じじぃの「カオス・地球_437_現代ネット政治=文化論・第5章・警戒センサーとしての陰謀論」

英国人記者が見た「日本特有の問題」ジャニーズ性加害問題がうつす日本【5月25日(木)#報道1930】|TBS NEWS DIG

動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?app=desktop&v=XQAV7oYvB3A

ジャニー喜多川による少年への性的虐待


ジャニー喜多川が顔を真っ赤にして逃げ出したあの日の記憶

2023.11.26 JBpress
 ジャニーさんは「僕は好きな子しか選べない」「好きな子にしか一生懸命になれない」と言っていました。また、ある時「僕が好きになったらどんな少年でもスターにしてみせる」と言ったこともありました。
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/78100?page=2

『現代ネット政治=文化論――AI、オルタナ右翼ミソジニー、ゲーム、陰謀論アイデンティティ

藤田直哉/著 作品社 2024年発行

安倍元首相銃撃犯・山上徹也の深層、「推し」に裏切られた弱者男性、インセル陰謀論者、負け組、オタクたちの実存の行方、ニセ情報の脅威、倍速で煽られる憎悪…。揺らぐ民主主義と自由。加速するテクノロジー、そこに希望はあるのか!ネットネイティブ世代の著者が徹底検証。

Ⅴ 積極工作と陰謀論政治 より

陰謀論政治

このような「物語兵器(原始的な狩猟・採集をする生活)」は、陰謀論という形をとって現れることもあり、イデオロギーとして政治的な影響力を持つこともある。本節では、マイアミ大学教授ジョゼフ・E・ユージンスキ『陰謀論入門』を参照し、陰謀論ポピュリズム政治の結びつきを考察する。

ユージンスキは、トランプを「陰謀論を用いて政治方針や政府の行動を正当化する大統領(159頁)と断定し、「トランプの陰謀論は(……)反主流派のアウトサイダーには熱狂する人たち――の心にうまく入り込んだ」(165頁)と言う。

警戒センサーとしての陰謀論
ユージンスキの議論が面白いのは、陰謀論を全否定はしないところにある。それは、脅威に対する警戒のセンサーであり、本当に脅威や陰謀がある場合もあり、健全な民主主義や権力の監視などと骨格みになっているものであると、僕は主張する。

陰謀論を、僕はこう定義する。
陰謀論とは、過去、現在、未来の出来事や状況の説明において、その主な原因として陰謀を挙げるものを指す。陰謀と同じく、陰謀論にも権力を持つ人々の意図や行動がかかわっている。そのため、陰謀論は本質的に政治的なものと言える。陰謀論は、何かを非難する見解であり、真実あるいは虚偽である可能性があり、また認識論的権威による公式な意見が存在する場合には、それと矛盾するものだ」。
「適切な認識論的権威がまだ調査を行っていない、あるいは結論に到達していないケースにおいて、真実を確認しないまま、これは陰謀であると主張するのも陰謀だ」(43頁)と定義される。

ここからの帰結として、陰謀論には有益なものもあり、民主主義社会において、必要かつ健全な懐疑を含むということになる。健全な懐疑なのか、そうではないのかを事前に区別することは難しい。そして、陰謀論の規制は、政府などに本当の陰謀の追求を規制させてしまうリスクがある。政府自体が陰謀論で駆動し死傷者が出た事例がある。「権力を持つ機関も、陰謀論を信じ、それに基づいて行動する。さらには危害を加えるために陰謀を企てることもある」(162頁)。

陰謀論を規制することの難しさを、私たちのよく知っている例をもとに考えよう。
たとえば、日本でも統一教会安倍晋三のつながりは、2チャンネルなどで頻繁に書かれていたことがある。しかし、それを見た多くの人は、怪しい陰謀論であり、ガセのようなものとして扱ってきたのではなかっただろうか。ジャニー喜多川による少年への性的虐待も同様である。しかし、「陰謀論」ではなく事実であった。
アメリカにおいて、UFOや宇宙人の目撃が多くされ陰謀論が蔓延しているエリア51なども、実際に軍の施設があり、様々な公開されない秘密が存在しており、それがUFOなどの陰謀論の下地になったと推測されるのと同じことである。

「大きな反響を呼ぶ陰謀論の対象とタイミングは、外国の脅威と国内の権力に基づいた戦略的論理に従うと主張する。これにより、陰謀論は脆弱な集団によって、認識された危険を管理するために使用される。
つまり陰謀論は、とくにセンシティブな分野を監視し、潜在的な攻撃に対する解決策を準備する早期警告システムと言える。根本的に、陰謀論は脅威の認識の一形態であり、恐怖心は基本的に相対的な力の変化によって引き起こされる。敗北と排除がその最大の誘因であるのだから、陰謀論は敗者のためのものである(この言葉は侮蔑的な意味ではなく、その特徴を述べるために用いている)」(150頁)。

その警戒センサーの過剰が暴力を生み自らを蝕む可能性については、既に記した通りである。