される。この島に生まれ育った女性の述懐。「昔は美しい国だった。プラスチックが増え、天国は破壊された」
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78年に独立国となったツバルは当時、自給自足を基本とした生活様式が西欧風に移行する過程にあった。ごく限られた土地で栽培されていたタロイモなどは塩害で収量が減少。食料を輸入に頼った結果、住民はごみ問題と同時に肥満、生活習慣病に悩むようになった。
海面上昇で地下水にも塩分が混じり始め、生活用水は雨水と輸入が頼りだ。現代文明と温暖化が、ツバルの持続可能性を脅かしていた。三村信男さん(地球環境工学)はこれを「『宇宙船地球号』のミニチュア版」と喩える。
事実、ツバルは地球が直面する事態の縮図そのものだ。限りある資源を使い尽くす一方、自然に返らないプラごみが環境を損ねる。海面上昇は、人口が集中する海沿いの都市を安心して住めない場所に変え、やがて住民は移住を迫られる――。
遠い日本で何ができるだろうと途方に暮れる。温暖化をわが事として受け止めることが、まず最低限の責任だ。
46億年の地球史を、地質の特徴から地質年代でいえば、私たちは新生代第四紀の完新世に生きている。
続く新たな時代を「人新世」と名付けることも必要ではないか。地球の有限性を省みない人類のわがままを、教訓として継承するためにも。
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じじぃの日記。