じじぃの「科学・地球_178_人類宇宙に住む・火星・エデンの惑星」

WATCH LIVE: NASA's Perseverance rover landing on Mars

動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=6A_j8X2Wgoo

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米映画『オデッセイ』で中国がNASAに助け船=“中国の存在感”は高まるばかり―「何でここで“敵対国”が…」の違和感も

2016年3月27日 Record China
話題の米ハリウッド映画『オデッセイ』を見ていて突然「中国国家航天局」が出てきたのには驚いた。
しかも、窮地に陥ったNASAを支援する救世主としての登場だった。中国の存在感は、現実の世界同様、映画の世界でも確実に高まっている。写真は同映画のパンフレット。
https://www.recordchina.co.jp/b131955-s0-c30-d0053.html

人類、宇宙に住む 実現への3つのステップ

ミチオ・カク(著)
地球がいずれ壊滅的なダメージを受けることは避けがたく、人類は生き延びるために宇宙に移住する必要がある。
本書は世界的に高名な物理学者が、1)月や火星への移住、2)太陽系外への進出、3)人体の改造や強化、の3段階で宇宙の進出の方途を示す。NASAイーロン・マスクジェフ・ベゾスらの宇宙開発への挑戦を追いながら人類の未来を見通す、最高にエキサイティングな一冊!
第Ⅰ部 地球を離れる
 第1章 打ち上げを前にして
 第2章 宇宙旅行の新たな黄金時代
 第3章 宇宙で採掘する
 第4章 絶対に火星へ!
 第5章 火星──エデンの惑星
 第6章 巨大ガス惑星、彗星、さらにその先
第Ⅱ部 星々への旅
 第7章 宇宙のロボット
 第8章 スターシップを作る
 第9章 ケプラーと惑星の世界
第Ⅲ部 宇宙の生命
 第10章 不死
 第11章 トランスヒューマニズムとテクノロジー
 第12章 地球外生命探査
 第13章 先進文明
 第14章 宇宙を出る

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『人類、宇宙に住む 実現への3つのステップ』

ミチオ・カク/著、斉藤隆央/訳 NHK出版 2019年発行

第Ⅰ部 地球を離れる

第5章 火星――エデンの惑星 より

「2015年の映画『オデッセイ』で、マット・デイモン演じる宇宙飛行士は、究極の課題に直面する。荒涼として空気のない凍てつく惑星で、ひとりで生き延びるという課題だ。運悪く仲間に取り残されてしまった彼のもとには、何日かもちこたえるだけの物質しかなかった。彼は救出ミッションの到着までもちこたえるべく、ありったけの勇気を奮い起こし、専門知識を総動員する必要に迫られた。
この映画はリアリティにあふれていたので、火星移住者が直面しそうな困難を人々に味わわせてくれた。第1に、激しい砂塵嵐がある。これはベビーパウダーのように細かい、赤いダストで惑星全体を覆い、映画では宇宙機をひっくり返しそうになる。大気はほぼ二酸化炭素からなり、大気圧は地球の1パーセントしかないため、宇宙飛行士は火星の大気にさらされると数分以内に窒息する。呼吸に十分な酸素を作り出すのに、マット・デイモンは与圧された宇宙基地のなかで化学反応を起こすことを余儀なくされる。
少しずつ、『オデッセイ』の宇宙飛行士は、火星に自分が生き長らえる生態系を作るのに必要な、骨の折れる手段を講じていく。この映画は若い世代の関心を引くのにひと役買った。

火星の海に起きたこと

地球の双子である金星が、太陽に近いせいで違う姿になったのなら、火星の進化はどう説明できるだろう?
重要なのは、火星が知用から遠いだけでなく、地球よりずっと小さいために速く冷えたということだ。火星のコアはもはや溶融状態ではない。惑星の磁場は、液体のコアに含まれる金属の運動で電流が流れて生じるが、火星のコアは固体の岩石でできているため、明確な磁場を生み出せない。おまけに、30億年ほど前の小天体の重爆撃が大混乱を招き、元の磁場も乱された。これにより、火星が待機と水を失ったわけが説明できる。太陽の有害な放射線やフレアから守ってくれる磁場がないため、大気は太陽風によって次第に宇宙へ飛ばされた。大気圧が下がると、海も蒸発したのである。
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火星と金星の劇的な対比は、地球の地質学的な歴史を理解するのに役立つ。地球のコアは、数十億年前に冷えていてもおかしくなかった。しかし今なお溶融状態なのは、火星のコアと違って、半減期が数十億年以上のウランやトリウムなど、高い放射能をもつ鉱物が含まれているからだ。火山噴火のとてつもないパワーや、大地震による惨害を目の当たりにするときはいつも、地球の放射能のコアがもつエネルギーが地表の現象を起こし、生命を養っているという現実に直面しているのである。
地球の奥深くにある放射線源が生み出す熱は、鉄のコアをかき回して磁場を生じさせる。この磁場が、太陽風で大気が吹き飛ばされるのを防ぎ、宇宙から届く死の放射線の進路を曲げる(これがオーロラとなって見える。オーロラは、太陽の放射が地球の磁場に当たって生じる。地球を囲む地場は、巨大な漏斗(じょうご)のように宇宙からの放射線を南北両極へ導くため、ほとんどの放射線は進路を曲げるか大気に吸収される)。地球は火星より大きいので、すぐに冷めなかった。地球はまた、巨大な小天体の衝突で磁場が壊されることもなかった。
ここで、火星をテラフォーミング(人類が居住できるよう、地球以外の天体の環境を人為的に改変すること)したあと、どうやって元の状態に戻らないようにするかという問題に立ち戻ろう。大胆な一手は、火星のまわりに人工的に磁場を作り出すというものだ。そのためには、火星の赤道のまわりに巨大な超電導コイルを設置する必要がある。電磁気の法則から、この超伝導体のベルトを作るのに要るエネルギーと素材の量が計算できる。だが、そんなとてつもない大事業は、今世紀中はわれわれには不可能だ。
火星の入植者は、この脅威を必ずしも喫緊の問題とは見なさないだろう。テラフォーミングで生まれた大気は1世紀以上、比較的安定しているはずなので数世紀かけてゆっくり調整すればいいのかもしれない。維持管理は面倒でも、人類が宇宙に作る新たな前哨基地にとっては小さな代償にちがいない。
火星のテラフォーミングは、22世紀の一大目標だ。しかし科学者は、火星の先も見据えている。なにより期待に胸を躍らされるのは、巨大ガス惑星の衛星かもしれない。木星の衛星エウロバや、土星の衛星タイタンなどである。巨大ガス惑星の衛星は、かつてはどれも似たような不毛の岩塊と思われていたが、今ではさまざまな間欠泉や海、峡谷、大気光[天体の大気が宇宙線や太陽光などによって発する弱い光]をもつ個性的なワンダーランドと見なされている。いまや、そうした衛星は人類の居住地と目されているのだ。