じじぃの「人新世・代表地にカナダの湖・クロフォード湖とは!日本経済新聞」

How did the research team collect sediment samples from Crawford Lake?

動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=KOjyxwAnRZs

INTO THE ICE - Trailer

動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=l8aoG0BCQ3Y

Crawford Lake


Stratigraphic signals of the last millennium in Crawford Lake


Canadian lake ground-zero for Anthropocene

Kuwait Times
“The sediment found at the bottom of the Crawford Lake provides an exquisite record of recent environmental change over the last millennia,” said working group chair Simon Turner, a professor at University College London.
“It is this ability to precisely record and store this information as a geological archive that can be matched to historical global environmental changes.” Those changes are currently on dramatic display: last week was the hottest globally on record. Out-of-control forest fires have been ravaging Canada for months, while the US and China are coping with unprecedented heat, flooding and drought at the same time.
https://www.kuwaittimes.com/canadian-lake-ground-zero-for-anthropocene/

BS世界のドキュメンタリー 「氷の世界に見る地球温暖化

2023年7月11日 NHK
地球温暖化の実態を解明しようと、氷に覆われた過酷な環境下のグリーンランドで調査を続ける科学者たちに同行。北極圏で今何が起きているのかを見てゆく。

グリーンランド各地の氷を覆っている雪の量の調査を続けているアメリカ人研究者。
生命のリスクとも隣り合わせの猛吹雪の中でテント暮らしをしながら、地道な調査を続けている。イギリスの研究者は、水の浸食で形成されたグリーンランド最大級の氷の縦穴の底を調べようと、ロープ一本で深さ175メートルまで降りてゆく危険な調査に挑む。
原題:INTO THE ICE(デンマーク/ドイツ 2022年)

研究者、「グリーンランドの大規模な氷の融解は予想以上の速さで進んでいる。もしかしたら、もはや手遅れなのかもしれない」
https://www.nhk.jp/p/wdoc/ts/88Z7X45XZY/episode/te/5N78XJ36Y3/

日本経済新聞』 2023年7月12日発行

「人新世」代表地にカナダの湖 国際学会、来年にも決定

国際学会「国際地質科学連合(IUGS)」の作業部会は11日、人類活動が地球環境に大きな影響を及ぼす時代「人新世(じんしんせい)」を20世紀半ばからの新たな地質時代とし、代表地にカナダ東部のクロフォード湖を選んだと発表した。今後、上部組織での審議を経て2024年にも最終決定する。

地質学者らでつくるIUGSは地質に残る人類活動の痕跡を検討する「人新世作業部会」を2009年に設置し、世界12の候補から代表地点を選ぶ作業を進めてきた。
人新世は英語で「アントロポセン」と呼ばれ、「人類の時代」を意味する。オゾンホールの研究でノーベル化学賞を受賞した故パウル・クルッツェン博士らが00年に提唱したことで知られる。

現代は地球史の中では直近の氷河期が終わった1万1700年前から続く完新世とされてきた。1950年ごろから世界人口が急増して人類の活動規模が大きくなり、地球環境に大きな影響を与えていることが地層の分析から分かってきた。

そこで作業部会は完新世の終わりを50年ごろとし、それ以降を新たに人新世とすべきだと提案した。人新世の始まりを最もよく示す地質学的な証拠として、カナダ東部オンタリオ州に位置するクロフォード湖の底にある堆積物を選んだ。

カナダ・ブロック大学などの研究チームがクロフォード湖の底にある堆積物の成分と積もった年代を調べた結果、化石燃料を高温で燃やした時だけ発生する「球状炭化粒子」という物質が50年代に急増していることが分かった。人類のエネルギー消費量が増えたことを示している。

また、放射性物質プルトニウムが50年ごろの地層で増えて、その後減った。世界各地で核実験が実施されてプルトニウムが大気に広がったが、その後の実験禁止によって放出されなくなったことが分かる。

クロフォード湖は五大湖の近くに位置し、面積は東京ドームの約半分のやく2.4ヘクタールと湖としては小さいが最も深い場所は水深24メートルに達する。湖の深い部分は塩分濃度がやや高く大型の生物が生存しづらい。堆積物が生物活動によって乱されにくい。当時の環境を年ごとにさかのぼって調べやすく、代表地に選ばれる要因になったとみられる。

新たな地質時代 大分・別府湾は落選

候補の1つだった大分県の別府湾は落選した。愛媛大学などの研究チームがごく微量のプルトニウムや、プラスチックごみが砕かれた「マイクロプラスチック」などを見つけた。

ただ、作業部会のメンバーらが候補地を比べた論文では、別府湾の地層に過去の地震などで堆積物が乱された層があることを指摘していた。こうした点が落選要因になった可能性がある。研究を主導した愛媛大の加三千宣准教授は「結果は残念だが、別府湾の地層からは人類活動の多くの痕跡を見いだせた」と話す。

人類活動の影響の大きさは様々な研究から明らかだ。イスラエルのワイツマン科学研究所は20年、人工物の総量が全生物の量に匹敵するまでになったと報告した。国連の気候変動に関する政府間パネルIPCC)は、人類活動が地球温暖化を引き起こしたことは「疑う余地がない」とする。

IUGS作業部会の議長を務める英レスター大学のコリン・ウォーターズ名誉教授は「人類活動の影響は良くも悪くも急に生じうる。その点では希望がある」と話す。愛媛大の加准教授は「人新世の基準地を決めることは、人類が今後どうすべきかを考える契機になるだろう」とみる。