じじぃの「全身麻酔・痛みのない外科手術の時代へ!ケミストリー世界史」

全身麻酔で意識が失くなる理由がついに解明


全身麻酔で意識が失くなる理由が175年以上の時を経てついに解明(米研究)

2020年06月06日 エキサイトニュース
1846年、ボストンにあるマサチューセッツ総合病院において、世界で初めて”硫酸エーテル”を使用した「エーテル麻酔」による公開麻酔手術が成功した。
その謎に迫るためにアメリカ、スクリプス研究所の研究チームは、2014年にノーベル化学賞を受賞した超解像顕微鏡「dSTORM」を利用することにした。
脂質クラスターPIP2には、「TREK1」というカリウムイオンチャネルがある。
このことから、研究チームは、麻酔を吸い込むと、PLD2(ホスホリパーゼD2)を介してイオンチャネルが活性化されるために意識が消失すると結論づけた。
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ちなみに、記録に残されている中で、世界初の全身麻酔手術は、江戸時代の日本人医師、華岡青州が1804年に行ったものだ。
その際に使用したのは「通仙散」というチョウセンアサガオトリカブトなどの薬草を配合した薬で、取り扱いが難しく、非常に危険が伴うことから、華岡は通仙散を秘伝としたそうだ。
https://www.excite.co.jp/news/article/Karapaia_52291492/?p=4

『ケミストリー世界史 その時、化学が時代を変えた!』

大宮理/著 PHP文庫 2022年発行

第12章 資本主義から帝国主義へ より

重商主義、そして産業革命による工業社会の到来は、資本主義というシステムを発展させ、新しい市民階級=ブルジョワジー(資本家)と労働者を生み出しました。ブルジョワジーとはフランス語の「ブール」(町・都市)からきた言葉で、日本語なら「町人」のようなイメージです。シェルブールストラスブール、ドイツだとハンブルクなど、もとは同じ語源です。
ブルジョワジーによる議会が、政治の中枢になります。フランス革命の到来とともに、アメリカ合衆国に次いで、地球上に新しいステージとなる近代民主主義が生まれます。

1846年 エーテル麻酔手術――痛みのない外科手術の時代へ

●阿鼻叫喚の手術に光が射す
人類を苦しみから救った技術の1つが麻酔です。麻酔が発明されるまでは壮絶な時代でした。手術では、まず患者を気絶させるために木槌(きづち)で頭をたたいたり、外科医は患者の絶叫に動じないよう、手術前にウイスキーを1瓶全部飲んでくるような指示がなされたりしていたのです。
阿鼻叫喚の手術が嫌で、手術前に自殺する人もいたほどでした。また、痛みを和らげるために使ったアヘンがもとで中毒になり、廃人になる人もいました。
1844年、アメリカ・コネチカット州ハートフォードのホーレス・ウェルズという歯科医が、当時、流行の亜酸化窒素(N2O)のガスを吸ってハイになるアトラクションを観ていたときのことです。彼は、亜酸化窒素を吸って転げまわった人が傷を負いながらも終始ニコニコしているのを見て、このガスは麻酔に使えると直感しました。
さっそく、亜酸化窒素を化学者から入手し、みずから亜酸化窒素を吸引すると、自分の抜歯を友人にしてもらい、無痛の抜歯手術に成功しました。
そして、1845年、マサチューセッツ総合病院で多くの医師の前で抜歯手術を行いましたが、亜酸化窒素の量が十分ではなかったため麻酔はうまく効かず、詐欺師だと中傷されました。
その後、ウェルズは麻酔研究にのめり込み、クロロホルムという宅品の中毒になってみずから命を絶ちました。

エーテル麻酔の手術が大成功
かつてウェルズの弟子だった歯科医ウイリアムモートンは、「麻酔こそ巨万の富を生み出す新しいビジネスになる!」とウェルズのノウハウをもとに、新しい麻酔を模索します。そして、ボストンにある化学研究所のジャンクション所長から、ジエチルエーテルがいいとアドバイスをもらいました。
ジエチルエーテルは、エタノール濃硫酸を加熱して簡単に得られる液体で、沸点は約34℃、体温ですら沸騰してしまう液体です。人肌に触れるとすぐに蒸発して消える高い揮発性が、古代ギリシャにおける天空(宇宙)を満たしている神聖な物質(エーテル)が天空に帰っていくさまに連想させたので、「エーテル」と名づけられました。
昔は、エーテルという神聖な物質があるというのが常識で、20世紀までは、電磁波もエーテルを伝わっていくものと思われていました。
モートンは、ガラス製の吸引器の中にジエチルエーテルを染み込ませた海綿のスポンジを入れて、患者に吸引させると完全に意識がなくなり、全身麻酔で手術ができることを見出します。
1846年、マサチューセッツ総合病院エーテルによる全身麻酔のもと顎(あご)の腫瘍の除去手術を行って大成功をおさめ、執刀医も麻酔の効果を絶賛しました。この場所は、現在でもエーテルドームといわれて残っています。

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どうでもいい、じじぃの日記。
ある緩和ケア病院で、末期のがん患者に対し調査が行われた。
認知症を発症していない患者は、とにかくがんの痛みを和らげる薬を要求したが、認知症を発症している患者はほとんど薬の要求がなかった。
まあ、これをもって認知症の人にも救いがある、とはならないとか。
つい2、3年前まで、全身麻酔がなぜ効くのか分からなかったが、そのメカニズムが解明された。
まあ、認知症と麻酔薬はどこかでつながっているかもしれない。