じじぃの「科学・地球_412_始まりの科学・太陽の始まり」

NASA が大規模な太陽フレアを捕捉: 日本とロシアで停電を引き起こす | Oneindia ニュース スペース

動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=V42Ch8aijbA

『【図解】始まりの科学―原点に迫ると今がわかる!』

矢沢サイエンスオフィス/編著 ワン・パブリッシング 2019年発行

パート1 太陽の始まり――人類と地球の運命をにぎる星 より

●2018年の巨大な太陽フレア
「これは本当の話か?」
2018年11月、NASAアメリカ航空宇宙局)が、かつて誰も見たことのない恐ろしいばかりのビデオ動画を発表した。それは、太陽観測衛星(SDO)が地球に送ってきた超鮮明な4K映像300時間分を圧縮したもので、最近の太陽の、これまでに観測されたことのない激烈な表面爆発を生々しく捉えていた。
太陽表面の爆発は「ソーラーフレア(太陽フレア)と呼ばれ、太陽系の主である巨大な太陽の表面で頻繁に起こっている。この爆発は、太陽内部で生まれた数千万度Cという超高温のイオン(電気を帯びた粒子)や巨大なエネルギーを持つ光子が雲のようなプラズマの塊となり、宇宙空間へと噴出する現象である。こうして噴き出した太陽フレアは、太陽系宇宙に向かう宇宙の風(=太陽風)となり、何億kmもの距離を広がっていく。
地球上の人類にとっての問題は、この太陽風は光速に比肩するほどの超高速(秒速1400km以上)で宇宙空間に跳び出すこと、さらに地球を何十個も呑み込むほどの巨大な太陽フレアは地球の環境に破壊的な影響を与えるおそれがあることだ。
そのおそれは、幸か不幸か地球が太陽から近い距離にあるためいっそう高い。太陽フレアが放出した途方もなく強力な荷電粒子は太陽からわずか20分で地球に到達するので。発生したことが観測でわかってからでは逃げることも避けることもできない。地球上で大変なことが起こるにもかかわらずだ。

NASAアメリカ政府の警告
太陽フレアは何十年来、つねに監視の対象であった。なぜ単なる観測ではなく”監視”するのか? それは、このフレアが非常に巨大であった場合、地上の人間活動に重大な影響を及ぼすからだ。今回(2018年)の太陽フレアはかつて観測されたことのないほどのスケールであり、そのためアメリカ政府は、「世界のメルトダウンを引き起こしかねない」「近いうちに全世界の電力供給網を崩壊させる可能性がある」とする警告を出した。そこでは、この太陽フレアが、世界の電力供給網の崩壊によって人類文明をいっきに石器時代へと引き戻すおそれがあるとまで記している。まるでハリウッドのホラー映画が現実化するかの警告である。
本稿のテーマは「太陽の始まり」だが、このような警告から始めることにしたのは理由のあることだ。それは、太陽が地球上の生物の日々の営みを支える母のごとき存在であるだけでなく、ときには人類文明の比類なき破壊者になる得ることを知ってから始めたほうが、太陽誕生の秘密にも迫りやすいからである。

●1秒ごとに原爆8兆個分のエネルギー
さて地球上のわれわれから観測すると、太陽は完全に丸い光の球体であり、その表面はきわめて滑らかのように見える(とはいえ、決して軽い気持ちで肉眼で見てはいけない。濃いスモークガラスなどを通して見ないと、強烈な光によって網膜損傷や失明を引き起こすおそれがある)。
だがこれは誤りだ。不透明なガス層からなる太陽表面(光球)は中心部よりはるかに低温だが、それでも6000度Cの超高温であり、巨大なスケールででこぼこしている。これは、前述の太陽フレア黒点が不規則に生じたり消えたりしているためだ。
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太陽の放出するエネルギーがごくわずかでも増えたり減ったりするだけで、地球上は炎熱地獄になったり凍った雪玉状態となって、たちまち多くの生物は絶滅しなくてはならない。

その影響力は、近年のテレビや新聞が「人間の放出する二酸化炭素による地球温暖化が深刻化して異常気候が……」などと空騒ぎしているレベルとはかけ離れている。