じじぃの「歴史・思想_429_人新世の資本論・はじめに・SDGs」

二度と戻れない過去-The Anthropocene Reviews

動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=YbgnlkJPga4

SDGs(持続可能な開発目標)とは何か? 17の目標をわかりやすく解説

一般社団法人イマココラボ
SDGsとは「Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)」の略称です。
そもそもどう発音するかというと、SDGsエス・ディー・ジーズ)です。時々エス・ディー・ジーエスと読まれる方がいらっしゃるのですが、最後はGoals(ゴールズ)の略です。
SDGsは2015年9月の国連サミットで採択されたもので、国連加盟193か国が2016年から2030年の15年間で達成するために掲げた目標です。
https://imacocollabo.or.jp/about-sdgs/

サンデーモーニング

2020年9月20日 TBS
【司会】関口宏 【サブキャスター】橋谷能理子 【パネリスト】寺島実郎田中優子、浜田敬子、涌井雅之、松原耕二
サンデーモーニング スタッフノート note

風をよむ “連鎖する世界の課題 SDGs

米国・カリフォルニア州西海岸の山火事。
焼失面積は東京都の面積の9倍。
カリフォルニア州知事は「地球温暖化対策も必要だ」。
トランプ大統領は「そのうち涼しくなる」と語る。
民主党大統領候補・バイデンは、「“気候放火犯”があと4年もホワイトハウスにいることになれば米国に何度こうした火災が襲いかかっても不思議ではない」と語る。
https://note.com/tbsnews_sunday/n/ndce436cf39fc?magazine_key=m26cde3a1301e

『人新世の「資本論」』

斎藤幸平/著 集英社新書 2020年発行

はじめに――SDGsは「大衆のアヘン」である! より

温暖化対策として、あなたは、なにかしているだろうか。レジ袋削減のために、エコバックを買った? ペットボトル入り飲料を買わないようにマイボトルを持ち歩いている? 車をハイブリッドカーにした?
はっきり言おう。その善意だけなら無意味に終わる。それどころは、その善意は有害でさえある。
なぜだろうか。温暖化対策をしていると思い込むことで、真に必要とされているもっと大胆なアクションを起こさなくなってしまうからだ。良心の呵責(かしゃく)から逃れ、現実の危機から目を背けることを許す「免罪符」として機能する消費行動は、資本の側が環境配慮を装って私たちを欺くグリーン・ウォッシュにいとも簡単に取り込まれてしまう。
では、国連が掲げ、各国政府も大企業も推進する「SDGs」(持続可能な開発目標)なら地球全体の環境を変えていくことができるだろうか。いや、それもやはりうまくいかない。政府や企業がSDGsの行動指針をいくつかなぞったところで、気候変動は止められないのだ。SDGsはアリバイ作りのようなものであり、目下の危機から目を背けさせる効果しかない。
かつて、マルクスは、資本主義の辛い現実が引き起こす苦悩を和らげる「宗教」を「大衆のアヘン」だと批判した。SDGsはまさに現代版「大衆のアヘン」である。
アヘンに逃げ込むことなく、直視しなくてはならない現実は、私たち人間が地球のあり方を取り返しのつかないほど大きく変えてしまっているということだ。

人類の経済活動が地球に与えた影響があまりに大きいため、ノーベル化学賞受賞者のバウル・クルッツェンは、地質学的に見て、地球は新たな年代に突入したと言い、それを「人新世(ひとしんせい)」(Anthropocene)と名付けた。人間たちの活動の痕跡が、地球の表面を覆いつくした年代という意味である。

実際、ビル、工場、道路、農地、ダムなどが地表を埋めつくし、海洋にはマイクロ・プラスチックが大量に浮遊している。人工物が地球を大きく変えているのだ。とりわけそのなかでも、人類の活動によって飛躍的に増大しているのが、大気中の、二酸化炭素である。
ご存知のとおり、二酸化炭素温室効果ガスのひとつだ。温室効果ガスが地表から放射された熱を吸収し、大気は暖まっていく。その温室効果のおかげで、地球は、人間が暮らしていける気温に保たれてきた。
ところが、産業革命以降、人間は石炭や石油などの化石燃料を大量に使用し、膨大な二酸化炭素を輩出するようになった。産業革命以前には280ppmであった大気中の二酸化炭素濃度が、ついに2016年には、南極でも400ppmを超えてしまった。これは400万年ぶりのことだという。そして、その値は、今この瞬間も増え続けている。
400万年前の「鮮新世」の平均気温は現在よりも2~3℃高く、南極やグリーンランドの氷床は融解しており、海面は最低でも6m高かったという。なかには10~20mほど高かったとする研究もある。
「人新世」の気候変動も、当時と同じような状況に地球環境を近づけていくのだろうか。
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近代化による経済成長は、豊かな生活を約束していたはずだった。ところが、「人新世」の環境危機によって明らかになりつつあるのは、皮肉なことに、まさに経済成長が、人類の繁栄の基盤を切り崩しつつあるという事実である。