Anthropocene - Official U.S. Trailer
サンデーモーニング
2020年11月29日 TBS
【司会】関口宏 【サブキャスター】橋谷能理子 【パネリスト】姜尚中、目加田説子、高橋純子、荻上チキ、松原耕二
サンデーモーニング スタッフノート note
風をよむ 「SDGsと資本主義」
オゾン層破壊の研究でノーベル賞を受賞したパウル・クルッツェン氏が提唱した「人新世(ひとしんせい)=アンスロポシーン」という言葉。
人間の経済活動が、地球環境に壊滅的影響を及ぼすようになってしまった新時代を表す言葉として、注目を浴びています。
上位1%の超富裕層は下位50%の人々の二酸化炭素の累積排出量の2倍を排出しているというデータが発表されています。
SDGs(持続可能な開発目標)は本来、「いま、正しい選択をすることで、"将来の世代"の暮らしを持続可能な形で改善することを目指す」ものとされています。
どういう選択をし、どういう形でこの世界を将来の世代に渡すのか。そのための知恵が今、私たちには求められています。
https://note.com/tbsnews_sunday/n/n23604739ef6d
『私たちが、地球に住めなくなる前に 宇宙物理学者から見た人類の未来』
マーティン・リース/著、塩原通緒/訳 作品社 2019年発行
序章 より
どこかに宇宙人がいて、この地球を45億年間ずっと眺めてきたと想像してみよう。彼らはいったい何を見ただろう。そのとてつもなく長い時間の大半をかけて、地球の外観はゆっくりと、少しずつ、変わっていった。大陸が移動し、氷が張っては解け、生物の種がつぎつぎと生まれては進化し、絶滅した。
だが、地球の歴史のほんのわずかな展開――この1万年――に、植生パターンはそれまでよりもずっと速く変化した。これは農業が始まったしるしで、のちのは、都市化が始まったしるしだった。人間の数が増えるにしたがって、変化の速度はいっそう増した。
さらに急速なペースで進んだ変化もあった。大気中の二酸化炭素の量は、わずか50年のうちに異常なほど速く増えてきている。そして、また別の新奇なことも起こった。地表から発射されたロケットが生物圏を完全に脱したのだ。あるものは地球の周回軌道に乗せられ、あるものは月へ、あるものは別の惑星へ飛び立った。
想像上の宇宙人は、いずれ地球の気温がしだいに上昇し、太陽が燃え上がって死にいたる約60億年後に地球の最期が来ることも知っているだろう。だが、宇宙人は予測できていただろうか――地球がまだ生涯の半ばにあるにもかかわらず、突然の、人為的な「発熱」が起こって、手に負えないほどの速さで進んでいることを。
地球をずっと眺めつづける宇宙人は、次の世紀に何を目撃するだろう。最期の痙攣と、それに続く沈黙か? それとも地球の生態系は安定するのか? あるいは地球から発射されたロケット艦隊が新しい命のオアシスをどこか別のところに生み出すのか?
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中世のヨーロッパ人にとって、宇宙論のすべては――天地創造から黙示録まで――わずか数千年の期間に収まっていた。だが今や、私たちはその100万倍もの期間を思い描くことができる。とはいえ、そのとてつもなく広がった視野で見ても、今世紀は特別だ。私たち人類というひとつの生物種が、この惑星の未来を掌中にできるほど権限と支配力を持った初めての世紀なのである。
私たちは今、一部の地質学者が「人新世」と呼ぶ時代に突入している。
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今や人間はとてつもなく数が増え、これらが刻みつける集合的な「足跡」により、生物圏全体を変容させるどころか、ことによっては荒廃させることまでできるようになっている。世界の人口が増え、人間の要求が多大になるにつれ、自然環境にはますます大きな負荷がかかる。もしも「臨界点」を超えてしまえば、人間の行動が危険な気候変動や大量絶滅をもたらしかねない。その結果、未来の世代には枯渇した、痩せ衰えた世界が残されることになる。だが、そうしたリスクを減らすにあたって、テクノロジーにブレーキをかける必要はない。むしろ逆に、自然に対する理解をもっと深めて、適切なテクノロジーをいっそう迅速に配備する必要がある。